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「本にまつわるミステリー“Death Sentences”に注目!」~英語多読のための読書ガイド [ミステリー]~

英語学習誌『多聴多読マガジン』連載記事「多読のための読書ガイド」からのスピンアウト! 多読のプロたちによるおすすめの良書(英語の本)を紹介するコーナーです。


ミステリー編 ~2024年06月号~

執筆:河出 真美 (梅田 蔦屋書店 洋書コンシェルジュ)

本にまつわるミステリー“Death Sentences”に注目!

 ジェフリー・ディーヴァー、トマス・H・クックなど、名だたる顔ぶれが参加する、本にまつわる短編ミステリーシリーズ、「Death Sentences: Short Stories to Die For」

一話が15,000語程度と手ごろな長さで、書き手が実力派ぞろいなので面白さは保証付き、と多読におすすめのシリーズから、二話をご紹介します。

まずはThe Honeymoon Trap

新婚旅行で湖畔の貸別荘にやって来たヘンリーは、自分の好み通りの本が並ぶ本棚に既視感を覚える。

その中から全く知らない一冊 The Honeymoon Trapを選び読み始めるが、本のストーリーは不気味なほど現実と似通っていて……。

人の心の昏い部分を見つめ続けるピーター・スワンソンならではのサスペンスが味わえる一冊です。

次はThe Travelling Companion

舞台はパリ。シェイクスピア・アンド・カンパニー書店で働く青年ロナルドは、失われたはずのスティーブンソンの原稿を所持しているという収集家に出会い……。

存在しないはずの原稿への執着が、真面目な文学青年だったロナルドに決定的な変化をもたらすさまがスリリングです。

他にもたくさんの有名作家が名を連ねる「Death Sentences」に注目です!。


(1)『The Honeymoon Trap』(Death Sentences)

YL 5.5
著者 Peter Swanson
出版社 Head of Zeus
総語数 13,272 語

偶然手に取った本のストーリーが、自分と妻の出会いからこれまでに不気味なほど似ている。

もしかして、この本のヒロインのように、妻にも何か秘密があるのではないか…と主人公が疑心暗鬼に陥っていくさまに読みごたえあり。

長編もぐいぐい読ませるスワンソンですが、短編でも読者をぐいぐい引っぱっていく力は健在。

短編集もそのうち出してほしいものです。


(2)『The Travelling Companion』(Death Sentences)

YL 5.5
著者 Ian Rankin
出版社 Head of Zeus
総語数 15,660 語

ヘミングウェイなど作家たちに愛された実在のシェイクスピア・アンド・カンパニー書店とスティーブンソンの失われた原稿を交差させた、正に本好きのための一編がこちら。

誰もが知るあの名作もプロットに大きく関わってきます。

著者イアン・ランキンはリーバス警部シリーズで日本でも有名。

スティーブンソンと同じくスコットランド出身です。


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