見出し画像

【ロイヤルホスト】ホットファッジサンデー 780円+税

諸君らは ──などと、数年にも及ぶロイヤルホストスウィーツ特集の休止期間を経ておきながら、何故か執務室においてコニャックを傾ける将校のように偉そうに問いかけてしまい申し訳ないのだが、甘いのは好きか? うむ、そうか。私も好きだ。大好きだ。この広大なインターネッツの片隅で宣言しよう。

私は、甘いものが、好きだ。

そりゃそうだ。甘いのが好きな人じゃなきゃこんな記事に辿り着く訳がない。こう言い換えることもできる。甘いは辛いの対極ではなく、その内側に潜んでいるのだ。やれやれ。微妙に違ってるかも知れないが、ともかく、どういう経緯を経てこのnoteにたどり着いたのかは分からないが、この文章を読んでくれる人と、あの長いスプーンをクロスに交えて「ロイホ、最高!」と朝日に向かって叫びたい。そういうホットファッジサンデーのレビューである。100杯くらい食べて、こんなに愛しているのに未レビューであった痛恨を恥じたい。こんなの100点だ、100点。100点に決まってる!  ──と言いてえところだがぁ、99点にしておきたい。理由は後述。


とにかく鬼甘かったホットファッジサンデー(過去)


いきなり昔話で恐縮だが、以前のホットファッジサンデーは、ヨーグルトジャーマニーとほとんど同じ値段だった。せいぜい50円くらいの差であった。550円とか、それくらいのお値段で、「どっちにしようかな〜」とワクワクしながら純粋に選ぶことが出来た。ヨーグルトorチョコレート。今は立派になられて、盟友のヨーグルトジャーマニーとは差がハッキリとついてしまった。ジャーマニーは税込693円、ホットファッジサンデーは税込858円である。165円も差がついてしまったら、もう純粋にヨーグルorチョコ、などとふざけて比べる事はできない。そこには「俺はいま、本当にホットファッジサンデーが食べたいのか?」という、確証を得るための理由が必要になる。165円差とは、それくらいの重みがあるのだ。

ホットファッジサンデーは大きく告知はしないものの、以前から細かくリニューアルしており、回を追うごとに美味しくなっていった。甘さがスッキリとしたものに変わり、ナッツの量が増え、その風味と噛み応えが一つか二つくらいレベルが上がったように思える。もしかしたら、そこらへんが165円という価格差に反映されたのかも知れない。だとしたら、大英断であったと思う。この食べ応え(量)でありながら、食べ終える時に底を虚しくさらうスプーンの先を眺めながら「もう無くなってしまった……もっと食べたい」と思わせる価値は、正直1000円くらい出してもおかしくない物なのである。とは言うものの、全てが正解リニューアルという訳ではなくて、過去に何があったのか分からないが「別添えの後から掛ける液体チョコレートが熱々ではなくて冷やしている」ものが出てくるという謎アップデートもあった。我々ホットファッジサンデー猛者としては、お行儀よく特注のガラスの器に収まっている、冷たいアイスとバナナとクリーム群にアッツアツ液体チョコレートをぶっかけて日頃の鬱憤を晴らしているところがある。突然、そんな「液体チョコレート、冷やしておきました」と言われても、という驚きをもってそのリニューアルを迎えた(或いは迎えざるを得なかった)訳だが、冷やしたチョコレートは普通にキンキンに冷やしてある訳ではなく、ギリ液体としての体裁を保つ程度、直で口に当てて火傷をしない程度に温度を下げているだけであり、こちらとしても怒るのか、笑うのか、知らないふりをするのか、身の置き所がなかったのであった。「なぜ、何故チョコレートいちいち冷やしてあるん……?」そんな謎を抱きながら、ひと匙を口に運べば「まあええわ(どうでも)」となってしまうのがホットファッジサンデーの魔力とも言える。正直、甘くて冷たかったらなんだって良いのだ。そうだろう? 諸君(メガネ、クイッ) 

今現在(2023年7月)においては、あつあつのチョコレートに戻っているので、思う存分ツンとお澄ましキメているクリーム、アイス、ナッツ類の上からぶっかけることができるので安心してほしい。ただし、その前にスプーンで外に溢れないようにチョコレートが下に通る溝を作るのをお勧めしておきたい。そのまま掛けると、容器の外にダンラーって溢れるから! それもそれでオツですけど、周囲の人に(頭がおかしくなったのか、とか、不注意な人なのか、とか、気付いてないみたいだけど、指摘したら失礼かしら、とか)いらん心配を掛けてしまうかも知れないので、きちっと、容器の内側にスプーンを挿して一周、流れ落ちるチョコレートに備えて隙間を開けておくことが、ホットファッジサンデー猛者or素人を見極める最初の分水嶺となる。ぶんすいれい、と言いたいだけのところもあるので、許してほしいし、ホットファッジサンデーの猛者か初心者かなんて見極めたところでどうという訳でもないし、あんまり気にしなくていい。そう、ファッジサンデーを選んだ時点で、我々はみな、仲間なのだから(ブヒー、と遠くで豚が鳴く声がする) そこに上も下もない。あるとしたら横幅だけである。うまいこと言ったー!(ブヒー!!)

それでは、まずは外観を見ていこう。一応、写真は2023年6月時点ということも申し添えておく。たしかそんくらいに撮った。


ロイヤルホストのホットファッジサンデー別名・約束された快楽

上から大きいナッツ、クラッシュナッツ、クリームにバナナ、そしてさらにナッツとチョコアイス、下層にまた同じ感じのが満ちている。以前頂点におわす大きいナッツはドレンチェリーであった。あの悪名高い……勝手に高くしてしまったが、あの歯にまとわりつく甘いチェリーであった。と記憶しているが、古の記憶なので間違っていたら申し訳ない。現世においてはナッツが頂点から周囲を睥睨しており、「私がホットファッジサンデーだ!」と申している訳であります。見た目は地味だが、チェリーに比べるとリーダーとしての資質は100億倍兼ね備えていると断言できる。チョコレートにはナッツが一番合うのだ。それも、甘さ控えめのクリームと一緒に食べるが一番良いであろう。

ここで諸氏らに申し上げたいのだが、件の液体チョコレートは、この一見完成されたホットファッジサンデーにどろりと掛けるべきか否か、いずれ己に問いただす事になる。「この完璧とも言える、素ファッジサンデーに熱々のチョコレートを掛けることなど、許されるのだろうか? ゆうて(ゆうて?)熱々チョコをここにぶっ掛けるのは、現世において虐げられ、定職にもつかず、小説だ、なんだと夢見ごとを捨てきれず、ついにおよそ50を迎えるに近い、かろうじて生きている、呼吸をやめないだけの男性の、『全てぶち壊れればいい。何もかもが憎い、幸福を享受する全ての者たちに破壊と混沌を』と願うに近い世迷い言葉に過ぎないのではないか? だって、ホットファッジサンデーはチョコレートを掛けずとも、こんなにも凛々しく美しく、咲き誇っているのだから……」という風に。悪口言うな俺の!(分裂) 

ここは断言しますが、などとTwitterの隙あらば詳細はプロフに飛ばそうとするファキン・ガッデム業者みたいな言い方になってしまって悔しいのであるが、断じて「ぶっかけるべき」である。それも「全部、ぶっかけるべき」である。もちろん親子供、祖父叔母が人質にされていたら敢えて掛けるまでもない(人命第一)。メニューを眺めてホットファッジサンデーを選択した時点で、カロリー的なものはきっぱり諦めていただきたい。もう無駄なのだ。足掻きなのだ。おめえ、隣の席のひとがビックマック食いながら血圧が〜とか言ってたら「は?」って思うじゃん。「だよね〜、血圧と体重が、だよねぇ〜」とか言いながら焼肉でカルビ(タレ)を白米でバウンドし、タレが染みたやつを最後に食べる「肉よりもご飯育てるほうの」タイプの人間なのだろうか? 否、断じて否である。否垣吾郎。すまん、調子こいた。ごめん、ごめんて。ホットファッジサンデーが好きでこのブログを読む方は賢明な方々である。甘けりゃいいの豚どもは食後、ガツンと血糖値が上がって今頃床か布団に転がって白目を剥いているし、起きていちいち「ホットファッジサンデー美味かったブヒー、ちょっとインターネットで調べるブヒー」などとはならない。近所の美味しいラーメン屋さんとか、食べ放題の店を検索するのに忙しいのだ。そもそも彼らは100%チョコレートを掛けているに違いないのだ。だから賢明なあなたに告げたい。液体チョコレートは全部掛けるべきだ!

器と内側にスプーンを挿し入れ一周し、チョコレートの通り道を空ける。そしておもむろに液体チョコレートを上からドローっと、ドンローっと回し掛けてゆき、残ったチョコレートを掻き出して「俺は豚だ、そしてこれからもっと豚になるッ」と気持ちを固めた時がMAX高まるのだ。トラ・トラ・トラァ!ごめん。そしてご想像の通り、美しく完璧な造成を見せていたホットファッジサンデーは無惨になっているだろう。熱いチョコレートでぐずぐずに……バナナにはチョコが掛かって、白いクリームは溶け落ち、下のアイスに享楽の滴を垂らし初めている……カオス。カオスこそがこの世界の全てである。整然とした一日や人生に何の意味がある? あなたが初めて恋をした時の事を覚えているか? いや、忘れているだろう。だが俺は覚えている。誰かを愛した瞬間、あなたはこの世界の滅亡を望んでいたはずだ。そして、その誰かと二人きりで生きていく未来を、あなたは、いや、私たちは無意識的に、深い意識の奥底で望んでいたことを思い出さなければならない。それがつまりホットファッジサンデーの完成形である。ようするに、「見た目より、味」ということだ(いきなり浅い)。


論より証拠とばかりに写真撮りました。映える〜🤗

後はもう、煮るなり、焼くなり好きにすればいい。先端に立つ「俺が! ホットファッジサンデーだ!」とさっきまで凛々しくドヤ顔でこちらを睨んでいたナッツも、熱々チョコを注げば「Sorry…I'm so sorry…」の角度で沈んでいる。そこにスプーンを差し入れ、お好きな配分でチョコレート、ナッツ、アイスをすくって口に運べばいい。なんなら、かき回したっていい。下にはヴァニラアイスが映画AKIRAの地底深くに眠っていたドームのように準備を完了させており、表面のカオスが高まれば高まるほど、そいつはもっと美味しくなる。クリームと、チョコレートとアイスが絡んだソースを纏わせれば、ナッツはシン・ナッツとなって、香ばしい口どけと歯応えを約束してくれる。バナナも良い。流石にカロリー過多を気にする我々に「バナナでかさ増ししてるから、実質カロリーゼロ」「バナナはカリウム豊富だから、実質カロリーゼロ」と優しい笑顔で語りかけてくれる。もちろんそんな事はない。全部嘘だ。アメリカ人の口先だけの誉め言葉みたいなもんだ。実質質量は明日の体重計が教えてくれるから安心していい。ただ、さっき書いたように、ホットファッジサンデーを選んだ時点で、重力を忘れろ、という事だ。重力にいつまでも引かれているから、我々は自由になれないのだ。独立を宣言するべきだ。地球から、引力から、何もかも、あなたを縛る全てのものから。それを許してくれるのは、この地球上で、ロイヤルホストのホットファッジサンデーを食べている間だけである。自由になれる。自由になる。自由になろうじゃないか、アムロ。こいつぁちょっとしたアドヴァイスだが、ロイホの公式アプリを登録しておくと、クーポンを使って50円安く独立宣言できる。誕生月には15%だったか20%割引のクーポンも貰える。おすすめ!

そうしてそのカオスの先には、砕けたビスケットがいい塩梅に入っている。多すぎず、少なすぎず、丁度いい量だ。グラスの中はもう大変なことになっている。マーブル調である。漆黒のチョコレートと、それに染まることを免れたヴァニラアイスが交じり合ったり、交じり合わなかったりして乳繰り合っている。バナナの姿はもうない。いや、あるかもしれない。僕の場合、バナナはすでに俺の中に取り込まれ、驚異的なカリウムによって、今まで食べたもの、そしてこれから食べるもののカロリーをゼロにしようと企んでいる。つまり、ビスケットと、ナッツと、マーブル状と化したチョコバニラアイスクリームだけがそこにある。ねっとりとしたバニラアイスの表面にはやわらかく、ゆるくチョコレート粘液が・・・まとわりついて、いまかいまかと、あなたのスプーンが削り取るのを待ちわびている。周囲のビスケットとナッツはしどどにチョコレート汁まみれであり、白は形勢的に大不利となっているだろう。それがいい。そこが良い。品のある、ロイヤルホストならではの甘さを抑えたチョコレートと、アイスと、ビスケットとナッツがタッグを組んだらもう負けなしである。夢中でスプーンを口に運び続け、やがて底をうつ「カツ、カツ」という虚無の音で我々は明日の体重計が告げる真実を思い出すのだ。でも、だから何だっていうんだ、という気持ちになる。俺は今、確かに自由だったのだ。誰にも縛られず、あたかも宙に浮いているかのように、ホットファッジサンデーを食べていた。その時間だけは真実だ。後のことは明日の自分に任せておけばいい。地球も今のところ安泰だし、嫌な先輩や、むかつく後輩も、血だけ繋がっているだけの親類も、安月給も、大きな音を立ててドアを閉める下の住人も、電車のドアの前で割り込みしてくるおばさんも、支払い時に小銭をカルトンに投げる客も、すべて許そうという気になる。そんな気持ちになることなんて、滅多にない。そういう力を持っているのが、ロイヤルホストのホットファッジサンデーなのだ。

ホットファッジサンデー99点


採点である。ここまで熱く語ったら100点だろう、という気もするが、99点である。もう、冷たくて甘いのをがっつり食べたい! という目的の人にとっては150点満点であろうが、いかんせん彩りが地味過ぎるんである。見た目にケチをつけるような大人になりたくなどなかったが、もうこの歳になると否応なく宣言せざるを得ない。人間、見た目も大事。そしてパフェも。このようにして、もはやイチャモン・レベルでしか文句のつけようがない、極めて高い完成度を誇った、世界のロイヤルホスト、ホットファッジサンデー。100点満点にするには、見た目の他に、めちゃんこおいしくて、食べても絶対に体重が増えない、いやむしろ減るチョコレートやアイスの発明を待たなければならないだろう。100点とはつまり、パーフェクトであることなのだから、そこを解決しての満点とさせていただきたい。僕が生きているうちに解決するといいな、と思う。それまで、僕はあと何回、ホットファッジサンデーを食べるのだろう。つかの間の自由を得る喜びを、あと何度この人生で味わえるのだろう。末永く生きて、渋いおじいちゃんになっても、夜十時以降に入店して、ちょっとだけ迷ってから「ホットファッジサンデー」と注文していきたいものである。ごちそうさまでした。

おしマイケル。

江戸川台ルーペ

べ、別にお金なんかいらないんだからね!