視覚障害者があなたの写真も楽しめる機能―ALT 代替テキスト

先日、ふと、あるかたと話していて、私たちは案外もう当たり前のように使っていたのですが一般には実は知られていないかもしれない、と感じた発見がありました。

そのため、本日は、代替テキスト機能というものを紹介してみたいと思います。
紹介できるほど詳しいわけではありませんので、興味があったらぜひその先へその先へと、もっと楽しい面白い便利な使い方へと進んでいただきたいものです。

代替テキスト機能、ALT属性、と言われるものらしいのですが、
これは、簡単に言えば、写真や画像に文字説明(テキスト)を挿入することができる機能です。
写真や画像の中に書き込むわけではなく、あくまでその写真や画像を言語化して説明するもの。

これはどうやらもともと、インターネットのWebsiteなどで、画像や写真がうまく表示されないことがありますよね?
何らかの事情で写真や画像が表示されないとき、そこの写真や画像に何が示されているか、何が映っているかをテキストで補助説明するためのものであるようです。

要するに画像や写真が見えないと、「そのページ自体がわからない」くらいの事態が発生することもあるでしょう?それが大事なマークだったり大事な説明写真だったりしたら。
視覚障害者は、今この社会では、日常のほとんどがその状態です。
それくらい、写真や画像や墨字、視覚情報に溢れた社会。
Websiteのテキストなども、一部(それでもまだ一部です)、音声操作で読み上げてくれるようにはなってきていますが、それでも図や画像として扱われていればそこの部分はごっそり「画像」としか言ってくれませんので、それが晴眼者から見れば実はそのページのかなり大事な説明文がしっかり(そしてそのためにちょっと変化を付けたフォントや色で書いているため画像扱いされていたり)書かれている部分であったりしたら、もうその時点でそのページは視覚障害者は理解しようがない。

画像や写真は、ただ単に「がぞー」「しゃしん」とだけ読み上げます。

ちなみに…LINEのスタンプも、晴眼者は良く喜びの表現など大きく伝えるために送ってくれるのですが…「すたんぷ」としか読み上げてくれないため、喜んでいるのか、もしや悲しまれたり怒られたりしているのかすらわからず、逆にまったく伝わっていない…ということが多々、あります。

話を戻します。
それが、今は、一部のSNSなどでも自分の掲載する写真や画像に代替テキスト説明を付加することができるようになっており、代替テキストが付加されている写真は「ALT」というマークが出ていたりして、それをクリックすると、代替テキストが出てきたり、音声操作ではそれを読み上げさせたりすることができるようになっている、というわけです。

SNSなどで、気になっているひとのアカウントで例えばですが喜びの文章とともに写真が掲載されていたら、どんな写真なのだろう、と、気になりますよね。親身にしていて好意のあるひとなら尚更です。

「写真」としか読まれなかったら、まあ私はその発信を見て欲しい対象には入っていないんだな……なんて、それはちょっといじけた物の見方ですが。

そんなわけで、視覚障害や、目が疲れやすい、ぼやけたり細かいものを見ることが難しい、などなど、いろいろな事情のあるかもしれないあなたの友人たちにもあなたの発信を余さず楽しんでもらうための機能となるひとつ、代替テキストのやり方の一例をご紹介します。
ものによってもちろんやり方は違うかもしれません。
これは、PC(Windows11、Microsoft Edgeブラウザ)での、X(旧ツイッター)というSNSにおける、代替テキストの挿入方法です。

まず、以下の写真をごらんください。
(すみませんがこの写真には代替テキストは入っておりません…ご了承ください。なるべく文字でも説明いたしますので。)

まず、画像を選び写真を選択します。そして、Xのポスト画面に自分の写真が載ったら、その写真自体をクリック。すると、写真の編集画面が出てきます。
その中に「ALT」という項目が。
それをクリックすると、「代替テキスト」を入れることのできる、文字を打ち込むことのできるボックスが出てきます。それが以下の写真です。

ちなみに私はこの写真を投稿したとき、代替テキストの内容としては、
「背中側が美しい真っ黒、腹や首の下、顔も一部白いオス猫。足も白いかな。尻尾もすらっとしている。花のたくさん咲いた植木鉢のたくさんある庭に座っている。うまくカメラに向いた瞬間か。この猫は触っても大変筋肉質でかっこいいアスリート。」
と、入れました。

写真を感情を交えずに機械的に説明した文章を入れるひともあると思いますし、詳細な説明である場合もあればもしかしたらその写真の中でもうつり込んでいるもの全て説明するのではなく、見て欲しい対象物の説明を入れるひともあるでしょう。

それから、もうひとつの使い方として、私は舞台作品のフライヤー(チラシ)を出す時、代替テキストで、そのチラシに書いてある重要事項、つまり「日時」「於(場所)」「作品タイトル」「プログラム内容」など、チラシ画像は読み上げしてくれない分、自分で音声読み上げをしている気分で代替テキストを入れることがあります。
更に文字数が余ったりわかりにくくならないようであれば、チラシのデザインなどイメージをしやすいように少し説明を加えると、印象がわかりますよね。

もしあなたが視覚障害者の友人と街や自然の中を歩いていたら。
そして目の前に、例えばお寺が出て来て、そのちょっと入ったところに美しい桜や桃の木が満開になっているのが見える。とか、遠くに山が見える。あ、コンクリートジャングルだけれども道端の家の前の植木鉢に美しい紫色のラベンダーが植えられている。だとか…見つけた時、
あとは、一緒に飲食店に行こうとして、目的地の飲食店の看板があなたの目に入ったとき。
「あ、〇〇屋さんについたよ。」とか、「お店、明かりがついてる、Openってあるから入れるね」だとか、きっとね、視覚障害者の相棒はその視覚情報は見えていないので、あなた自身がそもそも共通認識を持ったりあなたの見ているものや両者に必要な情報やあなたの気持ち感覚を共有するために、きっと自然と口から説明が出ると思うのですよ。
私の友人たちも、私と歩いていると、その回数が増すごとに、本人たちは自覚はなさそうなのですが、最初は自己開示や言語化がまるでなかったような閉じこもり気質に見えるような人たちも、私と関わっているといつの間にかだんだん、本人も無自覚なうちに(つまり一生懸命、などはなく、楽なまま)、どんどん歩いている時の周りの見えている景色など、自然と説明して言語化してくれるようになっています。

代替テキストも、そのようなものではないかな、と私は考えている面があります。
以前の記事で、私が人と桜見に行く理由、というようなタイトルで同じようなことを書きましたが、私は人と例えば桜を見に行ったとき、当然ながら桜や景色を自分自身の視覚で認識することはできません。が、その人が見たものをその人の感性やその人の自然体の反応で聞いたり感じたりすることによって、その人の見ている桜が見えるし、その人の心象風景、そして、その人そのものが見えてきます。
そのひとの魂そのものが垣間見える、という言い方もできるかもしれません。
そのため、代替テキストで、あなたの心が伝わりますし、あなたの見ているものがちゃんと伝わります。

ラジオ配信を考えても良いかもしれませんね。
ラジオだと、聴衆は画面がないので、どんなひとであれ、視覚情報は伝わりません。だから、ラジオ番組などでゲストが来ていてもわかりませんよね。パーソナリティさんが「今日は今この場にね、私の今向かい側に座っておりますが、ゲストが来てくれております!」だとか、ゲストさん自身が喋り出して初めて、そのゲストの存在がわかりますよね。
時々驚くのは、音楽の番組で音楽を流したり解説したりしていて、いきなりピアノの単音や解説をしている細かいフレーズを手元で弾いたりする。で、「あ、今ここにグランドピアノがあるんですがね」などとパーソナリティさんが説明することで、初めて、「おお、グランドピアノの椅子に座って収録をしていたのか!」と気付く…など、ね。
相手は、「視覚障害」という枠に当て嵌められるような人であろうがそうでなかろうが、同じなのです。
相手が見えていないものについては、相手が見えていないときや場合は、何も考えずに「あ、この人は見えていないから説明してあげなきゃ、えーと」などと思うことなしに、自然のコミュニケーションとして説明しますよね。
そして、あなたが見えていない、例えば電話などでもそうですが…場合でもそうですよね。

代替テキストは、あなたが、幅広く、そして多角的に、あなたのことを知ってもらう手段でもあり、同時にあなたのことを知りたいひとへ、分け隔てなく、差別せず、情報を届ける手段の「ひとつ」です。

そんなつもりで、代替テキストという機能の存在、知ってもらい、楽しんでいただきたいなと思った、私のつぶやきの記事でございます。

そして、ぜひこの記事も、お広めいただきましたら、幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?