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靴作りの道具#0『酸化被膜(タンニン鉄)がよく現れる大ハンマー』

靴作りにはハンマーをよく使用します。
また、用途によっても様々なハンマーを使い分けています。
その中から今回は、『幅広で真っ平らなハンマー(以下、大ハンマー)』について紹介します。

過去のブログ※で「鉄に反応して表面に真っ黒な酸化被膜(タンニン鉄)を作る」と書きました。
その反応を一番わかりやすく見ることができる作業工程が、『先芯(トウパフ)の吊り込み』です。

先芯には植物タンニン鞣しの革を使用し、水に数分浸しておくことで柔らかくなります。
柔らかくすることで吊り込みやすく、成形しやすい状態にしています。
その際にハンマーでしっかりと叩いて革を密に締めつつ、形をある程度整えます。

ここで使用しているハンマーが、大ハンマーです。
何度も叩くことで革をより密に締め上げ、木型に沿わせ成形するためには、より広い面を一気に叩くことが必要です。
大ハンマーを使用することで効率よく、綺麗に仕上げることができます。
また、この大ハンマーを使用すると、先芯が真っ黒になります(他のハンマーでは、ここまで黒くはなりません)。

大ハンマーで叩いた後の先芯

このことから考えられることは、
・叩く回数が同じ場合、他のハンマーより多くの面積で叩けている
・鉄の純度が高い
などでしょうか。

別に黒くなり過ぎたからといって何か問題が起こることはありませんが、気持ちが良いくらいに黒くなるため酸化被膜の生成がすごいのだろうなと毎回思います。

note : 村上紀之 

※タンニンってなんだろう?
https://www.cornoblu.info/single-post/%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%81%A3%E3%81%A6%E4%BD%95%E3%81%A0%E3%82%8D%E3%81%86%EF%BC%9F>

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