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セルヴェの考え ♯1 セルヴェの日記

「真実のない生というものはありえない。
真実とは多分、生そのものであろう。」

  • No hay tal cosa como la vida sin la verdad. La verdad es probablemente la vida misma. 
    フランツ・カフカ


イタリアのジェノバ、港近くでマトリョーシカ作家として活動するラーバノ・セルヴェ。
この日も彼の工房でマトリョーシカを作っていた。

マトリョーシカはロシアの民芸品だ。セルヴェの父はロシア系で、母がイタリア人だ。
父は陶芸家だ、マトリョーシカとは関係はない。よく、テラコッタ人形を作っていた。セルヴェはロシアに強く興味を抱いていて、ロシアで文化を学んだ。
その後、マトリョーシカ作家として工房を立ち上げた。もう12年になる。

だが、彼は元々旅をしたいと考えていた。ロシアとフランスにしか行ったことはないので、もっと足を伸ばしてみたいと考えていたのだが、仕事が忙しく、中々行くことは出来なかった。

ある日、ラジオでペルーの事をしった。このラジオでは古くからペルーの太陽の島にはシャーマンがいる。

そういう内容だった。セルヴェ自身、南米には行ったことないし、興味もあったが、どうやって行こうかと考えていた時、船を使おうと考えたのだ。
昔、「母をたずねて三千里」という作品で、イタリアからアルゼンチンに向かうシーンがある。これは船で向かっている。この時代飛行機もあるが、飛行機より船で行く方が数倍も楽しそうだと思ったのだ。

彼は12年もイタリアで仕事してたので、周りは引っ込み思案な人かと思われていた。親でさえあまり話はしない。たしかにセルヴェは口数は少ない。それと、なにを考えているのか、読めない人は多い。
すごく独創的な人物なのだ。
セルヴェは、画家でもあり、その描き方も独特だ。
ダリやジャン・コクトーのような絵が好きで、セルヴェも似たような絵を描く。
画家としても人気になった。特に題名「想像」という赤と黒と白だけを使った絵は彼の代表作だ。
この絵は赤い海に、ビーチにパラソルと2つのグラスが描かれている。

セルヴェは旅の準備をして、早速行くことにした。
荷物は多くない。マトリョーシカ1つと本一冊に少しの服とカメラだけだ。そして、ふらっと紙飛行機のように船に乗り、ペルーに向かう。

船の中は快適だ。それなりの貯えはあるので、かなり良い部屋だ。
イタリアからペルーまでは23日だ。その間は船の生活。アルゼンチンまでは二十日だ。

セルヴェはこの旅を「セルヴェの考え」という日記を書くことにした。
そして、この旅に条件を付けた。二十日までの滞在にすることともう2つ付けた。
日記の内容はこうだ。


「1 giorno」

私は旅に出ることを決意した。現在、八月十二日、船の上だ。
この旅では条件を付ける。

1つは国の二十日までの滞在。
2つはケチュア語の勉強。
3つは太陽の島の写真を撮る事。

この3つを付ける。寄り良い旅にするにはこの条件が必要だ。マトリョーシカを1つ持ってきた。この旅で、もっとマトリョーシカを知ってもらう機会にもなるだろう。
私が歩いた場所には私の道ができる。



こう書いてある。
セルヴェは筆記用具が好きで、万年筆を使ってる。

明日を楽しみにセルヴェは眠ることにした。

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