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セルヴェの考え♯4 コンドルは行く

23日目の朝、セルヴェはシャワーを浴びていた。
浴びながら小さい窓の先の海を観る。

今日でこの船とお別れか、世話になったな。

そう感慨深く言う。

シャワーを浴び終わると、ベッドのそばでパイプを吹かす。
なにか思い残すことはないかと考えていると、船内のアナウンスが鳴る。そのアナウンスは「波が強いためカヤオに着く前に、チョリヨスの港に一度停船します」との事だ。
波が強いと、転覆事故になり兼はねない。危険だ。

船はチョリヨスに着くと、一時停船した。朝の10時頃だった。

予測では1、2時間で動くそうだ。

停船か…… 何回か船は乗ったことあるが、停船は初めてだな。なにかいい事がありそうだ。

このセルヴェは凄くポジティブな人間だ。停船と聞けば不安や不信感、身の危険を感じたり、そわそわする人がほとんどだ。特に航海というのは転覆の事故が多い。
だが、セルヴェはそんな状況にも関わらず焦ることもない。動じない。むしろ、優雅にパイプを吹かしながら動くのを待っていた。こんな時にポジティブな考えになるのは彼ぐらいだろう。

今日はシリアルを食べたいな。

そう言うと、セルヴェはメイン・ダイニングでシリアルを注文する。

君、コーンフレークを頼む。ミルクは少なめにプルーンを多めにしてくれ。

かしこまりました。

セルヴェはドライフルーツが好きだ。特にプルーンとレーズンには目がない。今日はプルーンの気分だ。
5分ほどして、コーンフレークとプルーンが出てきた。

それを食すセルヴェ。手帳をみながら食べている。
今後のやることを考えていた。
手帳には今後やりたいことが書かれているが、最後は太陽の島に行くこと。
リマについて、最初になにをしようかを考えていた。
やりたいことを手帳に書く。セルヴェは現在、ボールペンを使っている。セルヴェは筆記用具好きだが、2本しか持っていない。1つはモンブランの万年筆、2つは三菱文具のボールペンだ。
この三菱文具は日本のブランドだ。1967年に発売された高級ボールペン・ジャガーを使っている。

シリアルを食べ終わるころに、アナウンスが入る。
「お待たせしました。波が小さくなりましたので、最終目的地のカヤオ港に向かいます。予定では2時間後に到着予定となっております。」
そのアナウンスが終わると、すぐに船は再び動き出した。
ようやくカヤオ港に向かう。チョリヨスはペルーの小さな港だ。
ペルーにはついているが、本当の目的地ではない。

そろそろか。

そう言うと、セルヴェは部屋で荷物を纏めて、支度をした。

2時間なんてすぐだ。部屋で水を飲みながら本を読んで着くのを待っていた。恐らくこの本は人生で1000回は読んだ。薄めの小説だが、内容は濃く、不気味な作品だが、面白い。この作家が1番すき。
独創的な作家は好きだ。

今日も気分がすっきりしている。

すると、あっという間に目的地に着いた。

セルヴェはバッグを持って、船を降りた。時刻は16時だ。3時間遅くなったが、いい時間に着いた。
夕焼けに港、客船。これもまた素晴らしい景色だ。
そう思い、セルヴェは船をバックにこの画を写真に残した。5枚目の写真だ。

セルヴェの近くをコンドルが羽ばたき、通る。

それを目で追う。

素晴らしい景色だ、ついにペルーについた。

そう言うと、セルヴェは早速ホテルに向かった。

ホテルを探す。港の近くに「cóndor」というホテルがある。気になって入ってみた。

入ると、オラッ! と店主に声を掛けられた。

なにか用かな? 旅人よ。

ああ、ここに泊まりたい。1日いくらかね?

13ソルだよ。

13ソルだと? 安いのだな。

まあね。

ちなみにコンドルは好きなのかい?

フォルクローレがすきでね。

ほう、フォルクローレか。コンドルは飛んでいく。素晴らしい楽曲だ。僕はセルヴェだ、よろしく。

私はレミー・リフキンだ。この姓を恥じたことはない。

素晴らしい! では早速、部屋でくつろぎさせてもらうよ、夕方のコンドルは素晴らしいな。

ああ、2階の106号室だ。これが鍵だ。コンドルは私の友じゃよ。

ありがとう。その友にお礼を言うよ。

鍵を受け取り、今日は部屋で少しゆっくりすることにした。
明日からが本番だ。行きたいところへ冒険をする。

きっと素晴らしい1日になるだろう。

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