草ww破滅部活動日記♯73 文化祭準備編4 屋上と悩み

あの音楽室の件から少し悩んでた椿。

一星と別れたあと、椿は屋上に向かった。

屋上に入ると、高校らしい灰色の鉄のフェンスに囲まれている。

ポツンと青い長いベンチと灰皿がある。椿はそこに座る。灰皿はよく先生がタバコを吸いにくる。しばらく、1人で蒼い空を見渡す。そこに被せるかのような、運動場から聴こえる部活の掛け声。よく見ると、野球部が練習をしている。野球部だけではなく、道着を来た柔道部たちが運動場を固まって走っている。色んな掛け声が聴こえた。

椿は悩むと1人でここにくる。そよ風に声、空、雲、いろんな景色が見れる。

椿は寝転がると、目を瞑り、考えていた。

すると、いきなりギシッと音がして、椿は目を開け
る。

〈勝本先生〉うわぁぁぁ!

〈椿〉うわっ! びっくりした!

〈勝本先生〉なに!? だれだ?

〈椿〉勝本先生か、びっくりした

〈勝本先生〉椿か? あほ! びっくりしたのはこっちだ!

〈椿〉なんでここに?

〈勝本先生〉それはこっちのセリフだ! ここどこだとおもってんだ!? 教員スペースだぞ! しかもこのベンチにいるなんて、お前まさか……

〈椿〉誤解しないでくれ! タバコ吸いに来たわけじゃないから!

〈勝本先生〉 まったく、ならいいけど何しにきた?

〈椿〉なんとなく…… ここが落ち着くから

〈勝本先生〉お前なにか悩んでんのか?

〈椿〉まあ文化祭のことで、ちょっとね

〈勝本先生〉なんだ、喧嘩でもしたか?

〈椿〉いや、その、喧嘩はしてない

〈勝本先生〉なんだよ? 言ってみろ。大したことは言えんけど、聴くぞ、あんま興味ないけど

〈椿〉うわ、ひど。実はスカイラーのことだよ。てか! 先生ならもっと気にしろよ!

〈勝本先生〉スカイラー? あ〜 あのビオラやってるお嬢様か、それがどうした?

〈椿〉オーストリアに留学するんだって、ビオラのために

〈勝本先生〉へえ、すげえな。それで?

〈椿〉本人はビオラ好きでやってるし、将来ビオラ奏者を目指してるから、こんな話嬉しいから飛んでくるのに、悲しい顔してた。多分俺たちの事もあるから迷ってるんだと思う

〈勝本先生〉なるほどね? まあ行くか行かないかはあいつ次第だ、いまは昔とちがってそういう仕事も体制がよくなってるから日本にいてもなれると思うな。けど、オーストリア行きはあいつにとって素晴らしい経験になる

〈椿〉やっぱりそう思う? スカイラー、自分に自信がないだけじゃないかな

〈勝本先生〉自信ねー、そんな自信が必要か? これは受け売りなんだけどな、「自信というものは行動起こした後々に現れる心の音楽みたいなもん」なんだとよ

〈椿〉は? なにそれよく分かんないよ……

〈勝本先生〉ふははは! だろうな! おれも当時言われた時はよく分からんかった。まあ今もわからんけど、いまは少しだけわかるようになってきた、言いたいことが

〈椿〉へえー、先生も分かんないんだ? ねえ、そういえば、その傷どうしたの? もしかして、昔ヤンチャしてたの? でもそんな噂があるよ

椿は勝本先生の左目の下にある傷が気になり、聞いてみた。

〈勝本先生〉どんな噂だよ!

勝本先生と言えば、地味顔で無精髭のメガネ掛けたタフな中国語教師。しかも、目の下に傷もあり、学校では昔ヤンキーでヤンチャして付けた傷だと思われているのでちょっと近寄り難い先生というイメージが少々付いてしまっている。実際は、ヤンチャはしてない。それにいまはご結婚もされていて1人、子供もいる。年齢は、37歳だ。まだ十分に若い先生だ。

〈椿〉ねえ、昔こと聴いてもいい? なにかヒントになるかも! おれスカイラーにどう背中押してやろうか悩んでて

〈勝本先生〉はあ? やだよ、めんどいし、長くなるし

〈椿〉いいじゃん! あんた先生だろ?

と、近づく。

〈勝本先生〉うわ! 顔ちけえよ! スカイラーは仲間なんだろ!? ならなおさら自分で考えろ!

〈椿〉おれ分かんねえんだ、どうしたらいいか。どうにかしたいんだ! スカイラーを助けたいんだ!
なんか先生の話きいたら、少しはスッキリするかもしれない! お願いだよ!

と、椿は険しい顔で、お願いをする。

〈勝本先生〉お前…… そこまで。はあ、わかったよ、話してやる

〈椿〉やった!! ありがとう! 先生

勝本先生は椿になにかを感じたのか、過去を話した。
「こいつなら話してもいいか」と考えた。

〈勝本先生〉話すから、秘密にしろよ、あんまり知られたくないんだ

〈椿〉わかった!

椿は先程の苦しそうな顔をしていのが、先生が話すと言った途端別人かのように眼をキラキラ輝かせていた。よほど嬉しそうだった。

〈勝本先生〉まったく、現金なやつだな

と、話した瞬間、勝本先生はタバコを咥え自前のジッポで火を着けた。

煙をプクプクさせながら、真剣な眼差しで勝本先生は、口を開いた。

〈勝本先生〉あれは、もう20年前のはなしだ……

先生は過去の話を椿に全て話した。

その時先生は少し微笑んでいた。

話終わると、椿は衝撃過ぎて言葉もでなかった。

〈椿〉すげえ…… かっこいい! ありがとう! 先生!

〈勝本先生〉いいよ、ていうかさっさと帰れ、もう18時になるぞ

気づいたら蒼い空からオレンジ色の空へ変わっていた。

〈椿〉やべ! もうこんな時間か! ほんとにありがとう! 先生。やるべきことがわかったよ!

〈勝本先生〉いいって! いけ!

椿はスッキリしたような顔で帰っていった。

〈勝本先生〉まったくいまの高校生は…… 幸せもんだな

そう勝本先生はタバコを吸いながら述べた。

ー 73日目 文化祭準備編4 屋上と悩み ー つづく。

 

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