草ww破滅部活動日記#72 72日目 文化祭準備編3 音の時

音楽室で、曲の練習をしていた一星と椿。そこに音楽室の扉が開き、女の子が1人入ってきた。それはスカイラーだった。驚きが隠せない3人。この所、あまり会うこともなかった。


〈椿〉スカイラー


〈スカイラー〉え、なんでここに? 先生が鍵空いてるからって…… こういう事?


〈一星〉スカイラー! 久しぶりだな!


と、立ち上がる。


〈スカイラー〉久しぶりね。まあ3日前に会ったけど。今なにしてるの?


〈椿〉あ、音楽で曲弾くことになって、あまりにも酷いから2人で練習してたんだ。


〈一星〉そうなんだ、俺がカホンで、椿がベースだ


〈スカイラー〉へえ〜、珍しいわね。どんな曲?


〈椿〉さっき弾いてみたんだけど、上手く行かなくて。おはようって曲


〈スカイラー〉その曲すき。私の好きな曲よ、良く知ってる。人生を変えてくれた曲でもある


〈椿・一星〉え? そうなのか?


〈椿〉今回弾くことなってさ


〈スカイラー〉ハァ、見せてみな


〈椿・一星〉え?


〈スカイラー〉演奏見せてみな。専門外だけど、何処がダメなのかとか、ズレてるところなどはわかるから


〈椿〉なるほど、なら頼む


そう言うと、2人は曲を弾く。1曲弾き終わると、スカイラーが話した。


〈スカイラー〉全然だめ。音ずれてる


〈椿〉え? おと?


〈スカイラー〉そう! まず椿はちゃんとチューニングしてる?


〈椿〉ちゅ、チューイングガム?


〈スカイラー〉チューイングガム笑笑 ちゃうねん! チューイング、じゃない! チューニング!


〈椿〉チューニングね、してないな


〈一星〉スカイラーが要みたいになってる……


〈スカイラー〉一星くんは、カホンの基本が出来てない。叩くと、音が小さくて聴こえない! そこを練習する必要がある

〈一星〉すげえ言われよう…… わかった!


〈スカイラー〉椿! まずチューニングしな!


〈椿〉は、はい!


と、椿はチューニングを始めのだが、なぜか焦っていた。


〈スカイラー〉どうしたの? それ弦よ?


〈椿〉え、えと、チューニングってどうやるんだっけ?


〈スカイラー〉あちゃー! 貸しな!


と、スカイラーはベースを椿から取り上げ、チューニングをする。


〈スカイラー〉椿! いい? 今から言うの覚えといて! いい? 1弦がG、2弦がD、3弦がA、4弦がEの音よ、ソレラミよ。これに合わせるの


と、スカイラーは説明をしながらベースの音を合わせる。


〈スカイラー〉はい! これで弾いてみて!


〈椿〉あ、ありがとう。わかった!


スカイラーはベースを椿に渡す。


椿はまたベースを弾いてみる。


すると、さっきと違って、ベースらしい深くドンっと低い音が空間に響いた。さっきは金属のような音と、ビョーンという音がしていた。弦も緩かった。


〈椿〉おお!! すげえ! これだよ!これ! スカイラーありがとう!


〈スカイラー〉どういたしまして。じゃあ次は一星くんね、一星くんはそのカホンの叩き方わかってる?


〈一星〉え? あ、ああ


〈スカイラー〉本当に? さっき見てたけど叩く所違うよ。だから椿と合わないし、音が違ってくるのよ


〈一星〉え、? そうなのか。それでなんか変な感じになるのか


〈スカイラー〉でも、しょうがない。2人とも楽器やるの初めてでしょ? 初めはそんなもんよ、楽器はすぐに演奏できるものじゃない


〈椿〉深いな


〈スカイラー〉まあ、だから音楽は楽しいんだけどね……


そんな言葉を言うスカイラーは微笑みを浮かべる。そのスカイラーを2人はみて、遂に思っていることをスカイラーに話す。


〈椿〉スカイラー


〈スカイラー〉ん? なによ?


〈椿〉お前、なにか隠してることないか? 俺たちに


〈スカイラー〉っ!


〈椿〉そろそろ話してくれないか? 俺らはスカイラーの今思ってる事、考えてる事を知りたいんだ。最近、付き合いもないし、部活も学校もあんまり来てないし、今日たまたま会えたから、ちゃんと話してくれ


〈スカイラー〉それは……


〈一星〉スカイラー、俺らは部活の仲間で友達だ、お前は俺らにとって特別な存在なんだ。話してくれないとどうもできないだろ?


〈スカイラー〉わかった。実は私、ヴィオラの留学でオーストリアに行くの、だからみんなとは会えなくなる


〈椿〉え、留学?


〈スカイラー〉そう


〈椿〉いつから?


〈スカイラー〉10月の終わりよ。向こうの学校は11月から。だからそれより前に行く


〈一星〉そうなんか……


〈椿〉スカイラー、その留学お前にとって力を付けるために行くんだろ?


〈スカイラー〉うん


〈椿〉じゃあなんでそんな悲しそうな顔してんだ?


スカイラーはビクっとした。椿になにかを見透かされたようだった。


〈スカイラー〉それは、自信なくて、それでオーストリア行き辞めようかなって


〈椿〉なんで自信がないんだ? スカイラーはいつも前向きで、ヴィオラや音楽を愛してるのがスカイラーだろ?


〈スカイラー〉……


〈椿〉別にいいさ、スカイラーの人生だ。ここで自信なくて、オーストリアに行くのも行かないのも、自由だ。けど、今までなんで音楽続けてたんだ? 今日も上手くなりたくて、音楽室来たんだろ?

俺もこいつも音楽に詳しくないし、ヴィオラ弾いたことないからスカイラーの気持ちはすべてはわからない。けど、好きなら続けろよ、お前のヴィオラ、綺麗で素敵な音だったじゃないか


〈一星〉そうだぞ、スカイラー。お前は不器用なんだよ、好きなのに自信ないから辞めたいってスカイラーらしくないぞ。怖い気持ちは勿論わかる。人とは違う道に行くんだから。でも、ここで諦めるのか?


〈スカイラー〉諦めたくないけど、怖くて……


〈椿〉なんで? 怖いの?


〈スカイラー〉私、ヴィオラ下手なの


〈椿〉ん? 俺らがコンサート行った時、感じたのはスカイラーってすげえなって、こんなの誰でもできる演奏じゃないって思ったぜ


〈スカイラー〉私ぐらいのレベルは多くいるよ、最近先生にも怒られるようになって。学校も行かず、練習多くして通ったけど、中々上手く行かなくて。

オーストリア行きも、みんなになんて言ったらいいかわからないし、なんか離れて行きそうで、怖い……


〈椿〉スカイラー、お前って本当にバカだな


〈スカイラー〉は!? 何言ってるの? 貴方よりはいいわよ!


〈椿〉そうじゃねえよ、俺らやクラスのやつがそんなことでスカイラーから離れたりしないぞ。それはお前も分かってるだろ?


〈スカイラー〉それは……


スカイラーは黙ったまま言葉が出ない。それを2人は見守っていた。


と、そこにピーピーと音が鳴る。ハッとスカイラーは思い出す。


〈スカイラー〉あ! ごめん、これからスクールだった! 時間のアラームしてたの。ごめんね! 今日はもう帰るね! ありがとう


と、ヴィオラの入ったケースを持ち、音楽室を出た。


〈椿〉ああ、またなスカイラー


そこで、椿と一星は顔を合わせる。


〈一星〉お前今俺と同じこと考えてるだろ?


〈椿〉なんだ? お前もか?


〈一星〉椿、スカイラーのためにいっちょやるか?


〈椿〉あぁ! 当たり前だ! だが、まずは仲間を集めないとな


〈一星〉そうだな!!


と、ニコッとしながら2人は拳を合わせて、文化祭でなにかスカイラーのために一つあることをやろうと考えて、動き始めた。


2人は何をしようとしているのか。


ー #72日目 文化祭準備編3 音の時 ー 続く







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