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本社勤務と現場の最前線で働くことの違いを体感する:みずほ銀行に勤めている◯年前の私へ(財務サービス部編1)

心理的安全性が確保されている職場では客観的な視点を養える

銀行に入って2回目の転勤で配属になったのが、財務サービス部。スワップやオプションといった金融派生(デリバティブ)商品というものを取りまとめる部署になります。

しかも、正式に配属になったのではなく、半年間の研修プログラムの一環として所属することになりました。

それまでは支店勤務だったのが、本部勤務になり、しかも、研修生扱いということなので、仕事のやり方や取り組み姿勢が一変しました。

研修生は最後に研修レポートを提出するという課題はあったものの、「毎月新規の取引先を5社開拓しろ!」といったノルマはありません。

当時銀行としても収益力アップのために力を入れていたデリバティブ取引に関する知見を持った行員を育てるというのが主目的。このため、仕事で成果を上げるというよりも、仕事で使える知識やノウハウを実践で使えるようにすることに力点が置かれていました。

特に最初の1ヵ月ぐらいは、財務サービス部に所属する諸先輩方が代わる代わる講師になって、研修生を教えるという時間が大半でした。

このため、昼休みはたっぷり1時間取れるし、夕方5時になったら帰ることもできるという状況。支店にいた時は忙しいと昼休みに食事を取る時間がなかったり、毎晩11時近くまで残業していたり、といったことから比べると、まさに天国のような環境でした。

もちろん、部に正式に配属されている行員の方々は、時には残業されたりしていました。しかしながら、研修生は言ってみればお客様扱いなので、残業もノルマもない状態だったのです。

そして、お蔭様で基礎からしっかり学ぶことができたので、それまで苦手だったデリバティブ取引が自分の得意領域の一つになったのが最大の収穫でした。

銀行の場合

本部勤務=エリートが働く場
支店勤務=修行の場

という感覚を多くの人が持っています。

研修生の場合は、半年の研修期間が終わったら、基本的にはまた支店に配属になるという前提だったので、幸い自分がエリートになったという勘違いはありませんでした。

しかしながら、あまりにも、本部と支店との落差が大きいために、本部で長く働いていると、「俺は偉いんだ」と勘違いする人も出てくるのはやむを得ないかもと感じた次第。

会社が大きくなると、お客様と常に接している現場と、本社や本部でお客様とは直接接する訳ではない部署との間で、認識のギャップがどうしても生まれます。

現場での肌感覚は大切です。一方で、現場から少し距離を置いた位置で客観的、俯瞰的に全体を見て判断することも大切です。

本部勤務を初めて経験したことで、目の前の目標を達成することから距離を置くことになり、いろいろと新しく見えてくることがありました。

どういう経緯や事情で私が研修生に選ばれたのかは分かりませんが、この財務サービス部での経験は、転勤というよりは転職したのと同じくらいのインパクトがあったと思います。

ただ、先日放送されたNHKの「チコちゃんに叱られる!」でやっていたのですが、人は

・楽しいこと→ざっくりとしか覚えていない
・つらいこと→詳細に覚えている

そうです。

これは人の本能として「つらいことは二度と繰り返したくない」という危機回避能力が働くために、「楽しいことや嬉しいことより、つらいこと、嫌なことをより鮮明に記憶する」傾向があるからだとか。

そういう意味では、今振り返ってみると、財務サービス部にいた半年間は「楽しかったなぁ」という記憶はあるのですが、ざっくりとしか覚えていないような気もします。

このため、財務サービス部編は短くなりそうな予感ありです(苦笑)。


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