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自分の棚卸しをする際にスキルの棚卸しだけでは足りない時代が来ている

自分の棚卸しをするという時、たいていは過去に経験したことや取り組んできた仕事について書き出します。

いわゆる履歴書や職務経歴書に書くことで、自分の棚卸しをされた方も多いかと思います。勤務先や経験部署については事実をベースに淡々と記載できますが、ちょっと難しいのが具体的な仕事の中身。

例えば、一口に経理の仕事といっても、会社によってその仕事の範囲は異なります。日々の記帳から決算書の作成、税務申告や銀行との交渉など、幅広く会社のお金に関する仕事をやってこられた人もいれば、経理部の一員として連結決算の仕事にずっと携わっている人もおられます。

このため、どの部分に焦点を当てるかによって、棚卸しした価値も大きく変わってきます。そして、これに関しては、人材紹介会社などが経歴書の書き方を教えてくれたりします。

しかしながら、これらの経験や仕事に関する棚卸しは、言ってみれば「スキル」の部分。どういうスキルがあって、そのスキルを使って、どのような成果を出せるのかという、機能価値に相当するものです。

一方、自分の棚卸しという際に、自分の感情や思考について、しっかりと棚卸しする人はまだ少ないように感じます。

例えば、先の東京オリンピックの大会組織委員会の会長を巡る一連の騒動。あれに関して、不快感や嫌悪感を抱いた人は多いかと思いますが、その理由は一人ひとり違います。

同じ「女性蔑視」という点に腹が立ったとしても、「自分も過去に同じような経験をしてきたから憤りを感じる」という人もいれば、「オリンピックの精神に反するので、ふさわしくない」ということに反応する人もいます。

つまり、一つの事象に対して、表面的には同じ理由で感情が動いたとしても、一人ひとりの個性は違うので、その感情が動くポイントは異なり、その考え方も違ってきます。

スキルを棚卸しして他者と差別化を図ろうとしても、よほど特殊な仕事をしていない限り、差別化するのは難しくなります。すると、転職する際には「より若い人」や「給料がより安くても働いてくれる人」が選ばれる傾向になってしまいます。

一方の感情や思考の棚卸しの場合、一見すると同じような考えの持ち主であっても、「なぜそのように考えるのか」については、一人ひとりの人生は違うので、無理しなくても自然と差別化できるポイントになります。

今は「多様な人材を活かします」と掲げる会社も増えています。けれども、実際には人を採用する際に、本人のスキルの有無やその優劣等で判断しているケースが少なくありません。

もちろん、スキルについては感情や思考に比べると、見える化しやすいので、分かりやすいし、比較しやすいという特徴があるので、スキル中心に人の採用を判断するのはやむを得ない側面があります。

一方で感情や思考の場合。会社が目指すべき方向性や経営方針がよほどしっかりしていないと、「こういう考え方を持つ人がはたして当社で活躍できるのか?」と見極めるのが難しいです。つまり、多様性を活かすためには、その多様性を活かすための土台と度量と眼力が必要ですが、それらの要素をすべて備えている会社は残念ながら少ないのが現状です。

AIの発達もあり、見える化できるスキルの部分は人でなくても対応可能な部分が今後も確実に増えてきます。つまり、人を活かせるとすれば、人の感情や思考の部分をどう仕事に活かしていけるのかの比重が増してきます。

その際、弊社としても、今取り組んでいる仕事をどう活かして、人と会社の成長に繋げていくかについて、更に知恵を絞っていきたいと思います。

なお、自分の感情や思考の棚卸しにご興味のある方は「こちら」をご参照ください。


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