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「お金の見える化」と「仕事の見える化」を経て「人の見える化」へ

ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。

会社を経営していく際には必ず複数の人が関わってきます。

一人社長の会社では社員はいませんが、お客様、仕入れ先や外注先等のお取引先等を含めると、なんからの形で共有するものがないと、上手く経営できません。

  • 人の見える化

  • 仕事の見える化

  • お金の見える化

という3つの視点から考えると、簡単な順番は

お金→仕事→人

です。


お金の見える化

お金の見える化で鍵となるのは「利益」の見える化

現金と預金の残高はすぐに把握することができます。そして、これらの現預金がうまく回って長期的にキャッシュフローが最大化するためには、「利益」をいかにして上げるかがポイントです。

けれども、この利益はあくまで計算上の数字。「今月は1,000万円の利益が出た」と言っても、その利益が

・売上高から売上原価を引いた粗利(売上原価)なのか
・固定費や税金等も差し引いた最終的な利益なのか

によっても違います。

また、仮に「粗利が1,000万円だった」としても、商品を売ったお金が入金になるのは来月末だという場合、今の時点で1,000万円の現金を目にすることができません。

このため、お金の見える化では

  • 利益はいくらなのか

  • 利益はいつ実現するのか

  • 利益がどのくらいの確率で実現するのか

を把握することで実現できます。

数字が苦手な人は難しいと感じるかもしれません。けれども、この利益の把握は、勘定科目や仕訳等の理解がなくても、足し算、引き算、掛け算、割り算という四則演算ができれば誰でも計算することができます

仕事の見える化

仕事の見える化は商品やサービスを作る&売るというプロセスと密接に関連しています。

  • 商品を通して提供する価値は何か

  • 商品を作って販売するための戦略・戦術・プロセスはどうか

  • 商品の品質やレベルで大切している基準はどこにあるか

が言語化できれば、仕事の見える化できます。

これは四則演算ができれば誰でもできるというものではありません。お客様のニーズも多様化しており、そのニーズの変化も激しいので、いま売れている商品がそのまま永久的に売れ続けることはありません。

このため、提供する価値も、戦略・戦術・プロセスも、品質やレベルも常に見直してアップデートすることが求められます。

また、難しいモノづくりや大型の建設工事などで自社以外の会社が関わって仕事をする場合、「誰が、いつ、何を、どうする」という点で共通認識がないと、せっかく受注した案件も上手く成果に繋げられません。

難易度はお金の見える化に比べると格段に上がりますが、商品を通して提供する「価値」をしっかりと見極めることができたら、「計画→行動→検証→改善」を繰り返していくことで、自社なりの正解を見つけられます。

人の見える化

仕事のプロセスをできる限り合理化し、ITを駆使することで、論理的にはお金が回り、仕事が回る仕組み自体をつくることは可能かもしれません。

しかしながら、その仕組みを運営するのは最終的には人であり、その仕組みを利用して商品やサービスをお金を払って購入するのも、最終的には人になります。

したがって、いかに精緻なビジネスモデルを作ったとしても、それが価値を生み出し、成長するには人に対する理解が欠かせません。

お金の見える化では目に見えない「利益」の見える化が鍵です。

仕事の見える化では、商品やサービスを通してどのような「価値」を提供するかが鍵となりますが、この「価値」も、やはり直接は目に見えるものではありません。

そして、人の見える化の場合。

人がどのような言葉を発し、どのような振る舞いをするかという「行動」は目で見ることができます。しかしながら、その「行動」の奥にある「思考」や、その思考を形成する基になる「感情」については直接目にすることはできません。

しかしながら、少なくとも自分の思考や感情については、自分自身が答えを持っています。したがって、普段の生活や仕事の中で、自分を冷静に観察することで、自分の「感情→思考→行動」の流れを理解すること可能です。

「こういうことに自分は感動するんだ」
「あの時、頭にきたのはこのように考えたからだ」
「今日はすごく集中して仕事ができたのはこれがあったからだ」

といったように、「感情→思考→行動」の流れとその構造が腹落ちすると、自分という人に対する見える化はできます。いわゆる自己認識です。

このプロセスもけっして簡単とは言いませんが、ご本人が本気で見つけたいと思ったら、100%見つけることはできます。これは弊社がここ10年以上にわたって延べ50人以上のクライアントさんの価値判断の基準を言語化してきた実績から自信を持って言えます。

では、第三者である人の見える化についてはどうでしょうか。

人は自分以外の人を100%コントロールすることはできません。それは親子などの家族であっても、会社における上司・部下の関係においても同じです。

いくら心理学を勉強しようが、最新の脳科学をメソッドを取り入れようが、人にはそれぞれオリジナルの感情があり、その感情に紐づいた思考を持っているため、人が他人を100%理解することは不可能です。

それを面倒くさいと捉えるか、面白いと考えるかは人それぞれですが、少なくともお金の見える化や仕事の見える化に比べると、難易度として高いのは間違いありません。

人的資本経営の時代に感じる違和感

昨今は人的資本経営として人に注目する会社経営に各社とも力を入れています。また、少子化が進み、就業人口が減る中で、社員の待遇改善など、福利厚生に注力している会社も少なくありません。

けれども、会社はあくまで仕事を通して社会に価値を提供することで存在意義を発揮する場

無駄な会議の廃止や長時間労働の是正など当たり前にやるべきことはやるのは大前提として、必要以上に社員に擦り寄るような施策にはやや違和感を覚えます。

ましてや、会社に新入社員として入社したばかりなのに転職サイトに登録した人が一定数いるといったニュースに接すると、そのような人も満足させるような対策を考えるのは、会社の存在意義からすると違うのではないかと感じます。

人づくりのために進める順番あり

私は起業当初は最初の「お金の見える化」をメインに取り組みました。そして、途中からお金の見える化ができた後は、「仕事の見える化」をしないと、会社は事業を続けていけないと感じ、そこに重点を置きました。

そして、現在は最難関である「人の見える化」の側面からクライアントさんをサポートする機会が増えております。

先月から始めた「セルフプロデユース講座」はその一環です。従来は経営者や個人事業主などいわゆる経営を行う人をメインとして始めたコンテンツを進化させたものになります。

例えば、会社で働く社員の中で、少なくとも自分の「感情→思考→行動」のプロセスが分かり、自分がどのようなことで本来の力が発揮するかを自覚できる人が増えたら、お金の見える化と仕事の見える化がある程度できている会社であれば、さらに業績を伸ばせる可能性が高まります

業績が良い会社の経営者が異口同音でおっしゃるのは「会社経営は人づくり」。

しかしながら、そこに至るには一定のプロセスが必要です。

まずは利益を把握してお金を見える化し、提供する価値を言語化して仕事を見える化する。そして、その提供する価値に共感する人が自然と成長していく座組みができたら、経営者も、やりたいことがより早く、より確実にできるようになります。

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