会社には絶対に守らせたいルールがある:みずほ銀行に勤めている◯年前の私へ(西新宿支店編8)
会社で決めたルールをどのようにして徹底するか。
これは会社の大小を問わず、多くの会社で取り組んでいる課題です。
この点、銀行の場合は権限違反という点ではかなり厳しい組織です。
お客様から大切なお金を預かったり、所定の書類に署名・捺印をいただいたり、ということが日常業務としてあります。
これらは集金帳に記入してお客様に控を渡すのはもちろんのこと、担当者は支店に戻った後、預かってきたお金や書類を所定の人に渡す、所定の場所に保管するというルールがあります。
今でも時々、「銀行員がお金を横領した」というニュースが出ています。しかしながら、私の肌感覚としては「長い期間に渡って不正を隠すのは不可能」です。
なぜなら、ルールを徹底するために、店内検査、本部検査、(金融庁などによる)外部検査があるからです。
西新宿支店に在籍している時、私の同期(以下A君)が取引先から遅い時間に戻ってきました。彼の担当先はかなり遠方にあったため、時には支店に戻るのが遅くなることもあったのです。
A君はその時、取引先からお客様からいわゆる重要物を預かっていました。たしか現金はなかったかと思いますが、本来は金庫の中に保管しなければならない重要物を持って帰ってきたのです。
しかし、運の悪いことに帰社時間が遅かったので、既に金庫は閉まっていました。このため、A君はやむなく重要物を自分の机の中に入れて、その日の仕事を終えました。
そして、さらに運の悪いことに、翌朝店内検査がありました。
店内検査では、担当者の机などを調べて、
・引き出しの鍵はしっかりと施錠されているか
・お客様から預かった重要物などが入っていないか
などを副支店長や課長がチェックします。
このため、A君は銀行が決めたルールを守っていないことが発覚してしまったのです。そして、しばらくすると、A君は別の支店に転勤させられました。
A君はなにか不正をしようとしていた訳ではありません。ルールを守らなかったのは事実ですが、もし、遅く帰社した翌日に店内検査がなかったら、そのルール違反は発覚しなかったかもしれません。
いずれにせよ、銀行としては
・ルールを守るために定期的に検査を行っている
・ルール違反が発覚した場合は、担当者に処分を下す
ということで、ルールを守ることを徹底させています。
実際、私自身もA君に対する銀行の対応を見て、改めて「重要物の保管ルールは絶対に守らないとダメだ」と自覚しました。
その後、銀行を退職して、定期的な検査などがない会社に勤めた際、解放感を感じる一方で、「会社が決めたルールを徹底するにはどうしたら良いのか」という思いも頭に浮かびました。
重要物の保管ルールは銀行が徹底しようとしていたルールの一つ。
銀行のやり方がベストだとは思いませんが、会社として社員に絶対守らせたいルールは、会社が厳しい覚悟を持って臨まないと、浸透しないのも事実。
まずは会社として譲れないルールを一つ決めて対策を考えましょう。
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