「社員を増やせば利益も増えるのか?」は見たくもないし、言いたくもないし、聞きたくもないけれど、真正面から向き合う課題の一つ
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
売上を増やす方法を経営者にお伺いした際、必ずと言っていいほど出てくるご回答が「社員を増やす」です。
ただ、「社員を増やしたら、利益も増えますか?」と追加で質問すると、「利益も増えます」という明確にご回答される方はぐんと減ります。
1×1=3
算数の式としては間違っていますが、会社経営においては、この数式が成立するかどうかで、その後の業績の伸びが大きく変わります。
社員を一人増やすケースで、既存の社員Aさんと新規に採用する社員Bさんの力をそれぞれ1だと仮定します。
AさんとBさんがまったく別の仕事をする場合、二人が寄与する会社の価値は、普通
1+1=2
となります。
けれども、AさんとBさんが同じような仕事をする場合
1×1=1
のように、人を増員したにも関わらず、会社の価値は1人の時と変わらないということがあります。
また、時にはAさんとBさんの相性が悪くて
1×1=0.5
のように、人を増やしたのに、かえって価値が減るというケースもあります。
経営者として、少なくとも
1×1=2
は確保したいところです。
そして、できれば、相乗効果として
1×1=3
を目指していきたいところです。
では、一人社員を増やした時に、その人が本来持っている価値以上の効果を会社にもたらすためには何が必要なのでしょうか?
先日もクライアントさんとのセッションの中で、「社員を増やしたら、本当に利益は上がるのか?」ということが、議題に上りました。
単純に考えれば、1人営業の社員を増やしたら、その分、売上が上がる可能性があります。
けれども、増えた人件費を勘案した利益ベースで考えた時に、1人増員することで、かえって利益が減る恐れがあります。
当然のことながら、新しく入った人がすぐに仕事に慣れて売上に貢献できるとは限りません。一定期間、社内で教育する必要があります。
また、営業の仕組みが会社として確立しておらず、各営業担当の属人的なやり方に任されている場合。よほど営業センスがある人でないと、期待している以上の結果を残せないのが普通です。
つまり、会社として
1.社員の教育方針や教育方法
2.仕事の中味とプロセスの見える化
3.人件費を含めた事業の採算見通し
がある程度できていないと、社員を増やした結果、かえって利益が減ることがあります。
ある会社では社員を1名増員して売上は2倍に増えたけれど、新しく伸ばした事業の粗利率が低かったために、赤字を計上してしまいました。このケースは事業の採算見通しが甘かったケースです。
一方、別の会社では、ある資格を持った人に財務の管理体制強化を依頼しましたが、経営者が忙しくて任せきりにした結果、かえって数字が見えなくなりました。これは仕事のプロセスが属人化してブラックボックスになった事例です。
人手不足の問題もあり、中小企業ではなかなか良い人材を確保できません。また、大企業と言えども、せっかく優秀な人を採用しても、すぐに転職してしまうという現状があります。
しかし、このことは視点を変えれば、「人に依存しないで、もっと収益を改善できる方法はないか」を見つけるチャンスでもあります。
あるクライアントさんでは、社員が2名退職することをきっかけに事業のあり方そのものを見直しし、売上は下がるかもしれないが、かえって利益が上がる道筋が見えてきました。
前述の1~3のポイントの中で、採算見通しについて数字を積み上げて仮説を立てれば、それほど難しいことではありません。仮説が外れることもありますが、回数を重ねて精度を上げることは必ずできます。
やっかいなのは、人がからむ人材育成や業務プロセスの見える化の部分。これらは数字の見通しと違って一筋縄ではいきません。時間も手間もかかりますが、避けては通れない課題になります。
1×1=3
人手不足がすぐに解消することが難しい状況にあっては、これが実際の業務と結びついてイメージできるようになれば、大きく飛躍できる可能性ありです。
なお、やり方を変えてもなかなか良い解決策が見つからない時は、会社としてのあり方を見直すことで、今まで考えつかなかったような解決策が見つかります。
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