見出し画像

7つの位置を変えて、したたかに生き抜く会社をつくる

ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。

弊社では「感情と勘定を整えて、したたかに生き抜く会社をつくる」ことに取り組んでいますが、「したたかに生き抜く会社をつくる」際にポイントになるのは「7つの位置を変える」ことです。

  1. 経営理念の位置を変える

  2. 目指す数字の位置を変える

  3. 焦点を当てる位置を変える

  4. 思考の出発する位置を変える

  5. 役割として担う位置を変える

  6. お客様との位置を変える

  7. ゴールの位置を変える

このうち、1〜3は組織づくりに関すること、4〜6は人づくりに関すること、そして、最後の7は経営者ご自身に関することになります。

経営理念の位置を変える

中小企業の場合、会社の経営理念があっても、有名無実化しているケースが少なくありません。「お客様の笑顔を大切にする」といった立派な経営理念を掲げられていても、社員はお客様の顔色ではなく、社長の顔色を気にしながら、仕事をしているのです。

もちろん、立派な社長の下ではそれで上手くいくかもしれません。けれども、社長だって人の子。イライラすることもあれば、業績が悪くなれば、経営理念とは真逆に「客を泣かしてでも売上を上げてこい」という指示を出すケースもあります。

特に社長がオーナーであり、経営のトップでもある場合は、法律違反や何か大きな事件でも起こさない限り、事実上社長の暴走を止める人は誰もいません。

法人である会社と個人である社長とは本来別々のものであり、会社が長く事業を続けていくためには、経営理念をしっかり明文化し、もし社長が経営理念と反する言動があったら、社内でそれを指摘して、修正できる体制をつくることが求められます。

目指す数字の位置を変える

営業などで目標を立てる場合、最初は「今月は一人100万円の売上を目指す」といったように売上高に注目するのが一般的です。

それ自体悪いことではありませんが、注意しなければならないのは、数字は一人歩きすること。

最初は100万円だった目標がやがて500万円、1,000万円というように、目標値が上がってくると、達成するのがだんだん難しくなります。すると、社員の中には目標をクリアするために、値引きをして売上を増やしたり、支払条件を変えて売掛金の回収時期を遅らせたりする人が出てくることがあるのです。

会社の数字的な目標で言えば、長期的にキャッシュフローが最大化することです。したがって、戦略的な値引きはありですが、安易な値引きはご法度であり、売掛金の回収条件も前倒しはO Kでも、後寄せは慎重に対応する必要があります。

損益計算書の一番上に位置するのが売上高ですが、目指す目標としては、一番下にある利益に位置を変えることで、資金繰りがしっかりと回るような目標設定に変えていかなければなりません。

焦点を当てる位置を変える

これは仕事を行う際に、自社の問題に焦点に当てるのではなく、お客様の問題に焦点を当てるということです。

モノや情報が溢れている中、お客様の関心は「その商品(サービス)を使えば、自分の問題や悩みは解決するのかどうか」です。お客様にとって、売る側の社内事情や都合は関係ありません。嫌なら他社から別の商品を買えば済むだけの話です。

このため、「その商品が買えるのは世界で我が社だけ」という状況でない限り、商談の場においても、

  • 自社の都合→お客様のお困りごと

  • 自社の商品→お客様のお困りごとの解決方法

  • 自社の利益→お客様のベネフィット

に焦点を当てることが求められます。

この部分は前述の自社の利益を大切にすることと矛盾すると感じるかもしれません。ただ、利益の源泉となる売上高はお客様がもたらしてくれること、そして、会社の数字的な目標は長期的にキャッシュフローを最大化することであることを踏まえると、一見すると損に見える行動が実はそうではないことを多くの会社が実証しています。

思考の出発する位置を変える

何かしらやりたいことや、やらなければならないことに直面した際、思考パターンとしては

  • できない理由を出発点に考える

  • どうやったらできるかを出発点に考える

の2つに分かれます。

これは思考の癖なので、どちらのパターンが良くて、どちらのパターンが悪いということはありません。ただ、人の本能は変化を嫌うので、人数からすれば、前者のできない理由を出発点に考えて、「お金がないからできない」「時間がないからできない」「面倒くさいからやりたくない」となりがちです。

このため、もし、本人ができない理由を出発点に考えるという自覚があるなら、思考の出発する位置を変えて、「どうやったらできるかを考える」ことを意識することで、他者から一歩抜け出して、新たな価値を生み出せる可能性が高まります。

役割として担う位置を変える

人には自分の力を最も発揮できる立ち位置があります。我々はその立ち位置を

  • 先頭(機関車型)

  • 中心(センター型)

  • 後方(見守り型)

  • 舞台下(演出家型)

という4つに分類しています。

管理職についているかどうかは別にして、最近は仕事でリーダーシップをいかに発揮するかが大切だとよく言われています。

そして、典型的なリーダーシップの発揮の仕方として、多くの人がイメージしているのは、先頭に立って皆を引っ張る機関車型や、組織の真ん中で皆をまとめていくセンター型です。

しかしながら、中には後方でメンバーを見守ることで力を発揮する見守り型の人もいれば、舞台下で、いろいろと段取りすることで力を発揮する演出家型の人もいます。

ここで、問題となるのは、本人が自分が最も力を発揮できる立ち位置を自覚していないことと、仕事の中で求められる役割としての位置が自分の得意な立ち位置と必ずしも一致しないということです。

実際、あるクライアントさんは本来見守り型で見守る力を発揮できるのに、会社としてはリーダーとして社員をグイグイ引っ張ることを求められていたため、毎月会議があるたびにモヤモヤされていました。

けれども、自分は見守り型が得意だけれど、今は機関車型の役割が求められていることが分かった後は、自分の中で感情の整理ができたことでモヤモヤが収まり、頭を切り替えて仕事ができるようになったのです。

お客様との位置を変える

多くの商売は会社が商品やサービスを提供し、その価値を認めたお客様がお金を払うという等価値交換型で成り立っています。

一方で、最近注目されているのは、共同プロジェクト型です。

例えば、家をリフォームする場合。

等価値交換型で考えれば、お客様のご要望を聞いて、会社が見積りを出し、それで合意すればリフォーム工事をして、最終的にお客様がお金を払って終了となります。

共同プロジェクト型の場合は、「どういう家にしたいのか」「そこで、どのような暮らしがしたいのか」をお客様とリフォーム会社側が一緒に考え、予算等も勘案しながら、お互いに納得のいくリフォームを目指していくスタイルです。

等価値交換型の場合、どうしても、会社側はできるだけ高く、お客様側はできるだけ安くしたいと考えます。その結果、最終的に合意した内容がお互いにとってベストのものであるとは限りません。

一方の共同プロジェクト型の場合、「住まいをリフォームして、より快適な暮らしをしたい」という共通の目標に対して、それぞれがプロジェクトメンバーとしてベストを尽くすことから、最終的な満足度の総量は等価値交換型よりも高くなります。

日用品の販売など大量生産、大量消費するものには当てはまりませんが、ちょっと高額の商品やサービスなどは提供する側とされる側が一体となることで、さらに付加価値が上がる可能性があります。

ゴールの位置を変える

これは経営者が過去の経験や実績に囚われずに、新たなゴールを設定することを意味します。

人は自分が経験したことや本で読んだこと、親や先生や上司から言われたことなどをベースにして「将来はこうしたい」とか「将来はこうなるかも」とイメージしています。それで順調にいっていれば良いのですが、中には「頑張っている割には思ったような結果になっていない」と感じておられる人もいます。

また、前述のように人は本能的に変化を嫌うので、仮に現状に満足していなくても、そこから抜け出すことに対する抵抗感が新たな取り組みに挑戦することを邪魔することがあります。

1〜6で述べたことに対しても、「そうだよね」「そうなったら良いよね」と頭では理解しても、いざ何かをやろうとしても、なかなか行動できないのはそのためです。

そのような場合、過去や現在の延長戦ではない所にゴールを設定しないと、満足いかない現状を大きく変えることはできません。

このため、会社を改革して、最終的にしたたかに生き抜く会社をつくるためには、第三者の力も借りながら、経営者が自分の想像を超えるような位置でゴールを設定できるかどうかが大きな鍵を握っています。

特に中小企業の場合、1の経営理念の位置を変えるにあたり、経営者が今想像しているよりも、ぐんと高い位置にゴールを設定できたら、会社は大きく変わります。

追伸

なお、「したたかに生き抜く会社をつくりたい」とお考えの方はお気軽にお問い合わせいただければと思います。↓ ↓ ↓


この記事が参加している募集

この経験に学べ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?