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出張を社員が自分事として仕事の成果につなげるために必要な発想の転換:みずほ銀行に勤めている◯年前の私へ(財務サービス部編4)

厳しい出張規程を決めてルールを徹底させるより、目的と成果から逆算してメリハリのある経費の使い方を見極める

仕事によって、出張のある人とあまり出張のない人に分かれます。
 
銀行の場合、支店で働く担当者の場合、ほとんど出張はありません。地方の支店に配属になり、集合研修に参加するために東京へ出張するということはあっても、基本は支店の担当地域内の活動に留まるため、仕事で出張に行くことはあまりありません。
 
私も大手町支店と西新宿支店という、たまたま都内の支店しか経験していなかったので、財務サービス部で最後の方に、鳥取と松江に一泊二日で出張に行ったのは、社会人になって初めての出張でした。
 
これは研修制度の一環として、6ヵ月研修期間の終わり近くに、地方の支店に行ってお取引先に訪問し、専門家としてデリバティブ商品を説明するというプログラムが組まれていたのです。卒業旅行ではありませんが、行ってみれば一種のご褒美旅行という感じです。
 
それまでも、研修期間中に都内の支店には何回か訪問したことはありました。けれども、飛行機に乗り、ホテルに泊まって仕事に行くというのは人生で初体験でした。
 
その後、銀行員時代には何回か出張に行く機会がありました。また、最近は少なくなりましたが、起業してからも何回か出張に行っています。
 
そして、銀行員時代と起業してからの出張を比較すると、出張に対する意識が全然違っているのを感じます。
 
費用面から言えば
 
・銀行員時代:銀行負担
・起業してから:会社負担
 
ですが、後者の会社負担は実質的に私や取締役が働いてお客様からいただいたお金から捻出されます。
 
銀行負担の場合は、役職や行き先等によって交通費はいくら、宿泊費は1泊いくらまでという規定があります。けれども、その規定を守っている限り、自分の懐は一切痛みません。
 
一方の独立してからの会社負担の場合。
 
私と取締役の2名で運営している会社なので、今現在出張規程のようなものは定めていません。このため、グリーン車に乗ろうが、スイートルームに泊まろうが、私の一存で決められます。(ちなみに冒頭の写真は鳥取砂丘。銀行員の時の出張では行くことができませんでしたが、起業後に鳥取県に出張した際、立ち寄ることができました。)
 
しかしながら、商談や打ち合わせをする目的で出張するので、最終的に売上に繋がらないと、最後は自分の懐に跳ね返ってきます。
 
このため、特に細かく規定を定めなくても、自ずとコントロールが働くと共に、「この出張でどのような結果を得るのか」という出張の目的に対する意識が強く働きます。
 
普段と場所が変わって、気分も変わるので、出張は楽しいものです。けれども、独立してからは、出張は楽しいだけでは終われないのです。

先日、テレビで出退勤は本人の自由であるという会社が紹介されていました。けれども、そこでは自ずとコントロールが働いて、社員が誰も会社に来なくて困るという自体は発生していないのです。

組織として活動する場合、いろいろな価値観の人がいるので、一定のルールが必要です。そして、何か問題が起こると、たいていの組織はより細かいルールを定めて組織に所属する人を縛ろうとします。
 
しかしながら、いくらルールを厳しくしても、その組織に所属する人たちが問題となっていることを自分事にしない限り、そのルールを守ろうしない人が必ず出てきます。
 
出張の場合で言えば、多くの社員にとって出張の費用を会社が負担するのは当たり前という認識です。実際、私もサラリーマン時代にはそうでした。
 
けれども、単に出張規程を作って、それを守っているだけでは何も変わりません。逆に、これからは
 
・お客様との商談の成功確率が上がるのであれば、高級ホテルに泊まるのもO K
 
とか
 
・出張規程の基準との差額分は契約が取れたら還元される(契約が取れなければ、自己負担にする)
 
といった運用も時には必要ではないでしょうか。
 
一時に比べると、出張も徐々に増えつつあります。けれども、出張はあくまで仕事の一環。その成果を上げるために、削るべきことは厳しく削り、増やすべきところは思い切って増やすという柔軟な対応が求められています。
 
初めて仕事に出張に行ってから既に30数年経っていますが、あの頃はまだ日本の企業もいろんな意味でおおらかな時代でした。


 

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