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【レポート】コモノノモコの演劇教室#2


コモノノモコの演劇教室を受講して 

                 松尾曉那
今回のコモノノモコの演劇教室は「話し方・演技初級クラス」と「演技中上級クラス」に分かれており、私はその二つどちらも受講させていただきました。
私は演技者を目指しているわけではないのですが、WSの講師をしてくださる伊集院もと子(モコ)さんが主宰するCOoMOoNOの演技に惹かれ受講させていただきました。
私は演劇活動をしていきたいと思っているくせに、演技に対して若干の苦手意識がありました。今までその苦手と感じる原因や理由を説明できず、ぼんやりとした苦手意識だけで「演技」という演劇をしていく上で必要不可欠な行為を避けていました。そんな中COoMOoNOの公演に演出助手として関わらせていただく機会があり、そこでの演技は苦手と思わず、すんなり受け入れられる経験をしたので、もっと深く知りたい、向き合ってみたいと思ったのが、受講を決めたきっかけです。

それではWSの感想を「話し方・演技初級クラス」「演技中上級クラス」と分けて書いていきたいと思います。感じたことが多すぎて全てを書くことはできないのですが、感じたことの中で特に強く印象に残っているものを書いていきたいと思います。

「話し方・演技初級クラス」

私はこのクラスは、どんな人でも受ける価値のあるものだと断言することができます。日常生活に活きるコミュニケーションのコツを学ぶことができるクラスだと感じました!
コミュニケーションが苦手という人は多くいると思いますが、その中のどれくらいの人が「なぜ自分がコミュニケーションを苦手だと感じるのか」を把握できているでしょうか?私はそれを理解せずに漠然とした他人への恐怖心で、うまく人と関われないのだと思い込んでいました。それがWSを受講していくうちに自分の内情を理解でき、人とのちょうど良い距離を計るきっかけを得ました。
WSでは、参加者が円座になり、話をしたり聞いたり、詩や短い台本を読んでいきます。
ただ声を出す、文字を読み上げるだけ、と思うかもしれませんが、その中で様々な気づきが毎度生まれていきます。モコさんが一人一人にコメントを返してくださるのですが、それが自分自身では気付けないものばかりでいつも驚かされました。
例えば、私も初めは何の意識もせず詩を読み、自分が緊張していることは分かるものの、読み上げたものがその緊張にどれだけ影響されているのか、自分自身がどんな状態なのかが分からずにいました。しかしモコさんから「全員に伝えるように話してみて」と言われ、その通り実践しようとすると、途端に声が震えてしまうことがあり、初めの段階では伝えようとせず殻にこもって声を出していたのかもしれないということに気がつきました。他の参加者からの感想でも、意識をして読んだ時の方が聞こえがいいという事があり、自分の感情だけでなく、外から聞いた私の声にもそんな風に変化があるのかと驚きました。
それから何度か意識を向ける場所や人を変えて声を出し、自分の声が震えない、怖くない場所を探したりもしました。これが非常に面白いワークで、ぜひ皆さんにも体験していただきたいです。
普段のコミュニケーションの中では、自分にきちんと向き合う余裕がない人が多いと思いますし、何より自分では気がつくことのできない小さな変化のことが多いです。
話している時の自分自身に自覚的になる、というのは自分でしかできないことのように思えますが、実際には他人からのアドバイスや言葉によって気づくことの方が多いと感じます。本当は普段のコミュニケーションでも、そんなふうに自分を認識しながら他人と付き合えたらいいのでしょうが、現代の人は忙しくてそんな余裕もないのかも……。WSでは、モコさんに的確に聞いてもらえてアドバイスももらえるのでとってもおすすめです!
その上で、今回学んだ「自分の状態をコントロールする」ことを、日常の中で気をつけ続けるのは非常に難しいということも実感しました。しかし、「どんな声もある」ということを受け入れて、自分が出した声を聴くことで、今自分がどんな状態かを把握できればそれを改善することができます。
それを知ることができたことで、今後人と関わる際の心のざわざわを分析し、うまく他人と付き合っていけるような気がしています。

「演技中上級クラス」

こちらのクラスでは「話し方・演技初級クラス」で学んだことを演劇に活かしていくことが、非常に難しいということに気がつきました。
読むべき台本があるということで自分自身の体に少しブレが生じる感覚があり、これが非常に面白かったです。読み上げるセリフに、勝手な意図を含ませてしまうというか、わざとコントロールできないところに投げてしまっている感覚がありました。そうすると、私は「恥ずかしい」という気持ちでいっぱいになるので、「これじゃないんだよなあ」と思うのですが、どうにもコントロールするのが難しい……。そうなってくると自分に必死で、相手の言葉を聞くこともおぼつかなくなってしまいます。
そのせいで会話がごたついてしまい、相手と同じ話をしている実感を抱くことが難しいと思うことが何度かありました。
その中でモコさんから「全部が最初からあってそれを一個一個説明していくだけでいい」「どんなシーンで、何をわかってほしいか」「何の話をしているかを理解する」というアドバイスがあり、参加者全員でそれらを考え、会話をする際に意識をしてみると不思議なことにきちんと話をしている実感が湧いてきます。
大事なのは、私自身の「嬉しい」に込める嬉しい雰囲気や「悲しい」に込める悲しい雰囲気ではないこと。お客さんが見ているのはその場で起きている事柄で、たった一人の私ではないのだから当たり前なのですが、自分に役割と言葉が与えられることでそれが分からなくなってしまうことがあるのだなぁと反省です。
見えている全部が「訳がわからない」と思われないように丁寧に言葉を繋いでいくというのが、演技の仕事なのかなぁ、と思いました。私に与えられた言葉は私だけのものではないから、独り占めして好き勝手すると変な人になってしまうんだなぁ。
他にも面白かったのが、WSにサポートで来てくださっていたCOoMOoNO所属俳優の畑中研人さんが「言ったことは後から戻ってくるからもう少し恐れずに読んでいい」とアドバイスをくださったのですが、言われた時はどういうことだろう…?と思っていたのですが、意識して読んでみると、発したあと自分の身体?意識?に言葉が返ってくるタイミングが度々あり、そうすると次の言葉が出てきやすいような感じがして面白かったです。感じない時ももちろんあって、その時は大体どんなふうに読めたのかの感覚がなくて、自分の初級クラスで学んだ「恥ずかしい」とか「うまく声が出ないな」とか、距離感ミスっている時だったりしたので、人間の身体、不思議だ!となりました。

おわりに

今回のWS、どの回もとても勉強になりました。難しいけど、すっごく楽しい!
自分のことを知ることができ、演技の楽しさを感じることができました。
モコさん研人さん、ありがとうございました。全て教えるのではなくて、「こうして見たらどうだろう」と一緒に考えられる形で進めてくださったことで自分自身と向き合う時間が多く持てて、たくさんのことに気がつくことが出来ました。ただ必死になって覚えよう!習得しよう!と言った形でなく、ゆっくりじっくり自分に向き合いアップデートさせていくという時間がこんなに心地よいものだとは!
本当に楽しかったです。ありがとうございました!

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