野村隆介

写真×テキスト×旅

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最近の記事

プエルトロペス・エクアドル

太平洋沿岸の港町に立ち寄った。中南米の肉食生活が続くにつれて、体が魚を欲していた。海岸沿いには、細かく切った生魚を酢で〆たセビーチェや焼き魚を売る店が何軒かあって、穏やかな波を刻む海を見ながら味わう。塩でだけで味付けされた淡白な身がビールに良く合う。「この海の先に日本があるのか」少しだけ故郷が恋しくなった。

    • ホーチミンシティ・ベトナム

      ベトナムの町はバイクで溢れている。絶え間なく響くエンジン音とクラクション。日本だったら歩くようなちょっとした距離でもバイクを使いたがるから、細い路地でも油断はできない。バイクの音に負けないように、人々は声を張って会話をする。ベトナムを訪れた人の多くが感じる町の活気は、こうして生まれる。

      • 夕暮れと子供・ベリーズ

        子供の表情はいつでも混じりっ気がない。喜怒哀楽がそのままストレートに表情に現れる。笑いたい時に笑って、泣きたい時に泣いて。だけれど、大人になるにつれて、そうもいかなくなる。泣きたいけれど笑わなければいけなかったり、その逆もしかり。そうして得たものと失ったもの、どちらの方が多いのだろう。ストレートな子供の表情を見る度に考えてしまう。

        • パルミラ・シリア

        プエルトロペス・エクアドル

          イスタンブール・トルコ

          イスタンブール・トルコ

          バンビエン・ラオス

          バンビエン・ラオス

          パナマシティ・パナマ

          パナマシティ・パナマ

          待ち人 クスコ・ペルー

          インディヘナの民族衣装は見れば見るほど不思議だ。原色と幾何学模様を組み合わせ、一見無秩序のようでいて完璧なまでのバランスを保っている。派手な色使いのはずなのに、彼女たちが着こなすそれは、見る者に軽薄さではなく品の良さを感じさせる。スペインが南米大陸にやってくるずっと前から現地で生活を営み、シャーマニズムを信仰してきた彼女たち。その美しい民族衣装は、キリスト教に改宗されクリスチャンネームを与えられた今も、独自の精神世界を奪われまいとする確固たる意志のように見えた。

          待ち人 クスコ・ペルー

          山道 ネパール・ポカラ

          ポカラはトレッキングで有名な町だ。首都カトマンズと並び、ネパールに訪れる観光客の多くが足を運ぶであろう山々に囲まれた素朴なかの地へ向かったのは、まだ日も昇り切らない薄暗い時間だった。その移動自体がある意味アトラクションなのではないかというような、曲がりくねった山道を約3時間。ただバスに乗っているだけなのに程よい疲労感を覚え始めた頃、ポカラに到着した。 山々から運ばれる澄んだ空気を思い切り吸い込むと、心の中の淀みが消えて澄んだ気持ちになる。環境と感情はある程度比例するのだなと

          山道 ネパール・ポカラ

          国境 タイ・ノーンカーイ

          タイとラオスの国境の町、ノーンカーイ。メコン川の対岸にはラオスが見える。島国に生まれ育った僕は、「国境」という単語に弱い。この線を越えれば、言語も、通貨も、民族もすべてが変わる。そんなに簡単にすべてが変わっていいのだろうか。飛行機にも乗らず、海も越えずに、自分の足を前に一歩踏み出せば、世界が変わる。大げさかもしれないけれど、僕にとって「国境」はそんなロマン溢れる境界線なのだ。明日、国境を越える。まだ見ぬ地に想いを馳せながら見た夕日は、赤く大きく、メコン川に沈んでいった。

          国境 タイ・ノーンカーイ