徳川キャタピラ

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「グリーン・インフェルノ」に見るアイデンティティ

グリーン・インフェルノを観た。 映画の内容はこんな感じである。アメリカの大学生人権サークルが南米で森林伐採に対する抗議活動をした帰り、学生たちを乗せた飛行機がアマゾンのお口で墜落してしまう。そして、その地に住む食人族(ヤハ族)に囚われ、彼らの村で一人また一人、捕えられた 我々の感覚からすると人間が同じ人間食べるのはグロテスクな行為に思える。だが、それは我々が人間であるというアイデンティティをもっているからなのかもしれない。我々が人間全体を自分の種とみなしているため、同じ種を

    • オモコロ、自由、相対的自由

      今回のオモコロチャンネルの動画ではゲームに負けた十年間海老天を食べることを禁止されるという壮大な企画であった。海老天自体そんなに高頻度で食べるものではないが、負けたARufaさんの絶望は想像するに難くない。 永田さんのnoteでもこの動画について触れられていた。永田さんの記事を読んで思い出したオメラスという話がある。今回はその話についてしようと思う。 オメラスという街はいわゆる理想郷で、住人は皆快楽を享受し、幸せに暮らしている。しかし、この街には秘密があった。この町ではた

      • 音楽と私

        音楽との出会いはタイミングというものがある。 出会った曲の素晴らしさがさっぱり分からないということはよくあることだ。 また一方で、この曲はまさに今の自分のために存在していたのではないかと思えるような出会いもある。 私はつい最近、そんな出会いをした。 Bill Evans "Undercurrent" この一年ほど、私は精神的にかなり落ち込んでいた。色々なことが上手く行かず、自分を責め、過去の自分の全てが間違っていたんじゃないかと思うほど気が参っていた。 そんな時、出会っ

        • 今を生きながら、その先に待つ未来に怯えている。

          空の青さが鬱陶しい。 昨日まで空に浮かんでいた雲が胸の中に立ち込めているようだ。 空の青は以前までの鮮やかさを留めていない。 ふと中学生の時分を思い出してはどうしようもない気持ちになる。 無条件に未来が明るかった頃。 その未来がいざ近づいてくると机をひっくり返したくなる。 親のもとで、無責任にぐにゃぐにゃ生き延びてきただけのポンコツだ。まるで、自分の人生に覚悟がない。 土曜日、午前10時半に起き、母親が用意してくれた昼ごはんを食べる。5分ほど遅刻しながら部活に向かう。昔か

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          ゼルダの伝説 ティアーズオブキングダム -厄災からの復興-

          先日、ニンテンドースイッチの最新作、ゼルダの伝説ティアーズオブキングダムをプレイし始めた。未だストーリーは少ししか進んでいないが、気になったことがあった。 前作のストーリーの中心となっていたのがシーカー族の存在である。シーカー族は遥か昔、高度な科学技術を有し、栄えた文明だ。文明は滅んだものの、彼らの遺跡や科学技術の断片は残されており、それらを駆使しながら厄災を倒す、というのが前作のプロットとなっていた。 今回私が気になった点はマップの入手方法の違いだ。前作、ブレスオブザワ

          ゼルダの伝説 ティアーズオブキングダム -厄災からの復興-

          留学先のキャンパスを紹介!

          私の通う大学はノースカロライナ州の小さな街にある。キャンパスは背の高い木々に囲まれ、中央には大きな池がある。週末には近くに住む家族が釣りをしにやってくるのも見かける。移ろう時とともにキャンパスは姿を変える。春には花々がいっせいに芽吹きキャンパスを彩り、次に夏の緑が躍動する。秋には美しく纏ったその羽衣をはらりと落とす。冬、凍える寒さの中、また命を燃やす準備を進める。 近年はキャンパス内に棲みつく珍妙な生き物達が勢力を増している。その個体数はあと数年で大学に通う生徒の数を超すと

          留学先のキャンパスを紹介!

          留学先にて病に臥す

          愕然、ものも言われぬ。常軌を逸した暑さに、全身の皮膚が嫌ったらしく身体に纏わりつく。手持ち無沙汰な左手で後頭部をむしむしと掻きむしる。  金曜日の夕方、授業を終えた私は極めて静謐な週末を迎えようとしていた。椅子に深く腰掛け、喧騒の平日からの解放に静かに歓喜する。特にすることもないので机の上に置かれた菌類のシャーレをぼんやり眺めてみたり眺めてみなかったりしてみる。来週の植物学の授業のために育てている愛くるしい菌達だ。 陽は既に傾き、秋色の空が窓から覗く。冷ややかな空気と銘々

          留学先にて病に臥す

          米国見聞録

          米国の空港に降り立った。 ににぎの尊が高千穂に降り立ったのは中津国を治めるためであったが、私は何もこの地を治めるためにやってきたわけではない。 屈指の経済大国である米国の内情がいかなるものか、しっかりと目に焼き付け、その地で学問を修めるべく、はるばる極東の島国からやってきたのである。 少年よ世界へ羽ばたけ 高三の春、私は大きな岐路に立たされていた。特に何に精を出すわけでもなく過ごしてきた高校生活に別れを告げ、大いなる世界に羽ばたかなければならなかった。高校時代、怠惰を