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古今東西絵画見聞 その2 このしまくん

彼の存在を知ったのが泉屋博古館分館の回顧展の内観会だった。
現在泉屋博古館東京となっているが、2018年当時は分館という名称で前期と、後期に分けての回顧展が開催された。
前期の内覧会で一気にファンになり、親しみを込めてこのしまくんと呼ばせていただいております。

当時の感想は下記をご覧ください↓

http://confer4excitingtokyo.seesaa.net/article/457156097.html


http://confer4excitingtokyo.seesaa.net/article/458945007.html

さて今回、5年ぶりの木島櫻谷展。始まる前から待ち侘びていたのに世事に忙殺され気づけば後期。しかもTVで紹介もされていたという失態?←混むのはこのしまくんも好まないと思うの!

膨大な写生が展示され、本当に絵を描くのが好きだったのねと、思いつつ、今回は「木島櫻谷 ― 山水夢中」とのことで、木島動物園には行けないかと思っていたが、やはり会えた動物たち。

和楽 左隻
和楽 右隻


『和楽』のゆったりとした牛、人に懐いている犬は昔、妹のように可愛がっていたコそっくり。賢くて優しいコだったわ。縁っこにこそっといる猫。うちの三毛猫の佇まいにそっくり。それぞれの生き物たちの毛並みの描き分けもNICE!
生き生きとして優しい屏風。

落葉
細雨


『落葉』の寂しげで心細い視線の猿、『細雨』の無垢な瞳でこちらを見つめる子鹿。
落ち葉や雨が止まって見えるほどの静かな世界。
やっぱりいいなあ、このしまくん。

憂いを帯びた鹿の瞳はもはや人格が宿っていると言っても過言ではない。
この作家は本当に優しい人だったんだなぁと気づいたらやっぱり呟いていた。
動物に寄せる慈しみがパナいんじゃ。
優れた技術で描いた生き物たちに最後に愛情を上塗りする。
繊細な生き物には作家自身が投影されている。

月夜の兎


15羽の兎が描かれた幻想的な掛け軸は30分かけて眺めたわ。油彩画のような濃厚な画面に立っている兎、水を飲んでいるコ、後ろ向きのコ、他のコに乗っているコ、のられているコ、どんな格好でも自然に見える兎たち。このしまくんの観察力の賜物ねー。

帰農図

その隣に掛けられた『帰農図』は農作業を終えた親子の帰宅する様子だったが、ミレーの『晩鐘』を連想させた不思議な絵だった。

幽渓秋色(猿の親子がいます)

風景画も技術力が高く、写生の描写とか、掛け軸の遠近感とかすごいのだが、やっぱりこのしまくんは動物画。
作者名を見なくても動物画ならこのしまくんの絵だって分かるが、風景画は自信がない。

木島動物園健在!

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