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リード人材を育成する、UXDグループの社内施策

コンセントUX/UIデザイナーの中迫です。

私は、組織のメンバーの技術向上を目的とした「技術アップグレード イニシアチブ活動」の一環で、プロジェクトリード人材を育成する「プロジェクトリード ぶち上げ施策(通称:ぶち上げ施策)を4人のメンバーと共に運営・実施しています。

この記事では、2023年10月から実施中の「ぶち上げ施策」の具体や試行錯誤の過程をご紹介します。

中迫優理子プロフィール:UX/UIデザイナー。入社以来、コンテンツディレクターとして企業や大学サッシの企画・編集を担当。現在は、UX/UIデザイナーとして新規事業開発の支援やシステム改修・UX支援を行う。

イニシアチブ活動とは?
コンセントの組織の中長期課題の解決や持続的な成長を目的とした活動。
詳細は以下の記事をご覧ください。
https://www.concentinc.jp/design_research/2023/11/initiative/ 

組織の持続的な成長を支える コンセントの「イニシアチブ組織」




「プロジェクトリードぶち上げ施策」とは?

「ぶち上げ施策」とは、その名の通り「プロジェクトリードにおけるレベルをみんなでぶち上げよう!」という取り組みです。

「ぶち上げ施策」では、プロジェクトリードにおいて目指す理想状態を整理し、その状態になるための「具体的な行動を計画」→「立てた計画を業務の中で実践」→「毎月の定点観測会で1ヶ月の成果を振り返る」・・・
のサイクルをぐるぐる回していくことで、理想状態へのレベルアップを図っています。

画像:ぶちあげ施策を行う半年間のサイクル図。10月に技術マトリクス読み解きワークショップ開催+実施計画。翌3月に総まとめ会。その間の半年間に、プロジェクトでの実践と、毎月の定点観測、実践支援のサイクルを繰り返している。
「ぶち上げ施策」進行の全体像

施策は2023年10月〜2024年3月までの約半年間の実施を予定しており、記事公開の時点では進行の途中段階にあります。

3月には総まとめ会として半年間の成果を振り返り、次年度以降のスキルアップのためにできることを考える予定です。

対象メンバーはUXDグループに所属する若手社員8名。

コンセント独自の技術指標「技術マトリクス(通称:ギマト)」を元に、プロジェクトリード技術レベル1→レベル2、レベル2→レベル2.5を目指す社員に対して、実プロジェクトのリード業務をサポートしています。

「技術マトリクス」とは?
コンセント独自のデザイン人材のためのスキルマップ。30を超える技術項目に対してそれぞれ5段階の水準を設定し、ロール(職種)ごとに必要な技術項目が定義されています。
ギマトについての詳細は以下の記事をご覧ください。
https://www.concentinc.jp/design_research/2023/12/skill_matrix3/ 

コンセントのスキルマップ「技術マトリクス」2023年度版より

「技術マトリクス」で定められている、プロジェクトリードの技術や各レベルの指標は以下のようになっています。

プロジェクトリード技術
プロジェクトのあらゆる場面で、仮説を含めた最適解を自ら提示し、プロジェクトを前進させる力。社内外メンバー(顧客含む)にベクトルを示し、人を動かすことができる。メンバーの動機付けを行い、ポジティブで創造的な文化をつくり出すことができる。

レベル1の状態(業務理解と業務補助)
プロジェクト品質を高めるための仮説提案を行い、成果を上げることができる。

レベル2の状態(補助付きでの業務リード)
スーパーバイザーのレビューを受けながらプロジェクトの責任者として適切なアクションプランとゴールを示し、遂行ができ、成果を上げることができる。顧客とのミーティングなどでプロジェクト前進に貢献する提言を行い、顧客を動かすことがきる。

レベル3の状態(業務リード)
独力でプロジェクトのチームメンバーに前進するための具体的なアクションとプロジェクト全体像のゴールを示し、プロセスをリードして成果を上げることができる。顧客担当者から強い信頼を勝ち得ている。

コンセント「技術マトリクス2023」より


プロジェクトリード技術を高めるのはなぜ?

プロジェクトリード技術を高め、プロジェクト全体を俯瞰しながら推進できるようになると、「それぞれのデザイン技術がいつ・どんな場面で必要になり、どんな効果を生むのか」がわかるようになります。

勘所を押さえながら他のデザイン技術を習得できるようになるため、プロジェクトリード技術の習得は他技術のレベルアップの底上げにもつながるといえるでしょう。

このようなメリットから、社内ではプロジェクトリード技術を伸ばすための取り組みが他にも多く存在します。
プロジェクトリード技術を高めるメリットの詳細は以下の記事をご覧ください。


どうやってレベルをぶち上げる?

では、実際どうやってリードのレベルをぶち上げていくのか。
「ぶち上げ施策」では、以下の3つのステップでメンバーのレベルアップをサポートしています。

Step1:目指すレベルの理想状態を理解する
Step2:理想状態になるための具体的な行動を計画する
Step3:立てた計画をもとに、実践と振り返りのサイクルを回す

それぞれのステップでやっていることの具体をご紹介していきます。

Step1:目指す理想状態を理解する

レベルをぶち上げるために最初にやるべきこと、
それは「自身が目指す理想の状態を正しく理解すること」です。

目指す状態のあたりがついていないと、どこに向かってスキルアップをすれば良いのか・そもそも何をやれば良いのかが分からなくなってしまいます。

そこで「ぶち上げ施策」では、自身の目指すレベルの状態を具体的に理解するためのワークショップを実施しました。

しかし、ひとことに「理想状態を理解する」と言っても、自分がまだ達成していない未知の状態を具体的にイメージすることは難しいもの。

またプロジェクトリード技術の定義はやや抽象的なので、技術そのものや目指す理想像を正しく理解しづらい面があります。

そこで、ワークショップではギマトの定義を元に、プロジェクトリードに求められる力を5つの力に細分化して提示することで、自分の目指す理想状態を正しく自分ごと化しやすくしました。

定めた5つの力は以下の通りです。

前提・与件理解・課題発見能力
プロジェクトの前提知識や与件を正しく理解・整理した上で、課題を発見できる力

仮説構築力
課題に対する解決策や、解決する上でのプロセスおよび実行プランを考えられる力

メンバーへの働きかけ能力
パートナーや社内メンバーへのタスク依頼やゴールの認識合わせ、動機づけを行うなど、プロジェクトを前進するための働きかけができる力

クオリティ管理能力
プロジェクトの成果物や進行の品質を担保する力

提案能力、顧客との折衝能力
プロジェクトの進め方や解決策の提案、交渉を通したゴールの目線合わせなどを行うことで、プロジェクトを前進。完遂させる。またこれらの動きを通じてクライアントから信頼を獲得できる力

「プロジェクトリードの5つの力」より


また、上記に加えて、各レベルにある人が実プロジェクトで具体的にどんな動き方をしているか?を明示することで「自分が今どのレベルにあり、何が足りていないのか?」をイメージできるようにしました。

画像:レベル2の人が「どんなポジション?」「どんな動きをする?」「できていることの例」を示した
レベル2にある人のプロジェクトでの動き方と「5つの力」の達成状態を示したもの

理想像に対するイメージを自分の言葉に落とし込んで理解できると、レベルアップに必要なことをより具体的に考えやすくなります。

前述の整理を踏まえ、ワークショップでは参加者自らに「自分が目指すレベルにある人は、プロジェクトの中で具体的にどんな動きができているのか?」を5つの力の観点から言語化してもらいました。

画像:ワークショップ参加者が、理想状態を言語化しているボード。
ワークで使用した参加者のボード。5つの力にある「前提・与件理解・課題発見能力」における理想状態と、それに必要なことの噛み砕きを参加者自らの言葉で行なっている。


Step2:理想状態になるための具体的な行動を計画する

目指すレベルの理想状態がイメージできると、理想状態と現在の自分の能力とのギャップが見えてきます。

「現状何ができていて、何ができていないか」を洗い出すことができたら、現状から理想状態に近づくために必要な具体的なアクションを考えます。

参加者には、以下の2つのポイントを意識しながら洗い出してもらいました。


【ポイント1】書き出すアクションは、今すぐにでも取り組める粒度で
「〇〇に関する本を読む」のような、やや漠然とした粒度の大きいアクションは、いざ取り掛かる際に「まず何をしたら良いか」が分からず、ついつい始めるまでに腰が重くなってしまいます。
計画の際には「〇〇に関する本を読むために、まずは××先輩に〇〇について書かれている本がどれかを聞いてみる」のように、今すぐにでも取り組める粒度で具体アクションを書き出しておくことが大切です。


【ポイント2】いま携わっている業務の中でできることを中心に考える
具体アクションを考えようとすると、ついつい「〇〇についての勉強会を開催する」のように、0から新しく何かを始めるようなことを掲げてしまいがちです。このような取り組みは、時間の確保やモチベーションの維持が重要になり、実現のハードルが高くなってしまいます。
「ぶち上げ施策」では基本的には実務ベース且つ直近1ヶ月以下に担当する業務の中で無理なく取り組めるアクションを考えてもらうことを意識しました。

画像:理想の状態、案件でやること、12月の具体アクションを書き出したボード。次のような例が記載されている。理想の状態は「円滑な進行ができる」、案件でやることは「議事録をとる」、具体アクションは「ミーティング内で新しいタスクが出てきた場合、議事録に期日を明記し、ミーティング後にメンバーに共有する」
直近1ヶ月で担当する業務と、その中でできるアクションを検討したもの。 このボードでは、円滑な進行ができるようになるために、直近プロジェクトでの進行管理と議事録業務でできるアクションを洗い出している。

上記のポイントをもとに出した具体アクションは、自身の今後のプロジェクト状況を踏まえた年間計画に落とし込みます。

「いつ、何をやるのか?」のあたりをつけることで、各自が理想状態に向けて計画を実行しやすくするためです。

画像:アクション計画ボード。達成したい状態、プロジェクトでやること、達成したい状態に向けたアクション。その3つを月ごとに書き出して整理している。
年間計画ボード。洗い出した具体アクションをそれぞれの月の欄にマッピングしている。


Step3:立てた計画をもとに、実践と振り返りのサイクルを回す

計画を立てた後はとにかく実行するのみ!

各々のプロジェクトでその月にやるべきことを実践してもらい、その成果を毎月の定点観測会で振り返ります。

定点観測会は、理想状態に向けて「その月にできたこと」「できなかったこと」「今後やること」を共有・整理する場です。

1ヶ月スパンで成果を振り返ることで、業務の成果を実感するとともに、携わるプロジェクト状況の変化や、業務を進める中で明確になった理想と現状の能力のギャップに応じた計画の軌道修正ができるようにしています。

また、運営側ではスキルアップの進捗を把握しながらメンバーのつまずきポイントを把握。
つまずきを解消できる社内勉強会の資料などを紹介することでレベルアップの最短距離を探っています。

画像:アクション計画ボード。実際にやったこと、アクションを実行した感想、次にやりたいと思っていること。その3つを月ごとに書き出して整理している。
アクション計画ボード。定点観測会ではこのボードをもとに、毎月立てた計画に対する成果を共有し、次の月の計画を立てていく。


レベルぶち上げのために工夫したこと

お互いに学び合える場所にする

ワークショップや毎月の定点観測会は、他の人の良いところをどんどん真似できるような構成にしています。

あえて同じレベルにある人同士でのディスカッションを挟みながら進行することで、リード技術や理想状態への理解を深めるとともに、プロジェクトにおけるお互いの工夫をひらき合うなど、一緒にレベルアップを目指す仲間として相談し合える関係になってもらうきっかけをつくりました。

一人ではなく、みんなで考える

ぶち上げ施策ではメンバーを取り残さないために、定点観測会での進捗把握はもちろん、こまめなフィードバックやオンラインとオフラインを使い分けたワークの設計を意識しています。

参加者からの些細な疑問点やスキルに対する認識のズレを拾い、すぐに軌道修正を行いやすくするために、施策のキックオフや理想状態を整理するワークショップ(Step1-2)はオフラインで行いました。

また具体アクション洗い出し(Step2)の際にはこまめなフィードバックのタイミングを設け、第三者の視点からアクションの粒度を調整することで、各々が無理なく取り組みやすい計画を考えるためのサポートを行いました。

画像:大きなデスクに並んで座っている、10人ほどのメンバーが各自PCを見ながら話し合っている。
オフラインでのワークの様子


施策の途中経過と今後の展望

現在は施策の実施途中のため、具体的な効果が出てくるのはこれからですが、参加者からは
他メンバーの振り返りやアクションが、自分の足りないことやネクストアクションへのヒントになっている
日々の業務の中で疎かになりがちな振り返りができるため、理想状態への計画を都度見直しながらプロジェクトに取り組めている
といった声があがっています。

一方で、ワーク内容の調整が必要な部分もでできました。

例えば、Step2で述べた具体アクションの洗い出しを行った際には、なりたい理想状態(=目的)と具体アクション(=手段)が噛み合っていないケースや、アクションの粒度がどうしても粗くなってしまうなどのケースが多く見られるなどです。

穴埋め形式で具体アクションを検討できるようにするなど、より良い形を模索しながら施策をブラッシュアップしていきたいと考えています。

初年度の施策なので探り探りではありますが、出てきた課題に対して解決のためにできることはどんどん試しながら、来期以降も運用できるスタンダードなリード人材の育成の仕組みをつくりたいです。




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