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ジャニー喜多川の性的虐待事件を機に改めて考えてみる

やあ、コミュリーマンです。

芸能界にはほとんど興味のない(昔はあったしお笑い大好きだった)僕ですが、この手の問題は無視ができません。

僕がこのnoteで執筆活動をしているモチベーションのひとつは、15年余りサラリーマンをしてきた中で、「パワハラ」「マウンティング合戦」「ポジショントーク」によって数多くの未来有望な若手が志半ばで心を折られて去っていった様を見てきた、しかし「助けてあげたい」「私に何かできることはないか」そう思うだけで、結局のところ何もできなかった後悔からくるものです。

なぜ、こんな事件が起こり続けるのか。

僕なりに考えます。


権力の不均衡

多くの社会的問題が発生する背景には、多様な要因が絡み合っています。

今回は、性的虐待やセクシャルハラスメントなどが起こる原因を「権力の不均衡」であると考えてみましょう。

権力の不均衡は、組織や社会内で一部の個人やグループが他の個人やグループよりも多くの権力、影響力、または資源を持っている状態を指します。これは、情報へのアクセス、意思決定の過程、資源の分配、または対話の中での発言権など、さまざまなコンテキストで観察される現象だと思います。

これをお読みの皆さんに、少し考えてみてほしいと思います。

皆さんの職場では、「誰が言うか」「何を言うか」このふたつはどちらが優先されますか?

僕の場合は圧倒的に前者であり、僕はこれと日夜戦い続けています。

たとえば、コミュニケーションエラーによりチーム内のマネジメント機能が明らかに瓦解している。こんな場合、多くは経験が長いというだけで偉そうにするリーダーの知識マウンティングによって、周りのチームメンバーの心理的安全性が阻害されています。

今までAというやり方で進めてきていた、しかし業績が芳しくなくなってきているのは誰の目にも明らかだったとします。チームメンバーが業績の軌道修正のためにB案やC案を提示したとしても、経験の長いだけのリーダーがそれらを突っぱねます。こういう場面は少なくありません。

こういう場合、率先して僕がファシリテーター役になり、「誰が言うか」から「何を言うか」というコミュニケーションに舵切りをします。

しかし、僕はオピニオンを発する、つまり「おかしいものはおかしい」と声を上げるタイプなので良しとしても、こういった人はあまり多くはないのが現状です。

オピニオンする人がおらず、権力の不均衡が起きている現場では、チーム・組織内に様々な軋轢を生じさせます。

例えば意思決定です。権力を持つグループがチームや組織の方向性を決定することができ、少数派の意見やニーズが無視されることがあります。先述したような経験が長いだけリーダーが跳梁跋扈する、または現状維持バイアスに縛られ変化を極端に嫌うなど、そもそも意思決定は「変わらない」というものでしょう。

権力を持つグループが主要な資源(例:財政、教育、ヘルスケア)へのアクセスやその分配をコントロールすることができるような、資源の配分にも悪影響を与えているかもしれません。

権力を持つグループが情報を独占し、他のグループにはそれを共有しない、権力を持つグループが議論や交渉の中で支配的な立場を占め、他のグループの声が小さくなることがあるなど、情報のアクセス権に不平等が見られ、対話やコミュニケーションが阻害されることも考えられます。

そもそも権力の不均衡は、特定のグループが社会的、経済的に不利な立場に置かれる原因となることがあります。これは社会的にも、もしかすると経済的にも不平等となっている場合が少なくないかもしれません。


なぜ起きる?

僕の見解では原因はいくつかあると考えています。

そもそも、組織の階層構造がそうさせていることは確実だと思います。伝統的な組織では上下の階層が存在します。このような階層構造が強固である場合、上位にいる者が下位にいる者に対して絶対的な権力を行使することが可能となります。もしろん仕方のない部分もあることは承知していますが、階層はあくまでも責任と役割の違いでなければなりません。上下の階層で利己的に権限を掌握してはいけないのです。

特定の性別、人種、階級を優越的とみなす価値観を持っていると、そのグループは自然と権力を持つことができます。歴史的に一部のグループが他のグループを支配していた場合、その影響は現代にも残ることがよくあり、それが権力の不均衡を生む要因となります。こういった、今までの文化や歴史的背景が旧態依然として残っているケースも少なくありません。

教育の機会が一部のグループに限定されると、そのグループは知識や技能を獲得して権力を握ることができるようになります。反対に、人的資源=コスト重視のために教育の機会が減少している、あるいは全く無いという話も耳にします。新人や若手にはたまったものではないでしょう。

あるグループや個人が他者よりも多くの情報を持っている場合、それは権力の不均衡を生む要因となることがあります。これは組織の階層だけではなく、既得権を持つグループが独占している場合もあります。

コミュリーマンは、日夜これらの研究に励み、まずは自分の影響が及ぶ範囲から、自分ができることからこの原因に向き合い続けています。

皆さんも、ここまでとは言いませんので、少しばかり改めて考えてみるのはいかがでしょうか?


ふたつの映画

今回の事件を知ったとき、ふいにふたつの映画を思い出しました。

2019年の映画「スキャンダル」と、2015年の映画「スポットライト」です。

スキャンダルは、FOXニュースの設立者でありCEOのロジャー・アイルズが中心となるセクシャルハラスメントの実際の事件を基にしています。彼に対して声を上げた数人の女性、特にニュースキャスターのメーガン・ケリー(シャーリーズ・セロン)、グレッチェン・カールソン(ニコール・キッドマン)、および架空のキャラクターであるカイラ・ポスピシル(マーゴット・ロビー)の視点から物語が進行します。

この作品では、特にニュース産業内での権力構造とその影響を強調しています。ロジャー・アイルズはFOXニュースのCEOとして非常に影響力があり、多くの女性は彼に対する不適切な行為について沈黙していました。

この映画は、セクシャルハラスメントがどのように多くの女性のキャリアと精神的健康に影響を与えるかを明らかにしています。さまざまな背景や信念を持つ女性たちが、共通の問題を解決するために一緒になる様子が描かれています。

この作品は、実際の出来事に基づいているため、視聴者に深く感じさせ、現代の職場でのセクシャルハラスメント問題の深刻さを理解させることができる作品となっています。

スポットライトも実話を基にしています。この作品では、ボストン・グローブ紙の調査報道チーム「スポットライト」が取り組んだ、カトリック教会内での子供への性的虐待と、それを隠蔽する教会の行動に関するスキャンダルを中心に描いています。

スポットライトチームは、ボストンのカトリック教会内で数十年にわたって多数の聖職者による子供への性的虐待が行われ、教会がこれを隠蔽し、加害者の聖職者を他の教会へ移動させるという行動を繰り返していたことを明らかにします。

チームの調査報道は2002年にボストン・グローブ紙で大々的に公開され、これによりアメリカ国内だけでなく、世界中のカトリック教会における性的虐待スキャンダルが浮き彫りとなりました。この報道は、被害者たちの声が一般の人々に届き、教会に対する信頼の低下や制度的な改革の要求を引き起こしました。

ちなみに、この作品はその卓越したストーリーテリングと強力なメッセージで多くの評価を受け、2016年のアカデミー賞で最優秀作品賞と脚本賞を受賞しています。ジャーナリズムの力と誠実さ、そして隠蔽された真実を暴露する勇気を称賛する作品として評価されています。


最後に

今回の事件になぞらえると性的虐待やセクシャルハラスメントに限定した記事に思われるかもしれませんが、そうではなく「権力の不均衡」に目を向けてほしいと思います。

ハラスメントや権力の悪用が起こる場所では、被害者やその他の関係者が声を上げることを恐れ、問題を公にすることが少なくなることがよくあります。この沈黙が問題を長引かせる原因となることが実に多い。

おかしいとおもったら「オピニオン」してください。「おかしいでしょ!」って言っていいんです。わかります、最初はきっと怖いです。でも大丈夫、それで命を落とすことは稀です。むしろオピニオンしない方が命を落とす可能性が高いかもしれません。

じゃあ必ずオピニオンしなければならないのか?いいえ、もちろん違います。「エグジット」してください。逃げてください。そんなチームや組織、会社は辞めていいんです。統計局の経済センサス基礎調査では、日本には600万社(個人事業主なども含む)もあるとされています。あなたが行動する限り、あなたに合った会社・仕事はきっと見つかります。

自分の人生の主導権を、他人になんて委ねないでください。

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