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「ユニ・チャーム、CO2誤差なく算出 調達先100社と連携」に注目!

ユニ・チャーム、CO2誤差なく算出 調達先100社と連携 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

ユニ・チャームは製品の二酸化炭素(CO2)の排出量をより正確に算出できるシステムの運用を2024年にも始めます。自社で使う9割の原材料について、素材メーカー100社超と連携して排出量のデータを集めました。従来は2〜3割あった算出の誤差がほぼなくなります。消費者は環境負荷の少ない商品を選びやすくなります。

世界的に脱炭素の流れが強まり、大手メーカーは自社の事業活動だけでなく、サプライチェーン(供給網)全体でのCO2削減を求められています。実現には排出量の正確な把握が欠かせません。

ユニ・チャームは個別の製品で原材料の調達から生産、廃棄までに出すCO2を示す「カーボンフットプリント」を算出するシステムを運用します。カーボンフットプリントは製品に使われた原材料とその重量に、特定の素材がどれだけCO2を出すのかを示すCO2排出係数を掛け合わせて算出します。

ユニ・チャームは原料調達先である化学メーカーなど100社に呼びかけ、紙おむつに使う不織布の原料となるパルプやコットンなどの原材料のうち9割のCO2排出量のデータを入手しました。ほぼ実態に近いCO2排出量を算出できるようになりました。

排出量算出には産業技術総合研究所の係数や国の産業連関表を使うのが一般的です。ただ、同じ素材でも実際には多くの種類が存在するのに細かく分類されていないといった問題があり、実態と異なるCO2排出量が算出されることがあります。ユニ・チャームが自社の製品で調べたところ、2〜3割の誤差が出る例もありました。

ユニ・チャームは他の日用品・食品大手に原材料のCO2排出量データを共同で集める取り組みへの参加を呼びかけます。独自素材など製品開発に関する機密情報を扱う可能性もあり、中立性を保つため第三者機関を設立してデータを管理することも検討しています。実現すれば、各社が素材メーカーに情報を確認する必要がなくなります。

同社はその他各商品にCO2排出量も掲示。消費者に環境への観点で購入してもらえるような環境作りを進めることも検討しています。

消費者の意識も変わっています。ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が日本の15〜69歳を対象に実施した調査では、「環境負荷をかけない商品を購入したい」という回答が68%に上りました。

購入意欲はあるのに実際の購入に至っていない理由を聞くと、「どんな商品が環境負荷が低いのかよく分からない」が52%でした。「価格が高い」の31%を上回り、最も多かったです。脱炭素消費を促すにはメーカー側の情報提供が重要になっています。

脱炭素の取り組みは欧州が先行しています。仏カルフールや独スーパー大手リドルなどは食品が環境に及ぼす影響度合いを示す「エコスコア」と呼ぶラベルを商品に貼って販売しています。

ユニ・チャームは2030年をゴールとした重要取り組みテーマの1つとして「地球の健康を守る・支える」があり、その中に環境配慮型商品の開発や気候変動対応があります。主な取り組みとして、日本においては独自の使用済み紙おむつリサイクルシステムの構築や再生可能電力への切り替え等があります。

今回は、他の日用品・食品大手に原材料のCO2排出量データを共同で集める取り組みへの参加を呼びかけるとあり、多くの企業にとって恩恵が受けれそうな仕組みづくりになると期待しています。

なお、使用済み紙おむつのリサイクルをユニ・チャームはRefF(リーフ)プロジェクトと名付けています。「Recycle for the Future」の頭文字をとっていて、持続可能な社会の実現に不可欠な「消費されない消費財」を目指し、使用済み紙パンツのリサイクルに取り組んでいます。このような活動を通じて、これまで廃棄物として処理されていた「ゴミ」が「新しい原材料」となり、紙パンツなどに再利用できる未来をつくりたいと考えています。このような「未来に向けたよりよい社会の実現」を目指し、「RefF:Recycle for the Future」と名付けています。

このユニークな取り組みとして、この「再生パルプ」を原材料を使った名刺を作成しています。このような取り組みが拡大してほしいなと思っています。

※文中に記載の内容は特定銘柄の売買などの推奨、または価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。