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「セブン、欧州・中南米を視野に 30年に世界1.5万店増」に注目!

セブンイレブン、欧州・中南米を視野に 30年に世界1.5万店増 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

セブン&アイ・ホールディングスが海外でコンビニエンスストア事業を拡大します。北米を中心に店舗を増やしてきたなか、2023年にラオスに初進出するなどアジアや欧州での展開にも力を入れます。各国の地元の小売店などとの競争にどう打ち勝っていくのか。セブン傘下で海外展開を担うセブンイレブン・インターナショナルLLCの阿部真治会長に聞いたインタビュー記事です。

現状の海外市場をどのように見ているかについては「セブン&アイは世界20の国・地域で約8万5千店を持つ。ただ、当社が展開するのは米セブン―イレブンが運営する米国など3カ国とセブン―イレブン・ジャパンの日本を除く16の国・地域だ。国連に加盟する国・地域の1割程度にとどまる。発展途上国を中心に、現地にある小売店は飲料やお菓子、ビールしか置いていない店が多く、それはコンビニと言えないだろう。セブンがあれば生活がもっと便利になる。海外市場は『(競合が少ない)ブルーオーシャン』だ」「昔は1人当たり国内総生産(GDP)が3000ドルを超えるとコンビニが普及期に入るとも言われた。それが2023年に出店したラオスなどの国では3000ドルに達していなくても売り上げは堅調だ。ラオスの店舗は入場制限に踏み切った時もあるなど人気は高く、焼きたてパンやハンバーガーなどが売れている。新し物好きの若い世代を中心に便利な店と認知されれば、GDPの水準に関わらず支持されると感じている」とコメントしています。

今後の出店はどのように計画していくのかについて「アジアで未進出国はバングラデシュやパキスタン、ミャンマーなどで、既に多くの国に出ている。セブンとして2030年までに30の国・地域に10万店を出す方針で、欧州を一つのターゲットに据えている。歴史は古く成熟した国々だが、カフェがコンビニの役割を果たしている面がある。オフィスや学校、駅近くにコンビニがあれば便利だ。以前出店していた英国を含め、事業環境を見ながら店舗展開を検討していきたい。中南米も視野に入る」とのことです。

2023年に発表したオーストラリアのセブン運営企業の買収の狙いは何と問われ「現地で店舗を運営する創業者一族が高齢となり、入札を行うとの話が2年ほど前にあった。オーストラリアは日本と違って平均年齢が低く人口も増え続けている。現地での店舗数は約770店で、1店舗あたりの人口は約3万4000人だ。6000人に1店の日本と比べ伸びしろが大きいと判断した。1万人に1店レベルで増やすだけでも約2600店以上となる」「現地のセブンに行ったが品ぞろえはさみしかった。商品数は1500品前後と日本の半分程度。調味料や加工食品を含め緊急需要で買うために置いてあるようなレベルで、近くて便利という店にはほど遠かった。すしやサンドイッチといったフレッシュフードはナショナルブランド(NB)商品で、他の小売店のものと変わらない。今後セブン専用の商品を供給してくれる工場を探したい。日本で培った単品管理も導入し利益の出る体質を目指す」と回答しています。

各国には競合企業も多いですが、成長を続けていけるのかについては「アジアをみると韓国勢などが積極的に出店し競争の激しい国はあるが、(参入の余地は大きく)日本のような3強という状況ではない。一定のシェアを確保するには店舗数と独自商品、品ぞろえの充実が欠かせない。プライベートブランド(PB)『セブンプレミアム』を輸出しており、シンガポールや香港では日本の1.5倍から2倍の価格だが売れ行きは悪くない」「注文のあった商品を店舗から最短30分程度で届ける『セブンナウ』は増加傾向にある。中国・北京では1日60件の注文が入る店があり、店舗売上高に占める割合は平均15%ほどだ。食品の宅配サービスは今後も拡大するとみており、セブンナウを世界での標準サービスにしていきたい。IT(情報技術)技術を生かした未来のコンビニを模索する」とのことです。

「世界地図をみると多くの未進出国がある」。阿部氏は海外市場の伸びしろを強調します。平均年齢が低く経済成長も期待できる国を候補に、東南アジアなどで年2カ国ずつ進出していきます。現地企業を含め運営パートナーを探し、日米に続く「第三の柱」の育成を図ります。

各国でスーパーなどがひしめく中、セブンは顧客をどう取り込むのでしょうか。一つの答えは日本で培った独自商品です。セブン専用の弁当や総菜を作る企業を持ち、おいしさには定評があります。阿部氏は「海外でもセブンにしかないフレッシュフードを充実させることが強みになる」と話します。

「食のセブン」を浸透させるには各国の食文化の理解も欠かせません。世界戦略を着実に進める上で、人材育成の巧拙もカギを握ります。

セブンイレブン・インターナショナルLLCが展開している地域を見ると、アジアが多いものの、ヨーロッパではノルウェー、デンマーク、スウェーデンの3カ国、中南米は未展開(メキシコ除く)となっています。セブン&アイの強みを活かした「食のコンビニ」をさらに多くの国に展開していくことを期待しています。

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