見出し画像

きょうの画材「4: 玄林堂『寒鴉』」


墨のいろいろ

最近、私が作画に取り入れている固形の墨。

墨本体を美術品として楽しむコレクターも多いそう。


書画用の墨は大きく分けると、

・植物性油煙墨(菜種、胡麻など植物油の煤。暖色系で艶のある仕上がり)
・松煙墨(赤松を燃やして取った煤。寒色系でマット調の仕上がり)

とあるのですが、ここに加えて「鉱物油煙墨」というカテゴリがあります。
今回紹介する『寒鴉』もそんな墨。

枯れ木に鴉のモダンなデザイン。

鉱物油煙の特徴は「安価さ」と「磨った時の濃くなる早さ」。
文具として日常での書き文字用途に重宝されてきた一方、
表現力においては植物由来の墨に劣ると評価されがちです。
が…

文具で描いたっていいじゃない!

という訳で、まずは磨って取り分け濃度調整。

絵皿に取って水でじゃぶじゃぶ。

植物油煙墨を暖色、松煙墨を寒色と例えるなら
鉱物油煙墨はよりフラットな「黒」に近いのではないでしょうか。

下描き、下絵、下地

鉛筆でアタリを取り、三菱ポリカラーのねずみ色で線描き。
後は練りゴムでぽんぽんと鉛筆の粉を取って下絵ができました。

この灰色の線は、最終的にほとんど目立たなくなります。
ベースを淡墨でかたちどり

乾かして、重ねて。

鉱物油煙墨も、膠を使用しているのは植物油煙と変わりません。
同じように使えます。

完全に乾くと結構がっちり紙に定着します。
濃くなるにつれて艶が出てくる所は植物油煙墨に似ています。

金顔彩と鉛筆で仕上げ

キラキラ画材でおめかし
鉛筆、使いきれると気持ちいいですよね。

思い出のあのセット

多くの方が、学校の書写の授業で購入したであろう「お習字セット」。

https://www.kuretake.co.jp/product/calligraphy/shodo-set

そこに入っていた固形墨も多くはこの鉱物油煙墨です。

ちびてひび割れ、でもまだまだ現役!

墨は固形の状態であれば、環境さえ良ければ数十年と保つ画材。
長年眠らせているお習字セットの墨と硯を使って、
今度は絵をしたためてみるのも楽しいかもしれませんよ。


今回使った画材

・ヴィフアール水彩紙中目(カブ、冬虫夏草)
・アルビレオ水彩紙(マンドラゴラ)
・クレスター水彩紙(球根の花)
・三菱ポリカラー (ねずみいろ)
・名村大成堂 自在皆専(小)
・玄林堂「早おり 寒鴉」
・吉祥顔彩 (赤金、パール金)
・三菱ハイユニ 5B

今回もご覧頂きありがとうございました。楽しい画材ライフを!




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?