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借金取りに追われて「夜逃げした」ドラマみたいなホントの話

桃子は、父に可愛がられた記憶がない。

悲しいかな、物心ついたときから、怒っている父か、飲んだくれてテンションの高い父か、泥酔なうの父親の記憶ばっか(笑)

しかも
桃子が思春期のときに父の会社が倒産。
住む家がなくなり父は蒸発、雲隠れ~(※後にひょっこりはんと戻ってくる……)

当時、桃子は借金取りに追われビクビクしながら
親戚の家をどんどんたらい回しにされた。
(※「血は水よりも濃し」なんて嘘!借金のある父親の子供なんて厄介者扱い)

なにしろ金がないので学校には内緒でバイトを掛け持ちし、友達からは仲間はずれ~!!

大学の進学も諦め、高卒で就職するという選択しかできない。

「この先、どうやって生きていこう」

「私には一体なにができるの?」

「親があんなだからと親のせいにはしたくない」

「どうせ就職するなら自分のやりたいことや仕事を見つけたい」

と自分の人生を真剣に考えた16歳……。

家を無くした自分の高校生活はバイトに明け暮れ、友達とおしゃべりしたり思い切り笑ったりできなくなった。

クラスの女友達ってホント残酷!金が無い、寄り道をしない、同じことができない、同じことをしない、同じ行動が取れないと”仲間じゃなくなる”んだから

(※調子の悪いときや良くないときに寄り添ってくれるのが本物)

当時、淡い恋心を抱いていた男子にも打ち明けられず……

帰る家があり、あたたかいご飯やお風呂があり、
そして
学費を払ってくれて、しかもお小遣いまでくれる親を持ち
楽しい學校生活をのうのうと送っている友達たちを羨ましく思うと同時に疎ましく思いながら……

「あんたら、ホント、ガキじゃん」

と、友達を、見下すことで自分を奮い立たせていた。

「早く、ここから抜け出したい」
「早く、働きたい」
「早く、稼ぎたい。親も親戚も誰の世話にもなりたくない」

と願わずにはいられなかった。

今でもよ~く覚えている。あの日のこと……。

「”差し押さえ”になるから大事なもの(※数日過ごせるような身の回りのもの)を持ってすぐに家を出るのよ!」
と母に突然促され、
真夜中、母の知り合いの家の庭に“自分たちの荷物”を泣きながら運び込んだことを……。

あの夜道は本当に本当に長くて暗くて辛かった。

文字通り「夜逃げ」を体験するとは……。

弟はそのときちょうど修学旅行中。
修学旅行から帰ってきたら
「え~~~っ!帰る家がない!!」なんて超悲惨な話(笑)

いまも弟と実家でお酒を酌み交わすと、そんな当時の記憶が「映像」で蘇り
痛み、いや、思い出を分け合う(笑)

そう、黒歴史の青春時代……。

今、実家でそんな話を振り返るとき、横で聞いているド天然な母は
「あら、ヤダ、学校でそんなことがあったの?」
「あら、学校でそんな我慢をしてたの?」
と驚きながら、ときおり

「ちょっとお父さん!聞いてるの?」
「お父さん、なんとか言いなさいよっ」

と父の遺影(※しかもすんごい笑ってる父の写真)に向かってなんども呼びかけるというお決まりのパターン(笑)

「……そういえば、桃ちゃんは『○○が欲しい』『○○買って~』『お小遣い頂戴』『〇〇して~』とか、ワガママひとつ言わない子だったね……」
と母がポツリ。

「(笑)だって、お母さん、それって言うだけ虚しい。それは叶えられないことだって全部わかってたから。
お母さんの困った顔見たくなかったし……。
ホントは欲しい物なんていっぱいあったよ~(笑)」

……当時、桃子がホントに欲しかったのはきっと”父の愛”なんだろうね。

無条件で愛されたかった。父親には可愛がられたかったな。

溺愛、寵愛、に憧れる~~~(笑)

「愛して愛されたい」

(※愛に飢えていたからこそ、いまは恋愛コラムニストになり恋愛コラムを書いているのかもね)

ーーそして、さらに
当時、親戚の家に預けられていた頃の、
親戚の「あの○○のおじさん」「あの〇〇のおばさん」シリーズで盛りあがったりする。

滅多に人のことを悪く言わない母でさえもちょっと毒を吐く。

「ホントあの人はケチよね」
「金持ちなのにね」
「メロン買ってきただけ。しかもプリンスメロン……」
「なにかと恩着せがましいのよ」
「優しい人ぶってるだけで愛がない」
「あのオジサンは自分で“クルーザ”だって持ってたんだよ」
「そうそう、愛人にマンション買ってた話もあったしね」
「プリンスメロンで同情するなら金をくれ!!だよ」
「表面だけで、ホントは迷惑だったんでしょ~よ」
「田舎のおじいちゃんだけだよね。お母さんにちゃんとお金貸してくれて、アパート借りる保証人になってくれたの」
「そうそう、6畳ひとまのアパートに3人(母と弟と私)で暮らしたね」
「風呂もついてなくてお風呂屋さんいくの大変だった~」
「でも、あんな狭いボロアパートでも、『あのおじさん家』『あのおばさん家』にいるよりは全然居心地良かったけどね~」

……な~んて笑いあったりして。

時が流れるとそんな、そんな辛かったことでも“ネタ”として笑い合えるんだよね~。

時の流れってそんなもの。

ただ、もし、今自分の目の前に借金取りに追われて家を無くした当時の高校2年生、JK・16歳の自分が目の前に現れたら

「ヨシヨシ、よく頑張ったね」って抱きしめてあげたい、かも……。(笑)





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