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心の病は「早く治そう」と思うほど長引いていく

うつ状態、パニック障害、社会不安、適応障害、対人恐怖、etc・・・

世の中には「心の病」と呼ばれている症状が複数ある。

「心の病」とは厄介なもので、その多くは静かにゆっくりと心を蝕んでいき、気がついたときには飲み込まれている、というのは良くあることだ。

その症状は軽いものから重いものまで、その人がどれだけのことを抱えてきたのか?心に溜めてきたのか?により変わってくる。

さて、「心の病」に陥ったとき、多くの人は混乱し困惑する。

それは、いままで出来ていたことが出来なくなる、行けていたところに行けなくなるなど、自分にとって当たり前だったことが当たり前ではなくなっていくからだ。

そして、多くの人は「早く治さなければ」という急務感や焦りに囚われ行動を起こすが、早急に改善しないパターンが多い。

思うように改善していかないので本人は焦燥感などが強くなり、日が経つにつれてさらに出来ないことなどが増え、出口の見えないトンネルを歩いているような錯覚に陥る。

「早く治して本来の自分を取り戻したい」

という気持ちを持つのは当たり前であり、それは正常な状態だ。

出来ていたこと、行けていたところが減っていくのだから、「早くなんとかしたい」と思うのは至極真っ当なことだ。

しかし、本人が思うように「心の病」というのは改善まである程度時間がかかってしまうのがセオリーだ。

場合によっては色んな治療を受け様々なことを試みたが、自分が思うような改善の効果が得られない、と落ち込むこともある。

ではなぜ?「心の病」の多くは改善していく、完治していくまでにある程度の時間がかかるのだろうか。

ここからは説明を交えてお話していこう。


1、焦りや急務感で無理してしまう

けっこうな割合で多いのが、早くなんとかしたい一心で頑張りすぎてしまい、結果改善に向かわないパターン。

普段の生活をしていくうえで、何かしらの役割やポジションに立っていることもあるだろう。

母親であれば家事や育児、家回りのこと全般など。会社員であれば任されている仕事や役職、普段の作業など。

100人いたら100人それぞれ役割やポジションがあり、背負っている重みなどは様々だ。

そのような役割やポジションがあるからこそ早く改善するために頑張り、時には無理をしてキャパオーバーとなるケースも多い。

うつ状態であれば、

「寝ているわけにはいかない」
「休んでいることはできない」
「周りに迷惑をかけてしまう」

と躍起になってしまい普段の行動を取ろうとするが、身体がついていかず、無理したことでさらに苦しくなり悪化してしまうというパターンがある。

会社員でパニック障害、適応障害などであれば、

「こんなことで休むことは出来ない」
「仕事が溜まってしまう」
「あの案件がわかるのは私だけだ」

など自分を鼓舞させ、なんとか普段の生活に戻ろうとするが、心身は拒絶反応を起こし、ひどいときは過呼吸発作、パニック発作、めまい、失神などで救急搬送されることもある。

これは「心の病」という坂を一気に駆け上がろうとした結果であり、気づいたらつまずいてしまい、元の場所に戻ってしまったというケースだ。

2、幼少期のトラウマなどから脱していない

「心の病」に陥ってしまうとき、幼少期の経験や体験、トラウマなどがどこかのタイミングでトリガーとなり、発症することもある。

多くは幼少期の嫌な苦しい体験や経験が、大人になったいまふとした時にフラッシュバックしてしまい、それに飲み込まれてしまうパターン。

幼少期の体験や経験は、それが本人にとって苦しくてツラいものであればあるほど心に色濃く残っている。

大人になるにつれ無くなることはなく、むしろ多くは心に色濃く保存されたまま大人になる。

年齢や身体、考え方は大人になっていても幼少期の嫌な体験は保存されたままなので、嫌な体験をした時と同じような環境や境遇、人や場所に出くわすとフラッシュバックされる可能性がある。

そして、そのフラッシュバックがトリガーとなり、様々な「心の病」に陥りなかなか抜け出すに至らない。

先ほども少しお話したが、幼少期の嫌な体験や経験、トラウマなどは自然に心の中から消えることは無い。あったとしてもそれは稀だ。

多くはそのような体験や経験を心の奥にしまいこみ、毎日を生活している。

このような場合「心の病」の改善には、まずトラウマからの脱却が必要となる。

過去の自分と向き合い、時間がかかるのは承知のうえで過去の痛みや苦しみを手放したとき、多くの場合「心の病」は離れていく。

3、「心の病」であることを認めない

「心の病」は役割や立場、性格、性別、人間性、老若男女問わず、人間であれば誰でもが陥る可能性がある。

だが、中には「心の病」に陥ったことを認めず、無視しながら日常生活を送ろうとする人もいる。

その多くは、

「私が心の病になるわけがない」
「身体がツラくてもこれは気のせいだから」
「そのうちいつも通りになる」

など、いまの状況を理解せずに自分の解釈で済ませようとする。

これは、これまで明るく気丈に振る舞い、うまく周りに接していた人に多いパターンだ。

このような場合、自分は気にしないようにしているが周りが気づくケースも多い。

いつもの元気さがない、なんだか暗い、いつもの時間に来ない、など、普段からは想像できないような行動から周囲は気に留めていく。

明るく気丈に見える、うまく周りと接している人ほど、実は周囲の期待に応えるために日頃から無理をしており、心に強い負荷がかかっていることが多い。

自分を置いて周りを円滑にしようとするので、なおさら「ここで休むわけにはいかない」などと躍起になり、無理を助長してしまう。

結果、一度顔を出した「心の病」に少しずつ蝕まれてしまい、本人の気持ちとは裏腹に身体が動かない、不安感が強くなる、自分を責める、など悪循環に陥る。

大切なことは、いつもと違う異変に気がついたら無理はせず、いつものキャラクターを手放していくことだ。

いつものキャラクターを手放すことは周囲からどう見られてしまうか?強い怖さが襲ってくるかもしれない。

だが、周囲の期待よりも自分の心を守るほうが先決であり、時間はかかるが本来の自分に戻っていくことが必要となる。

確実に「心の病」から脱却するには

確実に「心の病」から脱却するには、完治や改善にはある程度の時間が必要と理解し、自分を信じて進んでいくことだ。

先ほども少し述べたが「早く治さなければ!」というような「焦り」は結果遠回りになることが多い。

できればその道の専門家のカウンセリングやアドバイスを受け、適切に前に進んでいくことが必要になる。

これは私の個人的な見解だが、医師というのは広く浅くの知識であり様々な症例に対応する立場なので、なにかひとつの心の病の専門家ではない。

また、向精神薬を用いた対処療法が主となるので、薬により一時の安心などは得られるが、長期的に見ると適切な完治や改善には遠回りとなる。

ぜひ、自分で調べてその道の専門家を訪ねてほしい。

ただ、いくら専門家といえど、早急に完治や改善に導けるのは稀だ。

時間はある程度かかるもの、自分とどれだけ向き合えるか?によって完治や改善のスピードが変わることを理解しておくのは大切だ。



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