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パニック障害のご家族やパートナーはどのように寄り添えばいいのか?

パニック障害という心の病は周囲の理解をなかなか得られないことから、孤独感に陥りやすいものだ。

そもそもパニック障害など心の病はなった当人しかその感覚、苦しさやツラさがわからない。

それでも周囲の理解を得ようとする気持ち、焦りがあり、それがほとんど叶わないことからパニック障害は深みを帯びてしまう。

だが、パニック障害の根本にある苦しさやツラさはわからなくても、ご家族やパートナーがわかろうとする気持ち、理解しようとする考えかたを持つことで、パニック障害の当人は救われる。

家族に寄り添ってもらえたり、何かしらの補助をしてもらうことでパニック障害を撃退していく心強さも生まれる。

今回は、パニック障害のご家族やパートナーがいかに寄り添えばいいのか?適切な方法などについてお話していこうと思う。


ご家族やパートナーができる寄り添いかたとは

パニック障害、パニック発作特有の苦しさやツラさが発生したとき、当人はもちろん周りにいる人間も混乱に陥りやすい。

その結果、当人に対して過剰に励ましたり過度の心配をしてしまう、「しっかりしろ!」など間違った叱責をしてしまうと余計に混乱や不安などが高まってしまい、本末転倒となる。

ではいったい、周囲の人間、ご家族やパートナーはどのような寄り添いかたが理想なのか?

ここからはそれをまとめてみよう。

・ご家族やパートナーは慌てずに
・背中に手を置いたり手を握る
・呼吸を整えるサポートをおこなう
・パニック発作解消のサポートをおこなう
・穏やかにゆったりと接する
・孤独を感じさせない
・気分転換、ストレス解消をする

ご家族やパートナーの寄り添いかたについて、ざっとあげるとこのようになる。

では、ここからはひとつずつ説明と補足をしていこう。

ご家族やパートナーは慌てずに

もし当人にパニック発作が起きたとき、基本となることだがご家族やパートナーは慌てず騒がず、落ち着くことが必要となる。

パニック発作が起きてしまった当人は怖さや不安が先行し、気持ちに余裕が無くなってしまう。

ここでご家族やパートナーまで慌ててしまい余裕が無くなると、それはパニック発作を起こした当人にも伝わり、パニック発作自体が長引く可能性がある。

パニック発作が起きたとき、まずはひと呼吸おき、気持ちを整えることが先決だ。

気持ちが整う、落ち着くことができたら混乱したり慌てることも無くなるので、それから適切な対応に入ることが望ましい。

背中に手を置いたり手を握る

パニック発作が起きた当人は不安や怖さで余裕がないため、まずは安心感を感じることが重要となる。

背中に手を置く、手を握るなど、安心感を与えることに注力していこう。

背中や手から伝わる温もり、そばにいてくれる感覚から少しずつ安心感を覚え、当人は落ち着きを取り戻していく。

もし背中に手を置く、手を握るのが難しい場合は近くにいる、そばにいるだけでも安心感を覚えるので、実践していこう。

呼吸を整えるサポートをおこなう

パニック発作から早く抜けだす、不安や怖さから離れるには、適切に呼吸を整えることが大切になる。

パニック発作が起こると背中を丸めやすくなり呼吸が浅くなりがちなので、どうしてもパニック発作から抜け出すのが難しくなってしまうからだ。

しかし、丸めた背中を真っすぐにし深い呼吸をくり返すことでパニック発作は少しずつ緩和され、不安や怖さといった感情も落ち着いてくる。

パニック発作を起こした当人の背中が丸まっていたら真っすぐにして、深い呼吸をしやすい体制にしてあげよう。

そして、できれば隣で一緒に深い呼吸をすることで当人はペースをつかみやすくなり、パニック発作から抜け出しやすくなる。

深い呼吸の適切なペースは、息を吐き出すのに約8秒ほど、息を吸い込むのに約6秒ほどが望ましい。

吐き出すのを長く、吸い込むのを短く、長くゆったりした呼吸をくり返すのがポイントだ。

パニック発作解消のサポートをおこなう

パニック発作が強く出ている場合や当人が深い呼吸に集中しづらい場合、パニック発作解消のサポートをおこなっていこう。

逆に、深い呼吸でパニック発作から抜け出せた場合はこのプロセスは飛ばしてもOKだ。

強いパニック発作が起きているとき、当人はパニック発作に飲み込まれており、意識がそこに集中してしまっている。

パニック発作から意識を逸らすため、例えば本人の名前や生年月日を質問したり、ご家族の名前、生年月日、同じく親戚や友達の名前や生年月日を質問してみる。

また、当人が住んでいる家の住所、好きな食べ物、嫌いな食べ物、好きな動物、嫌いな動物を質問したり、簡単な暗算を用意し答えを言うよう促すのも良いだろう。

なにかの質問に答えたりなにかを思い出す行為は頭を働かせてそちらに意識を向けないとできない。

それをうまく利用するのがパニック発作解消のポイントになる。

ご家族やパートナーはできれば事前に質問事項を用意しておき、いざとなったらそれを使うのがベストだ。

穏やかにゆったりと接する

最初にも述べたが、パニック発作を起こした当人にはまず余裕がなく、ご家族やパートナーが落ち着いている必要がある。

だが、頭では落ち着いているつもりでも態度や動作、言動に落ち着きが見られなければ当人の不安や怖さ、混乱は助長されてしまう。

できるだけ口調は穏やかに、ゆったりと当人に接することで気持ちが落ち着いていき、心にも余裕が生まれてくる。

自分がもし落ち着いていない、焦っている、急いでいると感じたら、わざと動作や言動をゆっくりにしてみよう。

わざとゆっくりした動作や言動にすることでそれに身体は慣れ、余裕が生まれてくる。

焦ったり急ぐ必要はない。まずはしっかりと落ち着くために動作や言動をわざとゆっくりにしていこう。

孤独を感じさせない

パニック障害に陥ると、多くの人は孤独感に苛まされ、感情が不安定になることは多い。

ご家族やパートナーに理解が見られない、理解が及ばないがための態度や言動、叱責などはますますパニック障害の当人を孤独に落とし入れてしまう。

孤独というのは強くなると自己否定や自己の拒絶、希死念慮(死にたくなる気持ち)、離人感などにつながり、生きる意味、希望を失う可能性もある。

パニック障害の苦しさやツラさ、生き辛さは当人にしかわからない。

ご家族やパートナーができることは常に味方でいるという姿勢、理解しようとする態度、気持ちでいることが大切だ。

わからなくても理解しようとする気持ちがパニック障害の当人に伝われば、生きる希望を失ったり強い孤独に苛まされることもない。

孤独を感じさせないよう、せめて理解しようと努める姿勢でいることが、結果的にパニック障害の完治・改善への近道となる。

気分転換、ストレス解消をする

ここまでパニック障害の当人、パニック発作への寄り添いかたなどについて述べてきたが、いざパニック障害、パニック発作に対峙していくと強いストレスや心的負荷、重い疲労感に襲われることがある。

いくらご家族やパートナーが強い気持ち、姿勢で立ち向かっていても人間である限り限界は生じる。

限界を感じる前、時には気分転換やストレス解消、力を抜くなどリラックスする時間や労わる時間は大切だ。

パニック障害の当人に接するのは緊張感が張り詰めるため、想像以上にストレスや疲労感が生まれやすい。

時には自由時間を作り趣味に没頭する、寝転んで身体を休める、身体を動かして発散するなど、なにかしらの解消法を身につけて欲しい。

少しの間だけでもパニック障害のことを頭から切り離す、リセットする時間を設ける。

共倒れにならないよう、ご家族やパートナーが自分自身を守っていくためにも気持ちをリセットする、頭を切り替える工夫をしてほしいと思う。


ここまでご家族やパートナーがパニック障害の当人に対しての寄り添いかた、対処の仕方などについて述べてきたが、いかがだろうか?

すでに向き合っている人もいるだろうし、向き合いかたや寄り添いかたを初めて知った人もいるだろう。

一緒にパニック障害と戦う覚悟でいること、一緒に歩む姿勢でいることがなりよりパニック障害の当人にとって望ましい。

ぜひ、できることからひとつずつ取り組んでみてほしいと思う。

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