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人と写真を撮る、ということ

写真を撮ることが、昔からなんとなく好きだった。きれいだと思う風景に出会ったとき、その景色をできるだけ大きく切り取ろうと見晴らしのいいところに走ったり。あかるい、自然の写真が好きだったし、今も好きだ。


それは趣味といえるほど頻繁に撮りにいったり、性能のよいカメラを買ったりというほどの情熱はなかったのだけれど。

もっと写真を意識するようになったのは、何年も前、日曜美術館をみていたときのこと。写真家、植田正治についての特集をやっていたのだ。そのとき見た写真の、あまりの美しさの衝撃といったら。

モノクロ写真に写る、鳥取砂丘の白とスーツに山高帽の人物のコントラスト。ポーズの細部まで計算された、家族写真。

一瞬にして、自分は植田正治のファンになってしまった。自分の好きなものが、この人の写真に詰め込まれている。

いつか自分も、こんな美しい写真を自分で撮ってみたい。
小さくだけど、そう思った。自分の色を映して、世界を切り取りたい。


・・・そうして最初の「写真に衝撃を受ける」体験をしてから、何年も経った。

社会人になり、写真や趣味のことはほど遠く、会社に通うだけの日々。
毎日を漫然と過ごしているな、という自覚はあった。このままただ東京に暮らすのかな?という疑問や焦りも、季節を経るほどにじりじりと身を焼いていくようだった。

そんなとき、青森県十和田市に関するweb記事を見つけた。小さいころから何度も訪れた十和田のことが、そこで暮らす人々のことが、美しい写真とともに語られている。

それは「灯台もと暮らし」というメディアだった。
もっとよく見てみると、十和田以外の地域に関する記事も、たくさんあった。
記事に描かれている、地方の暮らし。自然と、東京で仕事をしている意味がわからなくなっている自分と対比して読んでしまい、えらくまぶしく見えた。

記事を書いた人を見ると、伊佐知美さんとある。
Twitter をフォローすると、オンラインコミュニティ「旅と写真と文章と」という集まりを主催されているということがわかった。しかも、そのときはちょうどメンバー募集の時期。
楽しそう、だけど、新しい行動を起こす勇気や気力がない・・・。

最初の募集は見送った。
見送ったけど、タイムラインには次々と楽しそうな様子が流れてきた。
自分が傍観者であることを選んでしまったことを、ちょっと(かなり?)後悔した。

次のときは、参加しよう。
そう思って、7月から始まったSUMMERクルーに参加した。
活動期間が始まってからわりとすぐにカメラについて質問し、7月2週目頃にはカメラを手に入れた。
カメラが全然わからなくても谷根千で行われたフォトウォークは楽しかったし、高円寺でお酒を飲みながら写真を撮ったこともいい思い出になった。
なにより、大人になってたくさん新しい知り合いができると思っていなかったから、純粋にカメラのことで盛り上がれる集まりが、すごく居心地がよく、楽しかった。

思い切って飛び込んでみると、世界は案外開かれている。

これは旅しゃぶのみなさんが、みんな良い人だから、ということに助けられている面ももちろんある。

でも、新しいことはいつでも始められるし、行動に移してみると、そこから自然に足は動いていくんだということは、新たな発見だった。

今日でSUMMERクルーは終わり、明日からはAutumnクルーへ。

カメラと、旅しゃぶと過ごすこの秋冬は、どんなことが起こるかな。
楽しさを享受するだけでなく、自分も楽しさを創り出せる側になれたら。
そして、写真がうまくなれたら・・・

みんな一緒なら、きっと足どりは軽い。どこまでも、いきたい。

読んでいただきありがとうございます。 また来てくださるとうれしいです。