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【Yohji Yamamoto POUR HOMME 2023年春夏コレクション】僕を駆り立てる、ここは東京

1.最初に


先日開催された2023年春夏パリ・メンズコレクションでは、日本勢の活躍が目覚ましく、多くのブランドがパリ現地でショーを行ない、芸術の街パリを大きく活気付けました。

しかし、そんなパリとは真逆のオリエンタルの代表地である”東京”でコレクションを発表したのは皆さんご存じの”Yohji Yamamoto”
自身のアイデンティティである洋服と数々の名優を引き連れパリコレにオリエンタルな風を吹き込んだYohji Yamamoto。

本記事では、そんな『Yohji Yamamoto POUR HOMME(ヨウジヤマモト プールオム)2023年春夏コレクション』についてまとめました!最後まで読んでいただけたら幸いです!

2.Yohji Yamamoto POUR HOMME について


Yohji Yamamotoにはウィメンズ・メンズ共に多くのラインが存在し、それぞれブランドコンセプトや持つ色・世界観が異なります。

そこで、まずは『Yohji Yamamoto POUR HOMME』ってどういうラインなのかを軽く紹介したいと思います!

Yohji Yamamoto POUR HOMME(ヨウジヤマモト プールオム)とは、1984年のパリコレデビュー以降、デザイナー山本耀司氏(以下、山本氏)が考える男性像である「社会の規範に縛られることなく自由な精神を持つ、”何者だかわからない“、格好良くありながらどこかコミカルなユニークさが漂う男たち」を最大限に洋服というクリエーションを通して表現しているメンズコレクションラインです。

フォルム、ビックシルエットが特徴的で、黒を基調としたアイテムはダンディーな芯が通った、でもどこか儚さを感じる魅力的な男性を彷彿とさせます。Yohji Yamamoto POUR HOMMEは、まさに山本氏本人を洋服そのものに投影したようなブランドで、過去・現在・未来がクロスオーバーしているようです。

そんな山本氏のメンズ服の根底にあるのは、アウトローのような多数派に対する抵抗のようなものであり、着る男たちと自分は仲間という感じで作ってきたと自身の服作りに対して語っています。山本氏の社会への反抗心を具現化した服を着る受け手とある種の共犯関係にあるのだと。代表的なスーツやコートには、その時々に思い浮かんだメッセージ性の強いフレーズや言葉を服に直接取り入れることで、我々に多くのことを訴えているのです。

3.Yohji Yamamoto流のショー


ショーの始まりは、どこか不気味さと怪しさを感じる音楽から始まった今季のショー。モデルたちは洗練されたテーラードスタイルを身に纏い、どこか退廃的なイメージを彷彿とさせるグレーカラーのヘアスタイルで、途中で立ち止まり威嚇するかのように招待客を睨みつけたり、時にお互いが肩をぶつけ合いながら歩くといったシーンも。そして、ランウェイの先にあるカメラに対して睨み付けるかのように思い思いの表情でウォーキングする姿は男性としての力強さや信念のようなものを感じました。

それは、まるでGQ 永遠の反逆児、山本耀司さんにインタビュー─“大人”たちのゲームには乗らないにて自身を語った「一般的な人、一般的な常識に、なにかにつけてムカついていた。若いころは肩ぶつかったらだいたい喧嘩していましたし。〔以下中略〕」のように社会に対する反骨精神とアグレッシブな衝動とパワーを抱えていた若き日の山本氏そのもののようです。

山本氏の言葉を借りるならば、時代や社会が変われど、そういった社会や固定観念、現状に対する反骨精神は、ブランド立ち上げ以降からずっと変わらず、「服」という形で社会に吐き出すというスタイルは変わらないのです。

ショーに登場したルックは全43体。真骨頂といえるブラックスタイルに加え、ホワイトのパッチワークのジャケットや華やかなカラーリングが目立つ上質なセットアップは、非常に新鮮で強いインパクトがありました。
ショー終盤のメッセージが刻まれたコートを軸にしたスタイリングは、モデルの方々との雰囲気も相まってヨウジだからこそ表現できる”渋さ“のようなものを感じました。

数々のメッセージが刻まれている中、「I’m so bored with rules(意訳:縛られるのにはもう飽きた)」というメッセージはデザイナー山本氏の心からの想いのように感じ、まさにコンプライアンスや数々の制約を抱える現代社会への悲痛な叫びであるように感じます。

4.東京とパリ


今回目立ったのは、東京でコレクションを発表すること・ショーの中で日本語の歌を使うこと・日本人モデルを多数起用することといったように、”日本が持つアイデンティティ”を世界に発信しようとしている姿勢。それは、前回の2022年秋冬コレクション、2010年「YOHJI YAMAMOTO THE MEN 4.1 2010 TOKYO」より紡がれてきたモノで、”東京でショーをやる”というある種のこだわりでもあり、アイデンティティのようにも感じます。

WWD 「パリコレが自分の存在理由」現地でショーを開催した山本耀司がバックステージで語るの記事において、2020年コロナ渦でのパリコレ参加について「僕の仕事は、パリでショーをやること」と語る山本氏。40年近くショーを行なってきた自分にとっては、存在理由なのだと述べています。

そんな山本氏は、FASHIONSNAP.COM「東京でやって何が悪い」アヴァンギャルドに攻める「ヨウジヤマモト プールオム」2023年春夏コレクションにて、パリメンズファッションウィーク中に、あえて東京からコレクションを発表した理由について「戦争の影響で、パリまで飛行機で16時間もかかる。そんな思いまでしてパリに行く必要はないだろう。東京でやって何が悪いんだ、と開き直りまして」コメントしています。

多数派の無関心な姿勢や諸外国の情勢など様々なものが周囲を取り巻く現在において東京でショーを行ない、洋服を通して純粋に表現すること以外に、我々に対して世界に対して何か大きなこと・モノを伝えようとしているのではないかというように感じました。

山本氏の作品には、伝統に対するリスペクトが常に感じられ、それは西洋にも東洋にも当てはまります。既存のルール・風潮ルールに屈すること無く、自らを貫くYOHJI YAMAMOTOだからこそ、本拠地・東京、アイデンティティの発祥地・東京から「伝える」ということに強い想いがあるのかもしれせん。

5.レジェンドと新生スターの邂逅から見る時代の流れ


話題を集めたのは、洋服と共にショーを盛り上げたモデルたち。遠藤憲一氏や、加藤雅也氏、大沢たかお氏、伊藤英明氏、要潤氏、城田優氏、竜星涼氏、ラウール氏(Snow Man)といった若手からベテランまで名だたる顔ぶれが登場し、思わず「おぉ…」と見る者を唸らせるようなランウェイを披露してくれました。

中でも、注目したいのが”レジェンド大沢たかお氏“と新生スター・ラウール氏“です。大沢たかお氏は俳優としてデビューする前に、その才能を見いだされ、パリコレのショーにキャスティングされた過去を持ちます。ブランドやファンからも特別な存在であるレジェンドが今回のショーでは33年の時を経てヨウジに還ってきたのです。

そんなレジェンドと共にランウェイを盛り上げたのは、若干19歳の今をときめくラウール氏。そんなラウール氏のパリコレ出演が決まったのは、なんとショーの前日だったそうです。オーディションを勝ち抜き、Yohji Yamamotoの服を纏ってパリコレのランウェイを歩くことに並々ならぬ覚悟を持って挑んだそうです。

ラウール氏のランウェイは正直言って圧倒されました…
2体目の招待客を威圧するようなダンスや全体を通してのどこか儚さを感じる表情など、ここまでヨウジの世界観に没入し、自らの表現力で新たなスタイルを作り上げたラウール氏には感服しました。
皆さん是非ショーの映像を見てください、他のモデルのウォーキングも見応え抜群ですが、ショーの中での彼のパフォーマンスは本当に圧巻です。

実は、2体目のパフォーマンスは山本氏からの要望であり、「観客をドキっとさせてほしい。そしてドキっとさせた瞬間にやめてほしい」とオーディション時に伝えられたそうです。VOGUE レジェンド、 山本耀司の服作りが意味すること。にてモデルたちに「ただ歩いて帰ってきてくれ」と伝えるという山本氏が自ら「こうして欲しい」と希望したのは、ラウール氏が持つ表現力・ポテンシャルにいち早く気づいていたからかもしれませんね。
はたまた、一男性として、自身の服を纏った人間が生み出すエネルギーをその目で見たかったのかもしれません。

初期からヨウジを支えるレジェンドと、今回初登場ながら、表現者として圧倒的なパフォーマンスを披露した新生スターが同じランウェイに出ていたということにヨウジの時代の流れや変化を感じました。若手・ベテラン問わず、ランウェイを歩いた俳優さんたちは、それぞれ色気だったり、堂々たる貫禄だったりとそれぞれの色・魅力を持っていて、思わず見入ってしまうほど男性として尊敬と憧れを感じるランウェイでした。

6.最後に


今回は、見事東京でのコレクション発表を大成功させたYohji Yamamoto POUR HOMME 2023年春夏コレクションについて紹介させていただきました!

これまで引き継がれてきたアイテムに加え、パッチワークや華やかなセットアップなどにより新たなスタイルを確立した今季、それに加え新たなスターの台頭など見所満載であり、多くのことを感じさせられたコレクションでした。

今回のコレクションを見て、過去のヨウジ・現在のヨウジ・これからヨウジ全てが合わさってYohji Yamamotoなんだと感じました。

これからのコレクションも非常に楽しみです!

最後まで読んでいただきありがとうございます!
少しでもYohji Yamamoto POUR HOMME 2023年春夏コレクション並びにYohji Yamamoto POUR HOMME の魅力・良さが皆さんに伝われば幸いです!
下にリンクを貼ってますので、気になった方はぜひチェックしてみてください!

コーポレートサイト:https://www.yohjiyamamoto.co.jp/collection/homme/
YouTubeアカウント:https://www.youtube.com/watch?v=27_1KRK5NyY

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