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最近読んだ本たち(見返り美人な7月分)

7月はわりと有意義に過ごせた気がする。仕事も子育ても、勉強も。

「あんた、ちょっといいひと月だったでしょう」と振り返ってにやりと笑ういい女みたいな、そんな月。なかなかの見返り美人でいらっしゃった。

わけあって、小説少なめ。

『欲望の見つけ方』 ルーク・バージス

発売当初から読みたかったのに、買おうとするたびに売り切れだった。やっと買えて、手もとにやってきてくれた。嬉しい。

「模倣の欲望」理論を提唱したルネ・ジラールの思想をわかりやすく展開する内容で、とても興味深く読んだ。文庫クセジュの『ルネ・ジラール』も、ついポチッと注文してしまった。

私たちはほんとうに「自分の欲望」を生きているか。そう問いかけられている気がした。誰かの欲望が乱反射して、まるで自分自身の欲望であるかのように思えてしまう現代。欲望を見極めることも大切なのかなぁ、と思った。

あと、あのピーター・ティールの自宅に招かれたというくだり、ミーハーな私はワクワクした。行ってみたい! どんなだろう?!

『女らしさは誰のため?』 ジェーン・スー 中野信子

下の記事で取り急ぎの感想を書いた。

女らしさがこれまでの社会でどう規定され、社会にどう作用してきたか、これからの女性はどう生きていったらいいのかについて考えさせられる。カジュアルな対話形式で読みやすい。

『豆の上で眠る』 湊かなえ

湊かなえ作品を無性に読みたくなるときがある。この7月のはじめがそうだった。

「幼い頃に行方不明になった末、家に帰還した姉は、ほんとうに『私の姉』なのか」という、妹の疑念を中心に進む物語。

私自身、二人姉妹で育ち、産んだ子どもも双子姉妹なので、作中のこまかなところに共感しながら読んだ。読み終えて「姉妹とはなんだろう、血のつながりとはなんだろう」と考えこんでしまった。絆とはなにから生まれるのか。うーん、さすがの読後感。

『文章は接続詞で決まる』 石黒圭

なにを隠そう、接続詞が苦手な私。いまいち効果的に接続詞を配せず、悩んでいたので手に取った。石黒先生の本はほかにも持っているけれど、自分が苦手とするものを扱っているぶん、これがいちばんすいすい内容が頭に入ってきた。切羽詰まっているからか。

国語の成績がある程度よかった人も「品詞ってなに?」という人も、ともに興味深く読める本だと思う。

『ベスト・エッセイ2023』 日本文藝家協会編

去年の『ベスト・エッセイ2022』がとてもよかったので、今年も購入した。名だたる表現者・文化人たちが日常をどうとらえているのかがほんの少し見えるような気がする。きっとそこが最大の魅力だ。文章の美しさに圧倒されるのはもちろんのこと、いわゆる「解像度の違い」が見えそう、というか。

日々のなかからテーマをすくいあげるセンスがそれぞれに素晴らしくて、宝石のつまった箱を手にした気分になれる。「エッセイ集を読む醍醐味ってこれだなぁ」とうなる瞬間、とても幸せ。

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7月は小説少なめ。中村文則『掏摸』も買ってあったのだけれど読めず、来月に持ち越すことにした。

『欲望の見つけ方』でちょっと哲学っぽい内容に触れたことで、大学時代の乱読生活を思い出した。

哲学を専攻していたあの頃、正統派の哲学書から政治思想本、小説、エッセイまで、いろいろな本を読んだ。大学の講義には全然出席しなかったけれど、学ぶことに対しては私なりにひたむきだった。少しくらい初心に帰ってもいいかもしれない。がんばろう。

8月はなにを読もうかな。

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