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最近読んだ本たち(2024年4月分)

4月は出会いの月とよく言われるけれど、ほんとうにそうで。いろいろな方面で新しいつながりができてよかったなー、としみじみしている。

月の前半は娘たちが春休み、または午前中授業ということで、限られた時間内で仕事に追われた。それでも、ちょっとは本を読む時間を確保できた。よし!

残るは「エクササイズをしたあと眠くなってしまう問題」だ。「筋トレしてから本読もうっと」などと思っていると、睡魔に襲われて読めない。どうにかして。

読書の時間が少なかったわりには読めたかな、と。

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』 ブレイディみかこ

言わずと知れた大ヒット作の続編。息子さんの聡明さと成長ぶりに拍手を送りたくなる。わたしの中学生の頃と比べて、自省と観察に満ちた日々を過ごしている彼は、どんな大人になるんだろう。

1作目もそうだけれど、子どもを見つめることは決して家内ごとへと収斂しゅうれんしていくわけでないという事実を教えてくれる。育児の視点は、社会やその課題へと広がる可能性をいつも秘めている。家や学校のなかのことは、実はつねに社会と地続きなのだ。

わたしも育児する者として、それを見逃したくないなあ、と思う。

『クリームイエローの海と春キャベツのある家』 せやま南天

note界隈にお住まいでご存じない方はいらっしゃらないだろう、創作大賞受賞作。受賞されたときに読んで、その流れるような文章とあたたかな世界観に引きこまれた。お仕事小説だけれど、つねに優しい視線が主人公を追いかけていて、人間として忘れてはいけない情熱と思いやりを思い出させてくれる。

(ネタバレを避けたいのでぼかします)受賞時に読んだものよりもきめ細かく書き込まれた箇所に気づいて、なんだか一ファンとして嬉しくなった。

読了後に「ああ、よかった」と心の中がふっくらするような、そんな作品。そして、装丁がとても、とても素敵だ。noterのみなさんによる帯コメントも。ブックシェルフに平置きしたくなるやーつ。

『世界のニュースを日本人は何も知らない』 谷本真由美

フォローさせていただいている優谷美和(ゆうたにみわ)さんが紹介されていたのを読み、興味を持った一冊(美和さん、やっと読みました!)。

煽り気味のタイトルとは印象が違い、とげとげしさはないのに、国際社会から見た日本の異質さや課題を浮き彫りにするところが面白い。文章がとても読みやすい点も勉強になった。なんというか、海外に駐在している友人と語り合ったときのような気分になるくらい、読みやすい。

そういえば、某国際機関で働いていた友人も、国際問題をわかりやすく、ご近所の噂話のように話してくれたなあ、と思い出した。

『正欲』 朝井リョウ

これも話題になっていた時期に買い込んだのに、まだ読めていなかった。ぐいぐい引きこむストーリー運びで、2日で読み終えた(HAUSERさんの公演開始待ちのカフェで読了!)。

「正しい欲」を規定しようとする力は、かならず「規定からはずれるもの」を生む。じゃあ正しいってなに? 当たり前のように使われる「多様性」ってどう多様なんだろう? とか、いろいろ考えた。

少し前に村田沙耶香『コンビニ人間』を読んだばかりでもあったので、これを読み終えたあとしばらくは「正しい」とか「普通」という言葉が常に傲慢さと無神経さをはらんでいることについて思いをめぐらせた。読んだあとに誰かと話したくなる本は、いい本だ。映画もそう。わたしの勝手な定義である。

『THIS IS JAPAN 英国保育士が見た日本』 ブレイディみかこ

積ん読になりかけていたのを、これはいかんと開いた。今月はブレイディみかこ作品を2冊読んだことになる。たまたま。

ブレイディみかこさんの本を読んでいると、やはり身近な問題をきっかけに政治へと向かう視線を感じる。この本の見出しにも使われているけれど、結局は「ミクロ(地べた)をマクロ(政治)に持ち込め」ということなのだと思う。日本に足りないものとしてブレイディみかこさんの目に映るのは、地べたにいる人たちが「立ち上がる」姿勢なのだろう。

政治的なことを語る人がいたら「なんかあの人、政治活動とかしちゃってるらしいよ、ヤバくない?」みたいな周囲の目が走る。「庶民が立ち上がりにくい国、日本」は確かにあるよなあ、と思わされた。

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わたしは日本が大好きだし、日本人であることはわたしの誇り。ただ、それは「このままじゃダメだ」と感じる課題に対して無策、無思索でいることとイコールじゃないよね、と思った4月だった。なにかを冷静に見たいときはやっぱりほかの視座をお借りするに限る。

5月はなにを読もうかな。



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