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人間ドックも五度目なら

1年半ぶりの人間ドックに行ってきた。健康推進施策の充実した企業に勤めていた30歳のとき、はじめて人間ドックを経験した。以来、ずっと受け続けている。

今回の健診センターを利用するのは5回目。いや、もしかしたら6回目だったかもしれない。

毎年受けるようにしていたのに、去年は忙しくてうっかり飛ばしてしまった。

ということで、あわてて新年度早々の受診である。

身体測定と血液検査に始まり、胃部X線検査(バリウム検査)に腹部超音波検査、子宮頚がん検査にマンモグラフィーと、覚えきれないくらいの検査が待ち構える。自分で申し込んだとはいえ、気が遠くなる。

前回の人間ドックについて書いた記事。

わたしは自他ともに認める「トロい」人間だ。健診センターのドアを開けた瞬間から、きびきびパッパッ、と動かざるを得ないことに疲れ果ててしまう。

検査してもらうと言ったって、常に受け身でよいわけではない。当たり前だけれど、検査技師さんや看護師さんとテンポを合わせなければならないことがほとんど。

「大きく息を吸って、吐いてー。はい、そこで止めてください!」

腹部超音波検査では、お腹に当てられた機器が動くとき、スタッフの方から声をかけられる。その指示どおりに息を吸ったり吐いたり、わりと長いこと止めたり、を繰り返す。どんくさいわたしにとっては大変だ。

もっと大変なのが胃部X線検査。わたしはもともと炭酸がうまく飲めず、バリウムを流し込むのも動作も遅いので、焦りに焦る。

「はい、右向いてください! あっ、向きすぎ! 戻って! はい、ぐるっと回ってください!」

ひいー、早いぃーーー。音を上げたくなる指示の連続である。あたふたしているあいだにげっぷが出てしまって、炭酸をもう一度飲んだ。終わる頃にはやつれたんじゃないかと感じるほどヘビーだった。

でも、今回はちょっといい気づきがあった。

これまでよりもスムーズに、スピーディーに、検査を受けられたように思うのだ。

息もうまく出し入れできたし、X線検査台の上ですんなりゴロンゴロンできたし、おまけに健診センター内で迷子にならなかった(今までは毎回、迷っていた)。

「むふふ、この健診センターで受けるのも5回目くらいだもんね」。こっそり胸を張りたい気分だ。

たいていのことは、回を重ねるごとに上達する。仕事も趣味も育児も、経験がものを言う場面は多い。

きっと来年はさらにスムーズに受けられる。だいじょうぶ、だいじょうぶ。変な自信をつけている。ついでにバリウムじゃなくて胃カメラ検査に変更しよう。

人生も五度目ならうまく生きられそうな気がするのだけど、そればっかりはどうにもならないなあ、と苦笑いしているところ。

昔、『恋も2度目なら』というTVドラマがありました。
このドラマに関するわたしの記憶はおぼろげですが、その後、恋だけは二度目でも三度目でもうまく行くとは限らないと身をもって学びました。

そういうことも、あるある。人生の不思議。

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