わたしの大切な相棒だから
「あなたがこんなにも大切だったなんて」
そう叫びたくなっている。その大切さに気づいていなかったわたしは、なんて愚かだったのだろうと歯噛みする。
CDラジカセの話である。
今の家に入居してからずっと、キッチンの背面カウンターにCDラジカセを置いていた。
料理中、音声配信もよく聴くけれど、手持ちのCDも聴きたい。
どうせならラジオが聴けるものが欲しい。しかも薄型であれば場所も取らない。じゃあこのモデルね! と選んだこのCDラジカセの調子が最近どうもよくない。ディスクを認識してくれなかったり、演奏中にブツッと音楽が止まったりと、ご機嫌ななめのようだ。
4年間、がんばってくれたこの子もそろそろ買い換えどきかもしれない。
ということで、新しいCDラジカセを探しているのだけれど、なかなか「これ!」というものを選べない。SONYかJVCケンウッドかPanasonicか、それとも……。
そもそも、このご時世だから、CDラジカセのラインナップが少ない。そりゃそうだ、と思いつつも、ブックシェルフの一区画を占領しているCDたちを聴くために一台は持っておきたい。
「うーん、どれにしよう」と悩みはじめて、はやひと月。わたしにとってCDラジカセがとても大切な存在だったのだと改めて知った。イヤホンで音声配信を聴くのもいい。でも、CDをサッと挿入して聴くひとときも捨てがたい。なにを聴くとは決めずにラジオを流しておくのだって、いいものだ。
今回はCDを縦に入れるタイプではないものを検討している。奥行きは今使っているものの2倍以上になるが、仕方がない。わたしにはCDラジカセが必要なのだ。
「ええー、今どきCDぃー?」と言われるだろうとは覚悟している。そんな、現代に足を踏ん張るレトロさもまた愛おしい。なんとなくとぼけたようなスピーカーの表情も好きだ。
わたしにとってCDラジカセは、キッチンで過ごす時間を快適にしてくれる相棒みたいなもの。納得できるものを選びたいなあ、と今日も各社の製品スペックとにらめっこしている。
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