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小さい川さんから世界は開く

双子の娘たち(5歳)が夢中になっている本、それは『長くつ下のピッピ』『ルドルフとイッパイアッテナ』

しばらく前に「もう絵本読んでくれなくていいからね!」と言われたものの、寝る前には少しくらい読み聞かせる。

次女は『長くつ下のピッピ』の主人公・ピッピのおてんばぶりに一目惚れ(一耳惚れ?)で、私がひとつの章を読み終えるまで決して眠りに落ちない。

どちらも小学生向けの本なので、文章のなかにちょこちょこ漢字が現れる。とくに『長くつ下のピッピ』には、ふりがなが少ない。それでも、なんでもひとりでやってみたいお年頃なのか、娘たちが自力で音読しようとしているのを見かける。

ある夕方。

長女がキッチンカウンター前に椅子を引きずってきて座り、大きな声で『ルドルフとイッパイアッテナ』を読んでいた。故郷をとび出してしまった黒猫ルドルフの冒険ストーリーだ。

長女は、困惑した様子で読み上げた。

「小さい……、川さん……?」

私はぴんときた。あれだな。

お話のなかに「小川さんの家で飼われている、デビルという名のブルドッグ」が登場するのだ。

私「長女ちゃん、それはね……『オガワさん』って読むのよ」

長女「……!!」

へ? なんだって? オガワさん?! 「チイサイカワさん」じゃないの? 「小」はチイサイ、「川」はカワ、ってママはこのあいだ言うたやん! そう彼女の顔に書いてある。信じていた人に裏切られた者の、落胆と悲しみが入りまじった表情。

私「そう、オガワさん。漢字の読み方はひとつじゃないねん

料理をしながらにやにやする私に、長女はぷいと顔を背けて見せ、また音読を始めた。私が大学時代から仲良くしている、台湾人の友人が「日本語むずかしすぎるぅー!」と怒っていたときのことを思い出した。うん、難しいよねぇ。

ふふふ、世のなかには、まだまだ娘たちの知らないことがいっぱいある。あまたの場面から、漢字はもちろん、たくさんのことを学びとってほしい。『ルドルフとイッパイアッテナ』から先、あなたたちの前に広がる世界はきっととんでもなくでっかい。

小さい川さんはオガワさんで、大きい川さんは「オオカワさん」。こちらはカワに濁点がつかない。それを知ったとき、彼女たちはまた驚くだろう。びっくり顔を見るのも楽しみだ。

ひとまず漢字の海へこぎだそうとしている娘たちに、エールを送りたい。

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「絵本読んでくれなくていいよ」と言われた日の話です。

いよいよ読み聞かせタイムも残り少なくなってきた感があります。味わいつくせ、読んであげる楽しみ!

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