ずっとそうだったけど、今は。
実家の母が突然やってきた金曜日の午後。その手は、薄茶色に変色しかかった紙束を握っている。
「ちょっと! ちなみちゃんの昔の模試の結果がどっさり出てきたのよ! これどうする?」
ちょっと! と言いたいのはこちらのほうである。20年以上前の模擬試験など、今さらどうでもいいことこのうえない。なぜそれがまだ実家にあるのだ。結婚するときにたいていのものは捨てたはずなのに。
King Gnuの『白日』じゃないけれど、過去は首の皮一枚で繋がったまま、ずっとついてくるものらしい。
わたしは昔から好きな教科と嫌いな教科がはっきりしていて、後者を攻略するのがどうしてもできない人間だった。
中高時代に嫌いだったのは世界史だ。暗記が中心の教科だと思い込んでしまっていたため、苦手意識が強かった。今、世界史に関する本が大好きなのが信じられないくらい、教科書じたいも毛嫌いしていた。
記述式模試でこの結果だった。「国語X」「数学X」のXとはなにを指すのか不明だけれど、とにかくすごい成績の差である。国語が全国偏差値79を取れているのに対し、世界史は58。
本を読むのが好きで、古文も漢文も得意だったから、国語の成績はよかった。でも世界史はめっぽう苦手。
高校時代はだいたいずーっとこうで、大学受験まで世界史はわたしの足を引っ張り続けた。
器用に、まんべんなくやれる子ではなかったなあ、とちょっと情けなく思い返す。そもそも、マルチにいい成績をおさめる人物でい続けられたなら、今のわたしという人間はおそらく形成されていない。
昔から、不器用でアンバランスだったのだ。それでも自分なりに頑張ってはきて、今は苦手なものにもそこそこチャレンジできる。
世界史から逃げ回っていたあの頃と、世界史的な立ち位置のあれこれ(確定申告とか!)と四つに組む現在と。
いつまでも成長しないように見えながらも、わたしはちょっとずつ前進しているのかもしれない、と思うことがある。アラフォー、がんばる。
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