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視力の悪い女の子

君と、映画を観に行った。

映画泥棒が過ぎたあたりで、君はサッと、メガネをかけた。

驚いて、小声で、

「目、悪いの?」

と聞いたら、

「遠くを見るときだけ・・・」

と、恥ずかしそうに答えた。


君の視力は相当悪い。

裸眼だと、誰が誰か、分からないらしい。

だから君は、じっと人の顔を覗く。


冗談で、君の前にピースサインを出して、

「何本?」

と聞いたら、人差し指に噛みついて、

「1本」

と答えた。


君は近視の上に、乱視も混ざっている。

君のお月様は6つある。

夜になると明かりという明かりが、一斉に輝いて、それはそれはきれいなのだとか。


君は、よそ行きのときだけ、コンタクトをつけている。

「外し忘れて寝ちゃって、目の後ろに行きそうになったことがあるんだよ」

なんて、笑いながら話す。


裸眼の君は、遠くのものを見るとき、ぎゅっと目を細める。

歪んだ顔に、ドキッとする。

「そんな顔しないで」と思う一方で、実は、すごくかわいいと思っている。


黒目がちな瞳が、クリクリ動いている。

ねえ、何も見えてないんでしょ。

その瞳は、きっと、僕を誘惑するためにあるんだね。







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