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オペラ・ガルニエへの憧れは続く

オペラ・ガルニエへの憧れは続く

L’Opéra Garnier

オペラ・ガルニエに入ってみたくて何度この場所を訪れたんだろう。
滞在から2日の間で少なくとも3回は様子を見に来たと思う。
ヨーロッパを旅しているとよくあることだけど、観光ブックやホームページに記載された時間に訪れても入れないことがある。
そのもどかしく切ない旅の挫折を人生で最初に味わったのがパリのオペラ座、「オペラ・ガルニエ」だった。

オペラ・ガルニエにはパ

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時々出会う優しい絵

時々出会う優しい絵

Palazzo Ducale

ヴェネツィアにあるドゥカーレ宮殿の中で。
「これはわかりやすいね」としまださんが言う。

聖書で起きたことを順番に、誰にも理解できるような絵柄で描いた教科書のようなキリスト教美術に出会うことがたまにある。
それは美術館であったり、教会であったり、宮殿であったり。
そんな時は異国の自分でも、この文化と美術を楽しんでいいよ、と許されたようで嬉しくなる。

ありきたりな

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レ・ドゥ・マゴからの眺め

レ・ドゥ・マゴからの眺め

Les Deux Magots

パリの通りを眺める憧れのテラス席に初めて通してくれたレ・ドゥ・マゴ。

どこに行っても必ず奥の方の席に通される切なさを重ねて、日本人で子供のような私には外の席でコーヒーを飲むなんて、叶えることの難しい夢のようなことだったんだと痛感していた。
そんな中、ゼザンヌもブラックも私の尊敬するピカソも通った、あの伝統ある喫茶店がまさかのテラス席に案内をしてくれている、

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今、思い出すサルーテ聖堂

今、思い出すサルーテ聖堂

Basilica di Santa Maria della Salute

後ろを振り向けばサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂がある。
少し階段を上った入口から運河を見渡せる、ヴェネツィアらしいヴェネツィアの眺め。
とりとめもない、何気ない旅のワンシーンだった。

1300年代のヨーロッパで脅威を振るった疫病『ペスト』
それを鎮める願いや祈りを込めて建てられたサルーテ聖堂に、この時はそんな大

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いつかこの後悔に感謝するカ・ドーロ宮

いつかこの後悔に感謝するカ・ドーロ宮

Ca'd'Oro(Galleria Giorgio Franchetti)

落胆の心を忘れるほどの心揺さぶられる瞬間。

それは朝の9時半。
町を出る電車に乗り込む前に駆け込みで訪れたカ・ドーロ宮。
二階のアルコーヴの一角に飾られたマンテーニャの作品に会うための訪問だった。

たどり着くと受付のお姉さんが、一階と二階で開館の時間は違うと言う。
一階は9時からで二階は10時から。
電車の時間を考え

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