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金曜日の夜の出来事

ゴミを出しに行ったら、マンションの玄関付近で立ち往生している『お母さん』と男性二人がいました。
「入れないのかな?」と思って、「どうぞ」とドアを開けました。
一人の男性は、タッチパネルの暗唱入力を片っ端から試してはエラーになっていました。もう一人の男性は、少し離れたところから二人を見つめていました。

「緊急でしたら、どうぞ」とお伝えすると、『お母さん』は必死で、「◯号室の◯◯なんですが…」と話をスタートさせてしまいました。
私を管理人さんか何かと勘違いしてしまったようでした。
「申し訳ないのですが、私、その方存じ上げないので」、と言って、「緊急でしたら、お入りください」と中に入ってもらいました。

たぶん、その部屋番号の人のお母さんで、何か、只事ではないことがあったんだろうな、と思いました。
私はゴミを出した後、また別の用があったので自分の部屋に戻ってその作業をしていました。
30分くらい経って、「なんかやっぱり気になるな」と感じました。

もう夜の20:30を過ぎていました。
せめてマンションの大代表の番号だけでも(この時間じゃ繋がらないだろうけど)、お伝えしておけば良かったかもしれない、と思って、スマホを持って、上の階へ行ってみました。

でも、もう既に、お母さんも男の人二人も、引き上げてしまった後でした。
通路を端から奥の曲がり角まで見てみましたが、誰の姿もありませんでした。

翌日は土曜日で、臨時の管理人さん代理が午前中だけ来ます。
でもその人は、ただの代理です。
何かのヒントがもらえるわけではないだろうと予測できました。

うちのマンションは部屋ごとに管理会社もオーナーさんも違うこと、大代表の番号、月曜から金曜まで常駐の管理人さんがいることなどを、やはりお伝えしておけば良かったと思いました。

後悔先に立たず、です。

土曜日、日曜日、と不安で心配な日を過ごさなければならないであろうお母さんが、お気の毒に感じました。
子どもの一大事となると、あんなに冷静さを欠き、取り乱して、藁にもすがる勢いで訴え続けるんだ。母の愛とは、こんなにも強くて深いものなのか。
またひとつ、学ばせていただきました。


私は祈るしかできないけど、とりあえず、その部屋番号にお住まいの方に、何事もありませんように。
お母さんと無事に会えますように。
単なる入れ違いで、笑って解決しますように。



読んでくださって、ありがとうございました。
また明日。
おやすみなさい。

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