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映画製作プロダクションコギトワークスの公式noteです。 会社の活動報告をはじめ、『コギトの本棚』と題して脚本家いながき きよたかによる“創作の実験場”として立ち上げたWEB文芸誌や、社員の言葉などを載せていきます。 http://cogitoworks.com/

マガジン

  • 『箱男と、ベルリンへ行く。』

    脚本家いながききよたかによる、『箱男』ベルリン映画祭参加トラベルライティング。

  • コギトワークスのプロデューサーの部屋

    コギトワークスのプロデューサーたちが日々考えていることを、各々綴ります。

  • New Counter Films

    新映画レーベル【New Counter Films】に関しての記事をお届けします。

  • 映画『オールモストピープル | almost people』

    横浜聡⼦、⽯井岳⿓、加藤拓⼈、守屋⽂雄監督 4人の監督が紡ぐ『感情の欠けた4人きょうだい』の物語 The story is about four siblings who had a lack of emotions 2023.9/30 ユーロスペース ほかにて世界同時期公開 (東京 ロンドン ニューヨークトロント 他) 30th September, 2023 at EUROSPACE and world TOKYO, LONDON, NEW YORK, TORONTO, …and more

  • コギトの本棚・エッセイ

    ここでは主に随筆や独り言を取り上げてお届けします。

最近の記事

映画『若武者』 ワールドプレミア試写〈オフィシャルレポート〉

5月16日(木)、映画『若武者』ワールドプレミア試写を渋谷ユーロライブで開催しました!上映後のトークイベントには本作トリプル主演の坂東龍汰さん、髙橋里恩さん、清水尚弥さん、そして二ノ宮隆太郎監督にご登壇いただきました。 当日の盛り上がりを、レポート形式でお届けします! コギトワークス、U-NEXTによる新映画レーベル「New Counter Films」の第一弾として誕生した本作は、5月25日(土)から国内外のミニシアターで世界同時期公開され、同日に「U-NEXT」で国内

    • 『箱男と、ベルリンへ行く。』(十二)

      『2月17日、長い一日』(3) 長い一日を書くのも、これで三回目、早く長い一日を終えたいです。 現在、2月17日の午後4時過ぎ、再び戦闘服に着替えて、そろそろ宿を出発せねばならないところですが、私はまだ、サイレント・グリーンにあるカフェ「MARS」で茶をしばいています。(ちなみにここの店員さんは英語が通じました) 名残惜しいですが、席を立つ時間、再び朽ちた墓地を右手に、緑道を宿まで戻ります。行きはなんかこわいようなところだったのですが、不思議と帰りは、優雅な気持ち、墓地

      • 『箱男と、ベルリンへ行く。』(十一)

        『2月17日、長い一日』(2) そういえば、何回目かに、靴について書きました。 靴を何足持って行くか、という話題でもちきりだったというアレです。 しかし、旅に限らず、いつ何時も、靴は我々にとってとても重要なものです。人間の活動に拡張をもたらしたものは数々あります。火だとか、蒸気機関だとか、パソコンだとか。靴もそのうちの一つだと思ったりします。 で、その靴ですが、私は日頃、スニーカーしか履きません。ないしサンダルとか。別にそういう類いの靴類を履いていてかまわない属性だからで

        • 『箱男と、ベルリンへ行く。』(十)

          『2月17日、長い一日』(1) 気付けば10回を重ねました。こうなったらいつまでも続けていたいと思ったりしています。嘘です。 前回、我々は、結局上着を着ぬまま、Humboldthain駅から地下鉄に乗る、というところまでたどりついたかと思います。 2月のベルリンの駅までの通りを歩きながら、 すでに寒い・・・・・・。 しかし、吐いた唾は容易に飲み込めず、「寒くない」と自己欺瞞を押し通します。もちろん、口にも出しません。 駅前で、関さんは、日本から持ってきたミニチュア箱男

        映画『若武者』 ワールドプレミア試写〈オフィシャルレポート〉

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        • 『箱男と、ベルリンへ行く。』
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        記事

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(九)

          『2月17日、朝。おれ、もつか?』 「せっかくベルリンに行ったんだから、それについて書いておけ」というのは、関さんからの言葉です。 「ベルリンに行った」というのは、「映画「箱男」がベルリン国際映画祭でワールドプレミアを迎え、そこに同行した」という意味も含んでいます。 それで、そのことについて書き始めたはずですが、気付けば八回も回を重ねてしまいました。 数回かけてなんとかベルリンに上陸したものの、いまだ、本来の目的であるはずの「ワールドプレミア」にはたどり着けておりません。

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(九)

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(八)

          「ストライク・ジャーマニー」(2) 唐突に、ここで『箱男』の話をしたいと思います。 小説『箱男』には段ボールを被って街を徘徊する男が登場します。 箱を被ること、それがなにを意味するのか、すでに様々なところで語られている、「見る=見られる」という関係からの逸脱です。 この社会は、我々が完全なる客体であることを許しません。見ていると同時に見られている参加者たらねば社会の構成員として見なされません。わたし達はつねに、視線をさらし、視線にさらされています。それが社会に登録される宿

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(八)

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(七)

          『ストライク・ジャーマニー』(1) こうして、ベルリンにたどりつき、宿に収まったのが、夜の九時頃でしたか。 飛行機に乗ると、自分がいつ何を食べたのか、そして、今食べているのは結局何食なのか、いつも分からなくなります。それに、結局目的地に着くと、本当に腹が減っているのか、怪しいにもかかわらず、食事を摂ることになりがちです。 しかし、もう九時過ぎ、レストランが開いていたとしても、「え? 今から注文するの?」という白い眼を向けられるかもしれません。ヨーロッパの夜は、クラブなどを

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(七)

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(六)

          ・『ベルリン第一夜、なんかこわいようなところだがん』 我々を乗せたエールフランス航空機は、夕方シャルル・ド・ゴール空港を出発し、ものの一時間半でベルリン・ブランデンブルク空港に到着しました。ヨーロッパを一つの岬に見立てた哲学者がいたそうですが、確かにそれも頷けます。様々な根拠を持つ人々がひしめき合い、イギリス、アイルランド、アイスランドを除けば全ての国は地続きで、大小の国々が隣接し合い、国境という恣意的な線をまたげば、異なる言語が話されている土地、歴史的に見れば、血を血で

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(六)

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(五)

          ・『小説「箱男」、ないし、安部公房について』 ベルリン行のあれこれを時系列に沿って書いているわけですが、そもそもタイトルが「箱男と、ベルリンへ行く。」わけなので、箱男についても、触れておくべきかと思います。 というか、あらかじめ、触れておくべきだったけれど、置き去りのまま数回経ってしまったという物言いの方が正確かもしれません。 すでにあちこちで既出の通り、映画『箱男』は、石井岳龍監督が長年温められてきた企画です。「箱男」が映画になるというその噂が、まだ大学生として愛知

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(五)

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(四)

          ・『シャルル・ド・ゴール空港のエスプレッソ』 トランジットはシャルル・ド・ゴール空港です。まあまあ、予想していたより快適な第一空路を終え、パリに降り立ちました。およそ、二時間半、空港で過ごします。 トランジットという時間が私はわりと好きで、意外と印象的な旅の思い出として残ったりします。 何をするというわけでもなく、本当になんでもない時間がただぼやっと過ぎていきます。そうした時間が思い出として残るというところにどこか不思議さがあります。 たとえば、ディズニーランドに行った

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(四)

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(三)

          ・『14時間座りつづけることに耐えること』 私のフライトは、羽田からシャルル・ド・ゴール空港をへて、ブランデンブルク空港に到着するというものでした。ちなみに現在、東京からベルリンへの直行便はありません。 パリまでは14時間ほどの予定。本来ならば、もう少し時間を短縮できるはずですが、現在、西側諸国(というか親ロシア国以外)の航空会社は、ロシアの上空を飛べないことになっている関係上、おおきな迂回をしなければならないのが14時間も費やされる主な理由です。 ロシアはウクライナを攻

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(三)

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(二)

          ・『何をお召しになりますか?』 さっそく話はベルリンに飛びたいのですが、その前に、洋行には当然それなりの準備が必要です。それも賓客として映画祭に参加するとなれば、それ相当の。 こまごました私物の用意は、ある程度慣れたもので、滞在日数は都合三日半ほどですし、大騒ぎするほどのことではありません。むしろ屁の河童です。 ただし、今回はただの洋行ではなく、『権威ある』映画祭への参加でありますので、問題は、「何を着るか」でした。 難しいのは、私が、来賓には違いないが、主賓ではないと

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(二)

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(一)

          ・『シナリオライターと映画祭』 私がシナリオを書いた映画『箱男』が、ベルリン国際映画祭から招待を受けたのです。 ベルリナーレ・スペシャル部門でワールドプレミア、つまり世界で初めての上映が行われる手筈です。観客の前で、自分が書いた作品が、初めて公開される、しかもおおきな国際映画祭の舞台で……。なんとしても、参加したい。 しかし、脚本家が映画祭へ行くことはマレであります。 国内で言えばシナリオ賞にノミネートされたときのみでしょうか。海外に至っては、シナリオ賞がある映画祭だ

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(一)

          新映画レーベル【New Counter Films】設立&第一弾作品『若武者』記者会見の模様をお伝えします!

          このたび、新たな邦画レーベル「New Counter Films(ニューカウンターフィルムズ)」設立、そして同レーベル第一弾作品『若武者』公開が発表になりました。先日行われた記者会見の模様をお伝えします。 【New Counter Films設立記者発表&カンファレンス】 開催日:3月4日(月) パネリスト:関友彦(New Counter Films代表)、鈴木徳至(New Counter Films代表)司会:奥浜レイラ 関:まずはNew Counter Filmsという

          新映画レーベル【New Counter Films】設立&第一弾作品『若武者』記者会見の模様をお伝えします!

          石井岳龍監督 映画『箱男』ベルリン国際映画祭に正式招待

          2024年が始まりましたね!! 本年もどうぞよろしくお願いいたします。 今年は、甲辰。「甲辰」は「春の日差しが、あまねく成長を助く年」ということ。要は、急速な成長と変化を誘う年になるということのようです。 はい、これまで仕込んでいたものを、実らせて行こう!! と誓う、プロデューサーの関です。 さて、そんな幕開けの今年ですが、新年早々にとても嬉しいニュースをお届けさせていただきます。 長年、企画開発をしておりました、安部公房原作、石井岳龍監督 映画『箱男』がまもなく完成する

          石井岳龍監督 映画『箱男』ベルリン国際映画祭に正式招待

          海外のアートハウスシネマと直接交渉をしたことで実現できた対談

          気づけばもう11月、今年の秋は短かったですね。ボクは秋が一番好きな季節なのでとても残念です。 はい、コギトワークスプロデューサーの関です。 現在公開中の映画「almost people」ですが、ここでも繰り返しお伝えしたように、この映画は、セールスカンパニー等を介さずに、作り手自らが海外の劇場に直接配給を行っている、謂わば “Farm to Table” 産地直送型なビジネススキームを行うはじめての映画なのですが、 その試み、海外の劇場支配人さんたちと交渉を進めていく中で、

          海外のアートハウスシネマと直接交渉をしたことで実現できた対談