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【永久完全臓器物】TK from 凛として時雨「first death」の考察【チェンソーマン】


シークレット週替わりエンディング、「チェンソーマン」第8話は大好きなTK from 凛として時雨が担当。

鋭利で刺激的な音楽、チェーンソーのような狂気の悲鳴を上げるギター、作品の抽出力に加えてリリックセンスも抜群なTKが引っ張り出した言葉で紡ぐ「チェンソーマン」に捧げた「first death」について考察したい。

歌詞考察

カミソリ的 超支配的 不気味な不死身 無敵懲役

アキは悪魔との契約で皮膚を献上、姫野は右目を、デンジは自身の血をエネルギーに戦っており、カミソリはチェーンソーに比べれば殺傷力は低いもののリストカットに時折使われるため(よくないことだが)、「first death」においてカミソリは自傷行為を意味を含むのかもしれない。

以下ワードは、初回でマキマと対峙したデンジを表現していると思う。

・超支配的 =上司のマキマの存在
・不気味な不死身 =覚醒したデンジ
・無敵懲役 =マキマの支配下となり生涯デビルハンターにとなったデンジ

ちょうだい其方 恐怖のアバター 悪魔のバーター抱きしめたんだ

デンジを狙う悪魔たち。「バーター」は「取引」という意味があるので悪魔と契約して悪魔と戦うデビルハンターのこと

永久完全臓器物 脳天Saw見せちゃおうかな
完全無血のデイジーチェーン ノーベルShowは僕のもの

チェンソーマンに化したデンジのこと。

「デンジ」と「デイジー」をかけた言葉選びについて、気になることがある。

1.「デイジーチェーン」

  1. 電子機器において複数の機械を数珠繋ぎにする方法。デイジーの花輪に由来

  2. 登山やクライミングに繋ぐ紐のこと

①なら銃の悪魔の肉片を集めていたのでようやくパーツが揃ったという意味、②デイジーチェーンは極論命綱のようなものなので、デンジの胸に生えているポチタの尻尾と解釈するのがこの場合妥当

2.英語の「デイジー」


「一級品」
の意味も持つので、人であり悪魔である特異体質のデンジのことも指せる。

3.花の「デイジー」


花言葉は「純潔」「美人」「希望」など。

「美人」=マキマ、「希望」=デンジのマキマさんと性的関係を持ちたいと言う願望や、銃の悪魔を倒すなどの夢や目標を指せる。

4.読み聞かせ音源の「DAISY」

簡潔には「世界共通の録音図書」のことで、目が不自由な方に読書をしてもらうためのツールである。いわゆる本の読み聞かせを収録したポッドキャストのようなものである。

主にMP3などで圧縮しCDに50時間以上収録出来るためデータが事実上永久的に残せること、目次やページなども使えること、書籍に比べて嵩張らないなど、目が不自由な方に対して要求を全て満たした理想的なシステムである。

つまり、「永久」=「血を飲むことで再生し続ける不死身のデンジ」を、
「要求を満たしたもの」=「銃の悪魔に対抗できる人物(デンジ)がついに現れた」という意味も含まれるのではないだろうか。

とろける様なキスをして first deathは君に捧ぐから

「最初の相手はマキマさん」と決めたデンジの心情。この時点での「first death」は「童貞を失う」という意味だろうか。

僕の心が夢を欲しがっている 血と涙が僕を捜し出した

僕の心=ポチタ。覚醒したデンジも自分で自分のことを分かっていない様子。

エブリ バディそこで何してる? DEVILにすべて吸い込まれちゃう
デビル バディそこで何してる? EVILにすべて染まったんだ
永遠前にそこで何してる? 死ぬまで君を愛してる

サムライソードと対峙したシーン。

「DEVIL」も「EVIL」も似た意味を持つが、「DEVIL」は悪魔、「EVIL」は不吉や災禍などを意味する。

アキを救うため幽霊の悪魔に「全てをあげる」と言った姫野、そして容赦無く蛇の悪魔に丸呑みされてしまった幽霊の悪魔と姫野の命。

単純明快愛楽死 マグマ 夢 愛 ラヴ 死

「愛楽死」は「安楽死」を文字った造語だと思う。つまり、「愛楽死」=「姫野が愛するアキのために死を望んだ」と言う意味ではないだろうか。

この死は同時にアキのためであり、アキに恋した自分のためと正当化しているようにも思える。

完全無血のデイジーチェーン ノーベルShowは僕のもの
最期の夢を抱きしめて last deathは君に捧ぐから

サビでは似た歌詞が2、3回繰り返されるのだが、終盤にかけてグラデーション式にデンジ→姫野に視点に変わっているのだ。

最期に「自分が死んだらアキに泣いて欲しい」という夢を抱きしめて、last death(本当の死)を君(アキ)に捧げたという姫野。

自分で決める最初と最後は、全て最初で最後なのかもしれない。

デンジと姫野の共通点

主にデンジと姫野に焦点を当てられた今楽曲。

ストーリーに沿った歌詞というのもあるが、デンジと姫野の親和性はかなり高いように思う。

視点の切り替えがデンジになったり、姫野になったり、異常なほどなだらなのは「銃の悪魔を倒してマキマに認められたい」「アキを手に入れたい」と根幹に「特定の誰かに認められたい」という欲求が2人の心に同じくらい大きく存在しているのだと思う。

デンジと姫野は正反対にありながら互いを引き立たせることが出来る補色のような関係なのだろう。

地獄の幕開け


歌詞だけでなくチェンソーで切り裂くようなギターの音、自称ノーベル賞を賞賛と揶揄を同時にするかのようなクラップ音、彼の音楽のどこをとっても完全無血(欠)である。

「チェンソーマン」は早くも終盤、地獄の開幕を彩ったTKにノーベル賞を。


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