クリームイエローの海と春キャベツのある家(1/4章)/小説 #創作大賞2023
プロローグ. ほんの些細なことで、
見えてた世界の色がガラリと変わってしまうことってある。
たとえば、今朝のはなし。
永井 津麦が降り立ったのは、陰気な駅だった。蛍光灯の灯りが3つに2つくらい消えていて薄暗い。ホームから改札へあがるのに、エスカレーターはない。みな下を向いて兵隊みたいに一定の速度で階段を上がって、改札を出て行く。津麦も、その列に無心で加わった。
線路沿いの道は、でこぼこしていた。雑な鋪装が細切れにされていて、歩きづらい。少し前を行くゴミ収集車の車体