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雑記(AIイラストと生の増大)

 生成AIは多くのことを可能にしたが、その中でもとくにわかりやすい影響を与えているのはAIイラストと呼ばれる分野だ。これを使えばこれまでまったく絵を描いたことがない人でも、それっぽい絵を、場合によっては画家でも簡単には描けないような絵を作ることができる。

 もちろん、それなりに良いイラストを出力するにはそれなりの試行錯誤が必要だろう。しかしだとしても、普通に絵を練習するよりははるかに簡単に絵を作ることができる。

 このことが何を意味するかといえば、オルテガの言葉を使うと「生の増大」というふうに言い表せるだろう。つまり、これまでは(程度の差こそあれ)絵を描くという技能に習熟している人しか作り出せなかった作品を、多くの人が作り出せるようになったのだ。

 それはつまり、一部の人にしかできなかったことが、より多くの人に可能になったということを示す。可能なことが増える―—つまり生が増加したのだ。

 もちろん、この手の「生の増大」は技術の進展とともに日夜起こっているのだが、AIイラストの件はとくの顕著な例に思える。ではこのことは何をもたらすのかというと――正直よくわからないけど、時代を色濃く反映した現象ではあると思う。

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