codomodoc_小児科医

小児科医です。神経疾患、神経発達症(発達障害)の診療をしています。発達性トラウマ症を勉…

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小児科医です。神経疾患、神経発達症(発達障害)の診療をしています。発達性トラウマ症を勉強中。 細かいことが苦手なので、つぶやくことは大まかです。よろしくお願いします。

最近の記事

映画“水深ゼロメートルから”と小児科医

女子高生がプール掃除をする映画。2019年に開催された第44回四国地区高等学校演劇研究大会で文部科学大臣賞(最優秀賞)を受賞した徳島市立高等学校の同名舞台劇を映画化した青春群像劇とのこと。 大好きな山下敦弘監督作品ということで楽しみにしていたのですが…。う〜ん…。良くも悪くも高校演劇の影がちらついてしまい、乗り切れなかった(高校演劇見たことないけど…)。彼女たちがいるだけで発散される瑞々しさは良かったが、中盤以降色濃くなっていく尾崎豊みのある説教臭い弁論調の台詞がきつかった

    • 映画“不死身ラヴァーズ”と小児科医

      やばい。僕はどうしてしまったのだろう。恋愛ものは苦手のはずなのに…。 好きな相手と両想いになった途端に相手がこの世から消えてしまうというファンタジーな設定の“長谷部りの”。人をを好きな気持ちは人一倍強いのに好きになれない彼女が唯一好きになれる相手は、りのと同じようにりののことを好きなのに好きになってはいけない“甲野じゅん”だった(彼がどんな人物なのかは秘密)。なるほどな設定。お互いのことを好きなのに、二人とも両想いになることを懸命にこらえようとするシーンには身悶えして声をあ

      • コラム“Pediatrics Note”と小児科医

        こんにちは。小児科医のcodomodocです。神経疾患、神経発達症、心身症などの診療をしています。最近はマルトリートメント(不適切な養育)な環境から発達性トラウマ障害をきたした子ども達への医療的な関わりについて勉強をしています。 うちの病院の院内報に毎月書いているコラム“Pediatrics Note”です(800字前後)。診療をしていて感じる、とりとめもないことを書いています。 今回は2024年の6月号です。 無くし物や忘れ物が多くて気が散りやすく、些細なことでテンショ

        • 映画“青春18×2 君へと続く道”と小児科医

          大学生の頃、大好きだった子がアミ(清原果耶)みたいに明るくて、誰にでもオープンに接する子だった。彼女への気持ちを伝えられないまま時は流れ、ある日彼女は理由も告げずに実家に帰ってしまった(告げる義理も無かったのだが)。 前半はあの頃の自分を思い出しながら、ジミー(シュー・グァンハン)の気を持たせるアミのことが少し憎らしく、ジミーに同情しながら観てました。しかし、、、後半の展開はここには書けませんが、たまにはこんな悲恋ものもいいんじゃないでしょうか。そら、泣くわ。 感想があま

        映画“水深ゼロメートルから”と小児科医

          映画“返校”と小児科医

          言葉を失い、自由を失い、重いトラウマを負った人間は生と死の狭間を彷徨い続ける。繰り返される悲劇によって永遠に苦しみ、救われることのない魂がほんのわずかでも救われるにはどうすればいいのか?苦しみの中で他者への優しさや施しの気持ちを表した時、彼らが一瞬だけ救われた表情をしたように見え、僕は少し救われました。それが彼らの救いになるのかはわかりませんが…。そんなことを感じた作品でした。 設定が曖昧で、夢なのか現実なのかもよくわからないまま鑑賞を続け、途中から設定のことはどうでもいい

          映画“返校”と小児科医

          怒りが抑えられないAさんと小児科医

          無くしものや忘れものが多かったり、気が散りやすかったり、些細なことでテンションが上がりやすかったり、そんな我が子に厳しく当たってしまうAさん。叱ってもダメ、約束してもダメ、罰を与えてもご褒美を与えてもダメ。何をやってもうまくいかずに最後は怒りを抑えられず感情を爆発してしまい、子は固まって何も言えなくなる。 診療をしているとこんな話をよく聞きます。さらによく話を聴こうと子どものことではなくAさんが子どもだった頃の話を聴いていくと、Aさん自身が同じように無くしものや忘れものが多

          怒りが抑えられないAさんと小児科医

          映画“牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件”と小児科医

          1960年台の台湾。当時の少年たち(これが驚くほどのギャング)の危うくて衝動的で時に突き抜けてしまう行動や大人たちの脆弱さとそれを隠すかのような抑圧的な態度に、終始不安定な感情を抱き続けた3時間57分でした。 長い、長すぎる・・。 ラストの15分くらいからドラマがぐっと濃くなって面白かったのですが、それまでは少年同士の抗争や感情のこもってないような恋愛模様が続き、「あ〜はよ終わらんかなぁ」と思ってしまいました。顔の区別がつきづらいし、名前が読めない漢字で覚えられないし、そ

          映画“牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件”と小児科医

          映画“アンテベラム”と小児科医

          GWに重めのスリラーを。何を言ってもネタばらしになるような映画なので詳細は省きますが、どんでん返し的な設定のおかげで、過去に行われていた行為のおぞましさ、冷酷さ、非人道性、、あらゆるネガティブな形容詞をあてても現せない現実が伝わってきました。 同じ題材を扱っていても舞台が過去の場合と現代の場合とでは感じ方が大きく異なることを感じることになりました。過去の出来事というだけで、どこか他人事な気持ちで見ていたんだと思います。反省。 どんな人間でも差別意識は少なからずあるわけで、

          映画“アンテベラム”と小児科医

          映画“フラワーズ・オブ・シャンハイ”と小児科医

          ごめん、眠い。 「黒衣の刺客」、「ナイルの娘」を観た時にも感じたんだけど、ストーリーにこれといった山場というのが無い…というかあるんだけど盛り上がるわけではなくて、他のパートと同じくらいのテンションで描かれるので、ずっと同じことの繰り返しみたいな錯覚を感じて、どうしても眠くなる。 それはそれですごいことなのか? 「黒衣の刺客」は画面の美しさ、「ナイルの娘」は当時の市井の様子が新鮮で目を覚ませたけど、本作はずっと遊郭の中で酒飲みやアヘン吸いが食べたり飲んだり吸ったりしなが

          映画“フラワーズ・オブ・シャンハイ”と小児科医

          映画“十二人の怒れる男”と小児科医

          すごく面白かった‼️ 十二人の陪審員たちの会話劇。人数が多くて誰が誰やら分からなくなるのでは?と心配しましたが、全くの杞憂でした。すごく分かりやすくてびっくり。 推理を巡らせて真実を暴くのではなく、裁判への疑問が僅かでもあるなら徹底的に話し合わねば、というスタンスに激しく共感しました。素晴らしい。成熟した大人の議論ってこれですよね。 今の時代、何でも白黒つけたがる風潮があり生きづらさを感じることもありますが、グレーな部分を充分に吟味する彼らの姿勢、見習いたいものです。

          映画“十二人の怒れる男”と小児科医

          映画“ナイルの娘”と小児科医

          彼らなりの背景はあるが、社会的には何者でもない若者が何事を成すこともなく、サクっと現れてサクっと消えていく刹那的な物語。盛り上がるイベントがイベント然として描かれることも、物語の大きな流れに抗おうとする人物が描かれることもない。小さくて不幸な話。ドライといえばドライだけど、台湾が舞台のせいか湿気をたっぷり含んだドライって感じかな。ちょくちょく挟まる歌謡曲と見た目の昭和感に古臭さを感じるけど、それはご愛嬌。 台湾と日本が人も環境もすごく似ていてびっくりしました。昭和の日本映画

          映画“ナイルの娘”と小児科医

          映画“黒衣の刺客”と小児科医

          美しい。。。のですが、状況を説明する台詞やナレーションが無く、会話らしい会話もないので,淡々…というか,粛々…というか、静かに物語は進んでいきます。誰が誰やら、何が何やらよく分からず、劇伴も無く環境音だけなので、スーッと眠りに落ちていく。zzzz…。快感……😴。 気持ちいい〜。時々寝落ちしながらの1時間47分。眠れない夜に観てほしいです(めちゃくちゃ褒めてますよ)。観てよかったです。繰り返し観たい作品です。 蛇足ですが、タルコフスキー監督の“ノスタルジア”を観た時も同じよ

          映画“黒衣の刺客”と小児科医

          映画“フェーンチャン 僕の恋人”と小児科医

          アジア映画巡り。今回はタイ。 〜〜 こんなん好きに決まっとるやんか、10歳男子の初恋の話て。幼なじみの女の子と仲良く遊んでいた少年が思春期の始まりとともに男子の中間に入りたくなり、幼なじみに冷たく当たってしまい…という物語。失って気づく“初恋”ってさぁ、自分は精神年齢が小学3年生なので(見た目は大人,頭脳は子ども)、あの頃好きだったあきこちゃん、まゆみちゃん、けいこちゃんのことを思い出したりして終始甘酸っぱかった。唾液腺が痛い。 あと、この映画のもう一つの売りはなんといって

          映画“フェーンチャン 僕の恋人”と小児科医

          中学3年生と小児科医

          数年ぶりに登校したAさん。 『気づいたら中3でした』 『浦島太郎みたいだね』 と笑い合い、心と身体の成長を讃えた。 今できていることを続けることを約束する。頑張ったね。 中3は受験があるし、“人生が決まる”みたいに言われるし、自分でもそう感じることがあるかもしれんけど、そんなことないけんね。 決まってたまるかぁって思っとってね、人生は長いんよ。

          中学3年生と小児科医

          登るしかないサガン鳥栖と小児科医

          登るしかないじゃん。 4・14G大阪戦。思えばこの試合がサガン鳥栖の大逆転劇“令和の歓喜”のターニングポイントになるとは、この時はまだ誰も知る由もなかったのである。ってなるよ、絶対!応援しよう!!楽しみしかないよ。ありがとう。

          登るしかないサガン鳥栖と小児科医

          映画“イロイロ ぬくもりの記憶”と小児科医

          よかったです。家族3人とメイド1人、合わせて4人の小さな話ですが、心情や行動を丁寧にしっかりした画作りのもとで映し出すことで、見応えのあるドラマになっています。 にんげんは誰もが弱くて、人には言えない隠し事を抱えていて、頑張ってもうまくいかないことがたくさんあるし・・とか、うまくいってるように見えても、心の底には後悔がくすぶってたり、油断すると先々への不安が湧いてきたり、と安らぐことはないよなぁ・・とか、観終わった後にぼんやり考えました。 僕はこのくらいの規模感の少人数の

          映画“イロイロ ぬくもりの記憶”と小児科医