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何分早く行くのかという問題。

 時間より15分前には着いておくのが常識。

 社会に出てそんなことを言われたのはすでに20年以上も前の話なのだけど、当時も今もあまり納得していない。
 15分前に着いておくというのはこちらの好意であり、基本的には約束の時間ぴったりでいいのではないかと思うのだ。
 現在、ケアマネジャーの仕事をしているボクは、お客さんに当たる高齢者の方の自宅を月に1回訪問している。
 しかし時間より15分前に行ったことなどない。

 こうやって書くと誤解されそうだが、それは遅刻しているとかそういうことではない。
 自宅近くには少し早めに着くようにしている。
 なぜかと言うと遅刻してはいけないからだ。

 しかし早すぎるのも良くないのだ。

 考えてほしい。
 自分の家に何かの業者が来ることになっていて15分前に来られて準備ができているだろうか。
 まあ、できている場合もあるだろう。
 しかしできていない場合だってあるのではないだろうか。
 そう考えると時間より前に行き過ぎるのも問題なのだ。
 だからボクは大体5分ぐらい前に行くようにしている。
 それなら遅刻することもないし、早すぎるということもないからだ。

 つまり自宅近くには大体15分ぐらい前についておいてから、少し時間調整をして5分ぐらい前にチャイムを鳴らすと言う寸法である。

 なんでこんな話をしたかというと、仕事をしていてどのくらい前に出勤なら許せるかと、ふと思ったからである。

 顧客との約束でない限り、出勤時間に関してはぴったりの時間に着けばいいのではないかと思う。
『いや、仕事には段取りがあるからね』
 こんなことを言う人もいるだろう。
 段取りってなんだ?
 それは仕事のための準備ではないか。
 
 介護の仕事でもその手の話はよく聞く。施設勤務のヘルパーさんが勤務時間のかなり前から職場に来て『準備』しているのである。

 ボクはそれに関して苦言を呈したい。
 勤務時間よりもかなり前に行って『準備』して……
 一体、その時間の賃金は払われているのだろうか。
 実際にはサービス残業になっていることが少なくない。
 こういう行為は自分の労働力を安売りしていることになる。

 時は金なり。

 有名な言葉だが、ボクらは貴重な時間を会社に売って給料をもらっているのだ。
 逆に、勤務時間の中でも融通を利かしてくれるような職場なら、少しぐらい早く言って『準備』をしてもそこはお互い様なんだからいいだろう。しかしそういう融通が利くような職場はここ日本においてはほとんどないと言って差し支えない。
 であるならば……『準備』と称して早く職場に行かなければならないその時間には給料が発生すべきなのである。

 介護の仕事は専門性が高い仕事であり、自分の技術をそんなに安売りすることなどない。

 いくら常識がどうこうと言われても、そんなもん知らん。
 てゆうか常識ってなんだ?

 間違った常識なら変えていくべきである。

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