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【猫噺#33】ご長寿猫と妖怪「猫又」

 ウチの長老猫である20歳のちびは、人間にしたら96~100歳くらい。
 さすがに寄る年波には勝てず、体調が良くなったり、悪くなったりの波を繰り返しています。
 少しでも長生きして欲しいものですが、長生きした猫は化けるとか。
 ご長寿猫のウンチクと、猫妖怪について一席。

イラストACより

一般的な猫の寿命ってどのくらい?

 一般社団法人ペットフード協会の令和3年の調査では、猫全体の平均寿命は15.66歳。犬全体の平均14.65歳より長生きだった。
(「令和3年(2021年)全国犬猫飼育実態調査 結果」一般社団法人ペットフード協会)

 損害保険会社が調査した、損保に加入した猫の平均寿命だと14.3歳とのこと。
 調査によってばらつきはあるが、だいたい14~15歳と言ったところ。

 猫は10歳を超えると「高齢期」となり、身体能力や感覚が衰えてくる。日頃のケアが大事だ。
 私もちびの脱水症状を見逃して、獣医さんのお世話になることになってしまった。

 猫は生まれて1年で、人間の二十歳に相当する年齢になる。成人年齢が引き下げられた今では、成人以上。
 それ以降、1年毎に4歳加わっていく計算になるという。
 いつまでも子猫だと思っていたわが家の猫たちも、いつの間にか壮年になっていたわけだ。
 
 最近では、20歳越えも珍しくないらしい。ちびも長生きして、ギネス記録を狙ってほしいものだ。

長生きする血統(ブリード)

 アニコムなどの損保やネットの猫サイトをみると、長生きする血統(ブリード)としては、以下のような結果だった。

1.和猫・ミックス(雑種)猫
2.ペルシャ(チンチラ)など。
3.ソマリやアメリカン・カール、スコティッシュ・フォールドなど。
4.ラグドールやノルウェージャンなど、メインクーンなど体格の大きな猫

 もちろん調査方法によって、結果は変わってくる。
 ミックス(雑種)のように、遺伝的な偏りがない血統は特定の疾患に掛かりやすい、ということがない。また和猫は、日本の気候風土に順応しているため、寿命が長いとみられる。

 しかし交通事故などの死因を含めると、外猫であるミックス(雑種)の寿命は短くなる。
 保険会社などの調査は、完全室内飼いが多い契約者を対象としているので、病死などが主因の猫寿命を顕している。

 純粋に死亡を考えた場合では、ミックス(雑種)の寿命はきわめて短い。 
 外猫の場合、1年に29万匹が交通事故で亡くなっているからだ。また殺処分数は、1年で2万7千匹。
 猫の死亡原因としてもっとも多いのは、「ニンゲン」だ。

 海外の調査結果では、サイアミーズ、マンチカン、バリニーズ、ラグドール、バーミーズなどがご長寿猫とされている。

ウチのちび(20歳はまだ若い)

世界のご長寿猫たち

第3位  グランパ・レックス・アレン(1964ー1998)    
年齢:34歳と2ヶ月
血統:スフィンクスとデボンレックスの混血
国: アメリカ、テキサス州オースチン

 2010年に長寿猫として有名な”クリーム・パフ”に抜かれるまで、ギネスのトップに君臨していた。
 1998年にグランパが34歳で最高齢猫に認定されたとき、大統領クリントンはそのお祝いに出席できなくて残念、とメッセージを送った。

第2位 クリーム・パフ(1967ー2005)
年齢:38歳と3日
血統:雑種(黒髪のハチワレ)
国: アメリカ、テキサス州オースチン

 ギネス・レコード保持猫として、もっとも有名なハチワレばーちゃん。飼い主のジェイク・ペリーは、第3位のグランパの飼い主でもある。
 飼い主は、1980年代から多くの猫の里親になり、その3分の一が30歳まで生きていた、とか。

第1位(暫定) ルーシー(1972ー2011)
年齢:39歳
血統:タビー(キジトラ風の雑種)
国: 英国、サウス・ウェールズのラネリ

 ルーシーの場合、目撃証言や記憶などから1972年に子猫だったと言われている。ので、2位のクリーム・パフが実質1位とされることも多い。
 だがルーシーを診断した医師は、人間なら172歳に相当すると認めたようだ。

 30年以上も生きるなんて、本当に化け猫!

猫娘も「猫又」の一種?

ご長寿猫はなぜ化ける?

 長い年月を生き抜いたキツネや猫は、尻尾がいくつかに別れて妖怪化する、と言われる。
 尻尾がふたつに割れた猫の妖怪、「猫又(猫股とも)」には、深い山に潜む獣としての猫又と、飼い猫が化ける猫又の2種類がある、とされる。

 江戸中期の碩学である新井白石も、「老いたネコは『猫股』となって人を惑わす」と述べていた。
 また江戸時代の「ムー」に相当する瓦版には、猫の怪異が報じられて人々は事実として受け入れていた。

 日本にお団子尻尾の猫が多いのは、尻尾が裂けて猫又になることがない、と信じられていたから。
 老いた猫が、猫又になる合理的な理由としては、老猫の背中の皮が剥けたのを見間違えた、という説もあるようだ。

 猫が化ける、という言い伝えができた理由としては、

  • 暗いところで瞳孔が広がったり、光を反射する目が不気味だから。
    ちなみに、猫はメガネザル、アン・ハサウェイに次いで顔の中での目の比率が大きい生き物である。

  • 肉食動物で腐臭を嗅ぎ分ける能力を持ち、死者の体に近づく習性があったため気味悪がられた。また出し入れできる鋭い爪があって、人を傷つけたのも一因。

  • 一点を凝視したり、背中を曲げて毛を逆立てて威嚇するなど、豹変する態度も化け猫の要素。

などが考えられる。
 猫又も化け猫の一種とみる向きもある。

 うちの高齢猫ちびは、体調が良いときは台所に降りてきてうずくまっています。暖かい猫部屋があっても、人恋しいのかもしれません。
 群を嫌う単独行動者でありながら、こうした矛盾した行動をとるのも猫の魅力です。

 猫の寿命は、環境や個体差によって左右されます。
 テレビの番組で、90歳のおばあちゃんが「九十まで生きたんやから充分やろ、と言われるけど、アタシは自分で充分なんて思うたことない!」と言ってました。 ・・・ですよね!
 ちびも平均寿命を超えて、1日でも多く生きて欲しいと思います。

#平均寿命 #長寿猫 #猫又

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