見出し画像

【ミステリ小説】セイレーンの謳う夏(5)

(本作の短編バージョン「夏の終わりのマーメイド」は完結していますので、ラストを知りたい方はぜひ! 
 本編は、3つに別れた「ぼく」の視点から物語が進むパラレル・ストーリー。
 やがてひとつの結末に収束します。)


(あらすじ)民宿兼ダイビングショップ『はまゆり』でバイトする(顔のない)ぼくは、お客さんが不思議な生き物と遭遇したことを知る。
 『はまゆり』美人姉妹の妹、夢愛(ゆめ)さんは鋭い推理力も持ち主。ぼくはそんな夢愛さんが、駅前で男と言い争うのを目撃する。
 
八月の最終金曜日午前――
翌日の金曜日は、龍ヶ崎で行われるダイバーズ・フェスティバル準備のためぼくらは、「遊泳監視」、「水中ゴミ拾い」、「駐車場の整理」のどれかを担当することになる。

 物語は、3つに別れたぼくの視点で語られる。

1/3 「遊泳監視」を担当したぼくは、龍ヶ﨑突堤に駐まっている不審な車を調べに向かう。
 その途中、民宿の宿泊客から預かった携帯プレーヤから助けを呼ぶ声を聞く。

「もーやん!」
 ぼくは駐車場の入り口で、パラソルの下のパイプ椅子に掛けた、『カモメ荘』のひょろ長いバイト君に声を掛けた。
 迷彩柄のバミューダパンツから細長い脚が伸びている。  

 ぼくと同じS大の一回生だが文学部、浪人留年数年のつわものでもちろん歳上。
 将来の夢は吟遊詩人という変り種だ。通称もーやんの由来は聞いたことがないが、皆そう呼んでいる。

『カモメ荘』からは、彼が駐車場の誘導係りに回されたらしい。

 問題の崎には、黄色と黒のトラロープを張って入れないようにしてあった。
 幅の狭い道路は海側が防波堤の役を果たすよう人の胸の高さになっており、湾内側は緩やかに海に向かって傾いていて魚網が干してある。

 突堤は車がやっと通れるくらいの径幅で、二十メートルほど先で先端に達する。
 一度入り込むと、Uターンでは出られない。湾側にはテトラポットがあって、波が音をたてていた。

「あの車、朝から入り込んでたようやな」

 もーやんは、夢愛さんが嫌っている関西ネイティブである。

 彼も侵入車のことは気づいていたようだが、積極的に関わりたくない、とも思っていたとのこと。
 以前に別の駐車場係りになったとき、迷い込んだような車に注意したところ、中ではカップルがアレの真っ最中だったそうだ。
 男のほうが怒り出して、もーやんはパンツ一丁で股間を屹立させた男に追い掛け回されたらしい。あまり想像したくない光景だ。

 彼に応援を頼むと、
「二人がかりやったら、心強いな」と引き受けてくれた。

 甘いぞ、もーやん。残念ながらぼくは戦力にならない。
 0+0=0だし、0×0も0である。

 ゼロゼロコンビで突堤を歩いていくと、魚網には干からびた魚がかかっており、ハエがぶんぶん舞っていて嫌な臭いがした。
 臭いにつられてか、猫が二、三匹。にゃんにゃんにゃん。もーやんは変な声で猫をあやしながらついて来る。

 外海側には小型のレジャーボートが数艇浮かんでいる。
 マリンジェットに乗った女の子の歓声が聞こえ、セレブなどという差別用語が浮かぶ。こちらからは対岸になる龍ケ崎海水浴場が見え、我が『はまゆり』の玄関も識別できた。

 問題の車は、先端に駐車してある。
 やばそうな人が乗っていたらすぐにも逃げる体勢で近寄ると、見覚えのある青梅ナンバーの赤いツーシーターだった。
 先週、夢愛さんと駅のロータリーで言い争いを演じていた男が乗っていた車だ。

 この暑いのに窓が閉まっている。

 おっかなびっくり運転席を覗くと、濃紺のシャツに短パンの男が、前のめりに顔を伏せるように倒れていた。
 シートベルトはしていない。うつむいている上サングラスでよく見えないが、右肩のタトゥーのデザインには見覚えがあった。

「にゃん?」
もーやんもぼくの背後から覗き込む。

 寝ているのとは違う。
「おい、あんた!」
 ぼくは窓ガラスをどんどんと叩いて呼びかけたが、一向に反応がない。ドアはロックされている。左の助手席側をもーやんが開けようとするが、「あかん。こっちもロックされとる」

 ぼくのスマホはバッテリが切れていたし、もーやんのガラケーは契約が切れていた。通話料を滞納したらしい。

「ボク、事務所に報らせてくるわ」
 もーやんが、今来た道をあわてて引き返す。

 なにかドアをアンロックするのに使えるものがないか、と辺りを探すが、こんなときに限ってなにも落ちていない。
 助手席側に回ると、車の下で陽光にきらっ、と光るものが見えた。
 
 銀色のイルカのアクセサリーで、デザインに見覚えがある。シルバーのイルカと、蒼いアクリルビーズが交互に並んだブレスレット。
 ぼくはそれを拾い上げると、なぜかわからないが慌ててウエストバッグに押しこんだ。

 車のボディは触ると熱く焼けている。もーやんが呼びに走った応援は、もう少し時間が掛かるようだ。
 どうしようか。
 外がこれなら車内はかなりの温度になっているはずで、熱中症による脱水が心配だった。

 突堤は二十メートルくらいの直線で、先端は海に突き出している。
 進行方向の右が外海で、防波堤の外にはテトラポットが設置されている。突堤の先の方では釣り人が何人か釣り糸を垂れていた。

 ぼくは先端にいた釣り人に声を掛けて、何か役に立つ物を持ってないか尋ねて回った。なかの一人が、
「針金のハンガーでもあれば、窓との隙間に突っ込んで開けられるよ」
 と教えてくれた。
 小型のフィッシングボックスを傍らに置き、ロッドを一本もってサビキと呼ばれる仕掛けの餌袋が転がしてある。

 ハンガーを持ってますか? と尋ねると、
「持ってるわけないだろう。釣りに来てるのに」
 にべもない答えが返ってきた。
 この役立たず! と思わず罵りそうになる。
 
 なんの収穫も得られず、ぼくは車のところに引き返した。
 中の男は相変わらず俯せた姿勢のままだ。救援が遅れるようなら、窓ガラスを破らなければならないかもしれない。

 今度は湾側の海際に沿って針金のようなものがないか、探しながら突堤を引き返す。
 満潮で潮位が高く、波の飛沫が高く上がっている。結局、突堤の根っこにある駐車場辺りまで引き返しても、役に立ちそうなものは見つからなかった。
 ぼくはトランシーバを置いてきたことを悔やんだ。

2/3 「水中ゴミ拾い」を担当したぼくは、自分の病気である「相貌失認」について思いを馳せる。
 潜りながらゴミ拾いするぼくの耳に、携帯プレーヤから助けを求める声が聞こえた。
 ぼくの目の中に、人魚の姿が飛び込んできた。



  水中でふわっと広がったネットの中は、半分くらいがペットボトルやビニール袋などのゴミで埋まっていた。
 申し訳は立つくらいの量だ。
 いっしょにエントリーした連中とははぐれてしまったので、他のメンバーがどれくらいの収穫があったのかわからない。残圧を確認すると、五十(bar)に迫っている。潜水を切り上げるべき値だった。

 ゆっくりと岸方向に移動し、浅瀬に沿って泳ぐと、耳がカポンと音がして水圧が減少したことがわかる。
 気がつくと、背が立つくらいの岸辺にいた。

 エキジットした場所から見ると、『はまゆり』の看板が左手に見えた。予定したよりも西に流されたらしい。
 体が水から出たとたん、重力がのしかかってくる。
 海中では浮力で機材の重さがささえられていたのだが、大気中ではすべての重みを自分が引き受けねばならない。

 浅瀬に座り込み、フィンのストラップを外すと、進化の初期に陸上に初めて上がった両生類のようによたよたと歩く。
 目の前に西の突堤があり、一段下がった幅五十センチほどの狭い足場が干潮で顔を出している。

 誰もいないと思っていたその場所に、人がいたので驚いた。

 白のシャツにサングラスの男。今にも海へ身を投げそうに、思い詰めた雰囲気に覚えがあった。
 痩せた体つきに神経質そうにそわそわとした動き。なにより、露出した右肩に描かれた紺色のタトゥーに見覚えがあった。
 一週間ほど前に、夢愛さんと言い争っていたあの男だ。

 相手はこちらを見ると慌てて突堤に上がる階段を上り、その場を立ち去る。
 呆気にとられていると、彼がいたところで何かが光るのが見えた。白のスマートフォンが落ちている。
 ぼくは突堤に上がって、それを拾い上げた。

 まじまじと見ると、もっとも普及している機種だった。

「ご苦労さん」
 海岸には、拾ったゴミを回収するための要員が待機していて、声を掛けてきた。
「もーやん!」

 ぼくも知っている『カモメ荘』のひょろ長いバイト君だった。
 迷彩柄のバミューダから細長い脚が伸びている。
 ぼくと同じS大の一回生だが文学部、浪人留年数年のつわものでもちろん歳上。将来の夢は吟遊詩人という変り種だ。通称もーやんの由来は聞いたことがないが、皆そう呼んでいる。

『カモメ荘』からは、彼がゴミ拾いに回されたらしい。
 海関係のスポーツはいっさいやらない、と潔いもーやんはスキューバができないので、ダイバーが拾ってきたゴミを回収する係になったようだ。
 手には白くて大きなビニール袋を持っている。

「大漁やな。まじめにやったんやね」
 ぼくの集めたゴミを見てそう言った。彼は夢愛さんが嫌う関西ネイティブだ。
「他のみんなは?」
「適当に切り上げて、とうに上がってるよ」

 水中ゴミ拾い部隊はすでに撤収していてぼくが最後だ、とのこと。
 彼が持つビニール袋に獲物のゴミを移すときに、似合わない銀色のブレスレットをしていることに気づいた。
 イルカと蒼色のアクリルビーズが交互に並んだ、見覚えのあるデザインは、以前夢愛さんが付けていた物に似ていた。

「それ、どうしたの?」
 彼のファッションから浮いているそのアクセサリについてぼくが尋ねると、もーやんは思い出したように、
「ああ、これな。似合わへんやろ」

 自覚はあるらしい。
 彼の説明によると今朝方、東の崎に違法駐車していた車があり、レッカー移動した際にその場に落ちていたものだという。

「なんで、もーやんが持ってるの?」
「駐車場の整理に回されたバイト仲間が、借金のカタに言うて差し出しよって」
 価値のないまがい物のアクセらしいので、拾得した人が持てあましてゴミ回収係のもーやんに渡したらしい。

「その車、青梅ナンバーの赤のツーシーターじゃなかった?」
「ナンバーまではわからんけどな。赤いスポーツタイプやったようやな」
 先週夢愛さんと言い争っていた男の車だ。
 夢愛さんのブレスレットがあったということは、彼女もそこに居たのか。

「運転者は?」
「全然帰ってけえへんから、車はレッカーでどかされたらしい。なんや、心当たりあるんか?」

 ぼくは曖昧に頷いた。運転者なら、さっき見かけたのだが。
「そのブレスレットの持ち主も知ってる」
「ほな、これ持ち主に返したって」
 もーやんは、くだんのブレスレットをぼくに差し出した。

3/3 くじ運の悪いぼくは、外れの「駐車場整理」に割り振られ、知り合いのもーやんと共に仕事を始めた。
 もーやんの話では、東の﨑に入り込んだ不審車の運転者は見つからなかった。また夢愛さんが以前つけていたイルカをモチーフにしたアクセサリーが落ちていたという。

 龍ケ崎は海水浴場として家族連れなどでにぎわうが、夏休みが終わるとともにダイバーたちのビーチになる。

 カラフルな色のウエットスーツがひしめくこの時期の海岸は、焼ける砂、日焼け止めのオイル、フィンやシュノーケルのゴム、ヤキソバのにおいが満ちて、夏真っ盛りよりもむしろ生き生きとしているようだ。

 やっと駐車場の誘導係から解放され、昼食を摂りに『はまゆり』に帰ったところに、運悪く雨が降り始めた。
 熱気にうんざりしているお客さんには恵みの雨だろうが、機材を乾かしているスタッフたちにとっては迷惑このうえない。海に降る雨は風情があるものだが、今はそれどころじゃない。

 案の定『はまゆり』の前の台車や柵の上には、午前中のダイブを終えて洗ったあと干してあるレンタルの機材があった。
 スコールのような通り雨で、勢いは強いが三十分もすれば止むだろう。しかしせっかく乾きかけたところなのに。

 ぼくは持てるだけのレンタル用ウエットスーツを抱えて、裏手にある機材倉庫に向かった。

 がらがらと鍵の掛かっていない扉を開けると、金属製のラックに吊り下げてあるレンタルスーツが揺れた。
 斜面に建っている民宿の二階裏手にある二十坪ほどのプレハブ平屋の倉庫は、スーツだけでなくレンタルギアが置いてあり、ボンベのような加圧機材を置ける許可も取ってあった。

 サイズ別に分けてスーツを掛け、ほっと一息つくとウエストバッグからイルカのブレスレットを取り出してみた。
 飛び跳ねている図柄のシルバーのイルカと、蒼い色のアクリル玉が交互に連なった意匠だ。
 どこにでもありそうなものだが、夢愛さんが以前つけていたものと同じように思えた。

 どうやら東の突堤に駐車してあった車は、以前夢愛さんと言い争っていた男のものらしい。
 レッカーで運び去られるときに見たら、青梅ナンバーの赤いツーシーターだったので間違いないだろう。
 その人は車を置いたままどこかに姿を消した。

 夢愛さんは、手伝いにいくはずの公民館のほうをサボったらしい。
 彼女のブレスレットが車の側に落ちていたということは、今朝東の突堤であの男と密会をしていたのだろうか。

「密会」と言うと、いかにも隠微な雰囲気があるな、と自分でおかしくなる。

 実際問題として、今朝夢愛さんが東の﨑に行き、戻ってくることはできたろうか? 
 彼女が朝、家を出たのは八時頃。
 ぼくらが車の見える第二駐車場に行ったのが九時半ぐらいで、そのときすでに車の周囲に人影はなかった。

 彼女の愛車であるピンクのミニバイクは、ブレーキの故障で修理に出されている。
 彼が直接迎えに来てふたりであの突堤に行ったとしても、不自由な右足を引き摺って『はまゆり』まで帰ってくれば、ぼくらと遭遇しただろう。

 そんなことを思いながらぼんやり窓の外を見ると、うっすらともやのようなものが立ち上るのが見えた。煙?
 万一火事だったら大変だ。ぼくは確認のため外付け階段を駆け下りた。

「めっかっちゃったか」
 裏の壁に寄りかかりながら、夢愛さんがバツの悪そうな顔をした。
 タンクトップにデニムのショートパンツで長い髪が濡れている。
 その手にある細身の煙草から、細い煙が上がっている。

「夢愛さん。婦人会のお手伝いさぼりましたね。そのうえ隠れて煙草吸ってるなんて」
「親父がにおいが移るから外で吸えって。加齢臭のくせに」サボりに関しては何も言わず挑むような瞳でぼくを見つめて、「煙草なんか止めろって、言ってよ。体に悪いんだから」

「別にいいんじゃないですか」
 成人なんだしリスク・メリットを考えての上なら。
「アタシがどうなってもいいの? 生まれてくる子どもに悪影響が出てもいいの?」
 夢愛さんを孕ませるような度胸のある男が、そんなことに動じるとは思えません。

「止めろって言ったら、反発するタイプでしょ」
「つまんない奴。ビンタして『止めろ』くらい言ってよ」
 そんな危険なマネできません。倍返しされるでしょ。
「不良学生みたいですね」

 ぼくは笑いながらイルカのブレスレットを取り出した。
「これ落ちていたらしいのですが、夢愛さんのじゃないですか?」
 彼女は、何も付けていない右手首を触った。
「あ、どこで落としたんだろう」勘違いであってくれればと思っていたのだが。ぼくの気も知らず、彼女は睨んだ。「頬ずりなんかしてないでしょうね」
 ぎくりとしながら首を横に振る。 

「好きな子のたて笛を舐めたことあるでしょ」
 そんなベタな。
 ぼくは、これが見つかった経緯を説明した。
「夢愛さん、今朝あの赤いツーシーターの男と会ったんじゃないですか?」
「その車、東の崎に留まってたんでしょう? 私がそこまで行って帰ってくるのってムリくない?」変な日本語で反論する。

 そうなのだ。人魚姫にはアリバイがある。人魚姫? なにか閃くものがあった。
「今までの時間があれば、東の崎まで行って帰ってこられるはず」
「無理よ。バイク壊れてるもん」

 彼女がなにかを背後に隠すような動きをした。それが見えたとき、ぼくは彼女が東の突堤まで往復した方法がわかった。

「泳いだんでしょう?」
「泳ぎが下手なの、知ってるくせに」
「ウインドサーフィンやボート、マリンジェットは湾内に乗り入れることはできない」ぼくは彼女の背後にある機材を指さした。「それを使ったのでしょう?」

 イルカの尾ひれのような形状の、両手で抱えるくらいの大きさのFRP製フィン。

モノフィン
 普通のフィンのように足に履くタイプではなくて、脹脛を固定するようなホルダー形状になっています」

 きのう、彼女の臑が赤くなっていた。
 これを使ったときに、ホルダーの痕がついたのだ。モノフィンは通常の足ひれのように両足それぞれに履くのではなく、両足をそろえた形で履けるよう一枚の大きなフィンに両足の固定具がついたものだ。

 両足が固定されることにより、バタフライのドルフィンキックのように体全体を使う泳法になるため、女子でも八百メートル九分台の記録が出ている(普通のフィンより速い)。
 
 東の突堤まで直線距離で五百メートル程度。FRPの特性である反動を生かせば、脹脛に留めるこのフィンでも充分な泳力を生むはずだ。
 右足首の悪い夢愛さんが、一時間で突堤に行って帰れる方法だ。

「前に湾内で練習していたでしょう? あなたを見たツアーのお客さんが、人魚だって騒いでましたよ」
 夢愛さんは微笑した。
「ハワイでは、ドルフィンのモチーフには特別な意味があるようですね」
 ぼくはブレスレットを見ながら言った。

「変なこと、知ってるのね」
彼女は怒ったようにブレスレットを引ったくると、煙草をサンダルで踏んづけて消し、今朝の行動について何も言わず逃げるように倉庫を出て行った。

#青春ミステリ #小説 #創作 #推理小説 #アリバイ #ダイビング #人魚




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?