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短編SF・ファンタジー小説集

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サクッと読める短編SF・ファンタジー小説をまとめました。
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記事一覧

【SF小説】土の塵、生命の泉

(見出し画像はJeff JacobsによるPixabayからの画像) アダム篇 「神ありて土の塵(アダマ)…

山下敬
1年前
6

雪ん子【ショートフィルムより⑤】

 宇宙に進出した人類は、「宇宙」に受け入れられるのか? スクリーンに見とれているうちに、…

山下敬
1年前
3

しゃぼん草の夏【ショートフィルムより④】

地球と異なる環境には、異なる生態系があったー 「おっと、片方のリールが残り少なくなった」…

山下敬
1年前
1

竜の棲む谷【ショートフィルムより③】

 映写室の小窓から見える劇場内が明るくなって、また何人かが席を外した。観客は少し減ったよ…

山下敬
1年前

暗号【ショートフィルムより②】

 人類を宇宙に導く、見えざる「手」のはなしー   明かりが灯り、インターミッションの間にト…

山下敬
1年前
1

四つ葉のクローバー【ショートフィルムより①】

 なぜ、これが宇宙SF小説かって?  最後まで読んでいただければわかります。  カラカラカ…

山下敬
1年前
2

【ファンタジー小説】天上の花(後編)

(前編のあらすじ)“王の目”ナスカ・ホーソンは命を受けて、天上都市ラクールへ赴いた。  ラクールは「精素」が薄い山頂にあるにも係わらず、ラクリヤという植物を栽培することによって精素を補うことで生きることを可能にしていた。  ナスカの使命は、ラクールの栽培官が秘匿するラクリヤの栽培法を探ることだった。      3 オフィリア  拘束こそされなかったが、ナスカとロアは虜囚のように、兵士に従って谷を登る道を歩かされた。  ロアの歩調は変わらなかったが、ナスカはうすい空気の下あ

【ファンタジー小説】天上の花(前編)

(拙作「聖花」の短編版です)       1 天界への道 “王の目”ナスカ・ホーソンが天…

山下敬
1年前
12

【ファンタジー小説】聖花(5(完))

5 聖殿  目が覚めたとき、ナスカは四肢を投げ出すように地面の上に倒れていた。はるか高く…

山下敬
1年前
2

【ファンタジー小説】聖花(4)

4 ソロス  市場の雑踏はどの辺境市も変わらないが、ラクールのそれは素朴なものだった。 …

山下敬
1年前

【ファンタジー小説】聖花(3)

3 オフィリア  拘束こそされなかったが、ナスカとロアは虜囚のように、兵士に従って谷を登…

山下敬
1年前

【ファンタジー小説】聖花(2)

2 聖花の谷  むかし天上都市にリーアという娘がいた。  色づく太陽のように美しいとは言…

山下敬
1年前

【ファンタジー小説】聖花(1)

1 天界への道 ”王の耳”ナスカ・ソーンが天上都市ラクールを目指して帝都を発ったのは、雪…

山下敬
1年前
2

【SF短編小説】列外馬(4(完))

 久々の儲け仕事だ。ワンピィを連れてきてくれ――  携帯端末に入っていたワイルの声は弾んでいた。ホアキンはワンピィを伴い、ヤンと共にチームのたまり場に向かった。  夕刻が迫り、教会の十字の尖塔から影が伸びている。うっすらと雲が広がって頬に雨粒がかかったとき、ホアキンはまた嫌な予感にとらわれた。  扉に手をかけた途端、中からワイルの叫び声が聞こえてきた。 「来るな。ホアキン!」  振り返るひまもなく、左右と後を四人の屈強な兵士に囲まれていた。兵士たちは連邦の軍服を着け、銃