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紺色の靴下とブランドの話

こんにちは。MICINコミュニケーションデザイナーのK.Kです。
前回のL.Tさんの記事に続き、ずいぶんと久しぶりの投稿となります。

今回は「ブランド」について書きたいと思います。
ただし、専門的な話は多くのところで語られているので、今回はブランドに関する自分の原体験のようなものを中心にお話できればと思っています。


「紺色の靴下」の話

さて、とても個人的な体験になりますが、話は高校生の頃まで遡ります。
高校生ともなるとオシャレに興味が出てくる年頃。当時流行していたファッションとして「渋カジ」なんて呼ばれるものもありました。

現在は人々の好みも細分化し、ひとつのファッションスタイルが流行する、ということはほとんどなくなりましたが、当時はひとつ流行ると、日本全国みんな同じ格好する、というような現象がたびたび起こっていました。今でいうバズる、に近い現象です。もちろん当時はSNSなんてありません。

テレビ、新聞、雑誌、口コミで話題になったから、ということもあったかもしれませんが、短い期間で一気に広がる現象は、それだけでは説明できない不思議な力が働いていたように思います。

そんな高校生時代、おしゃれに敏感な女の子たちがこぞって履いていた「靴下」がありました。

人が乗った馬のシルエットが、ワンポイントの刺繍で施された靴下です。本体の色は紺、刺繍の色が赤。色の組み合わせも含めとても印象的でした。なんてことのないただの靴下が、不思議とカッコよくおしゃれに見えたのを覚えています。
当時アメリカ製の洋服はみんなの憧れで、この靴下もアメリカのファッションメーカーのものである、ということも大切な要素のひとつでした。

そこで疑問に思ったことがひとつ。
「何故みんな揃って同じ靴下を買い、履いているのだろう?」
ということです。

いったいいくらするのか。まず靴下の値段を調べてみました。
なんと普通の靴下の何倍もするではありませんか。スーパーであれば数百円で買えるのに、その価格の違いに驚きました。

さらにタグを見てみると、「MADE IN JAPAN」の文字、そして日本の会社らしい名前がカタカナで印刷されていました。これは意外な発見でした。アメリカ製でもなければ、作っているのは日本の会社だったのです。

そこからも興味は尽きず、このロゴの入った服をデザインしているファッションデザイナーについて書かれた本を読みました。
そのデザイナーは服をデザインするのはもちろん、ストーリー、ビジュアル、そして売り場までを含めた世界観すべてをつくりあげていました。全て彼がイメージし、生み出したものです。つくっていたのは洋服だけではなかったのです。
その中で「ブランド」という言葉が使われており、ここで初めて「ブランド」という言葉を知りました。

おそらく靴下を履いていた子たちは、ブランドの名前は知っていても、どんな人がデザインしたのかなんて、ほとんど気にしなかったのではないでしょうか。同世代の妻にこの話を聞いてみたところ「イギリスのブランドかと思っていた。」というくらいですから、一度流行するとブランドの成り立ちや背景など関係ないのでしょうね。

それでもこの靴下には、彼女たちにとって「欲しい」と思わせ、高いお金を払ってまでも手に入れたい、そして身に着けたいの思わせる強い力を備えていたのでしょう。そして身に着けることによって、ステータス性のようなものを感じていたのかもしれません。

しかしながら当時は、この力の正体は一体なんなのか、なぜ皆惹きつけられるのか、という問いに対し、はっきりとした答えは見つかりませんでした。

それから私は社会人になり、デザイナーとして働きはじめ、さまざまな企業や商品と関わることになります。その頃からなんとなくブランド、ということを意識し始めるのですが、言葉の定義もまだ曖昧で、ブランディングという考え方も当然浸透していませんでした。人によっては「ロゴを入れること」をブランディングと言っていて、違和感を感じたのを覚えています。自分もよく分かっていないことではあったのですが。

結局「ブランド」ってなんだろう

デザインという仕事に携わりながら、ブランドってなんだろう、という問いを常に持ち続け、考えています。人によっても企業によっても捉え方は違いますし、私自身いまだにはっきりした答えを持っていないのですが、

企業、商品、サービス(どれも名前があり識別できるもの)は、
全てブランドである、

と考えています。
高価格で名の知れた良いイメージの商品・ブランドはもちろん、低価格でほとんど知られていないような、イメージのよくない商品・ブランドであっても、いずれもブランドであることは変わりません。

ではブランドという言葉の定義についても考えてみます。

ブランドとは、人々の頭の中に生まれる、
企業や商品、サービスに対するイメージの総和。

これが私の中で今のところ一番しっくりくるブランドの定義です。
そしてこの言葉の定義は、企業、商品、サービス、生活者(ユーザー、消費者)など立場によっても変わってきますし、常にアップデートされ続けるものでもあります。

良いブランドのイメージの例としてあげるなら、
やはりAppleが一番わかりやすいでしょう。

  • 先進的なテクノロジー企業

  • 製品のデザインが美しい

  • OSやアプリケーションの体験が素晴らしい

あげればキリがありませんが、これらのイメージが人々の頭の中でポジティブな形で積み重なることによって、その企業や商品、サービスに対する好意や憧れがどんどん膨らんでいき、「欲しい」という欲求につながるのではないでしょうか。
先ほどの靴下の話と同じく、よいイメージが作られれば、たとえ高い価格がついていてもみんなこぞって買うのです。

ブランドの「価値」はどこから生まれるのか

では、みんなが欲しいと思う、好意を抱くブランドの「価値」とはなんでしょう。その価値を示す指標として一般的に言われているのは、かなり大雑把ですが、顧客がその商品やサービスに支払う対価はいくらか、企業や商品がどれだけの人々に知られているか、というように私は捉えています。

しかしながら、ブランドの価値はこのような数値だけで測られるものなのでしょうか。

これまで話してきた内容と照らし合わせると、MICINという企業、展開しているオンライン医療事業、臨床開発デジタルソリューション事業、デジタルセラピューティクス事業、保険事業などのプロダクトやサービスが「ブランド」ということになります。

それぞれのブランドを多くの人に知ってもらい、プロダクトやサービスを使っていただくためにはどうしたらいいか、皆で考え、さまざまな形でコミュニケーションしていきます。これはデザインの話だけではありません。

そんな中で日々奮闘しているMICINメンバーの姿を見ていると、MICINという企業、プロダクトやサービスが内包している価値は、これまで見聞きしたブランドという言葉の括りだけで表すことができるのだろうか、そして、この価値のそもそもの源泉はどこにあるのだろう、と考えるようになりました。

だいぶ長くなってしまったので、次回はこのブランドと価値の源泉についてお話できればと思います。

引き続きMICIN DESIGN TEAMは積極的に情報を発信していきます!
ご期待ください。


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