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傾聴の段階 ー何を聴くのかー

傾聴には段階があると言われます。
よくある区分としては、「聞いていない状態」〜「言葉の背景や思いも含めて聴きとる」までの段階を指しますが、ここでは『何を聴くのか』という観点で少し整理してみたいと思います。
注:経験も踏まえた私の独自の解釈です!


1.語られたことをきちんと聴く

話の流れと語られたことを理解しているということです。まずは、相手が話している事実を理解していること。さらには、相手の発した言葉の意味を「正しく」理解するということです。同じ言葉、同じような出来事でも人によってイメージするもの、指すもの、意味するところが違うため、言葉にされたことを、相手にとって「正しく」聴き届けることが傾聴の第一段階と言えます。

2.語られていないことを聴きとる

言葉にされていないものも含めて、感情や思いを理解(認識の共有と言う方が近いかもしれません)できているという段階です。言葉そのものだけでなく、言葉の使い方、表情や声の調子、雰囲気など目の前の相手全体から、感じていること、思っていること、願いなどを聴きとることです。
これは「1.語られたことをきちんと聴く」の段階にも含まれますが、言い換えると「共観」できている、同じ絵を相手の視点や世界観から観ているという状態です。

3.相手の「人そのもの」を聴きとる

性格や特徴を感じとること、また、相手の価値観を知る、理解するということです。考え方やものの見方(の特徴、傾向)を把握することも含まれます。
どんな人なのかということや、その人が大事にしていること、あるいはとらわれていること。思考パターンなども理解していくことで、支援者としてのかかわり方も変わってきます。

4.相手との関係性を聴きとる

話をしてくれている人と自分との間にどのような関係性が築かれているのかに注意を払うということです。場の空気感を読み取ることとも言えます。普段は信頼関係ができている間柄でも、話題やお互いのかかわり方によってその場の状態、関係性は変化していきます。その感じを都度都度受け取りながら、かかわり方を変えていくことが必要です。

5.聴き手である自分の声を聴く

聴き手である自分の中に生じた思いや感情、言いたいことを、ある種、客観的に把握して、適切に取り扱っていくことです。基本的には聴き手として余分な発言をしないことが大事ですが、生じた気持ちや考えを強く押し込めて、追いやってしまうことできちんと話が聴けなくなることもあります。「あー、こんな気持ちが出てきたなー」と頭の片隅で眺めておくくらいが丁度良いかもしれません。一方で、自分が感じたことを伝えること(=フィードバック)が話し手にとって意味あるかかわりになることもありますので、その点でも自分の中に生じた声を聴きとっていくことが必要です。

簡単なまとめ

一口に聴くと言っても、語られたこと、直接は語られていないこと、話している人そのもの、関係性、聴き手である自分の声、というふうに聴く対象は様々あります。同時に全てを聴きとるというのは難しいこともあるので(実際には聴き手の脳内ではできているのだとは思いますが、意識的に全てをはっきり認識しなごらというのは結構大変なので)、その時、そのクライアント、テーマにとって必要な部分に集中して聴いていけるのが、良いコーチ、カウンセラーと言えるではないかと思います。

それぞれの『聴く対象』について、どうやって聴くのか?どうやって聴けるようになるのかはまた次回以降、考えていきたいと思います。

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