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神様に終身契約をオファー

「たぶん今シーズンが、私が鹿島と仕事をする最後の年になると思う。鹿島と私の物語は美しく、すばらしいものだった。私はこの私のチームに、自分が持てるすべてのものを与えた。日本との関わりが切れることはかなり寂しいが、しかし「tudo bem(すべてよし)」だ。私はこれまで我がチーム、鹿島アントラーズにしてきたことを誇りに感じている」


これは、あるWebマガジンに掲載されたジーコのインタビューの一部である。

「神様が帰った日」で、鹿島アントラーズがブラジルシフトを辞め、ヨーロッパに習う姿勢を明確にしたことで、30年来続いてきたジーコとの関係が終わるのではないかと書いた。


しかし、その後事情は変わる。


鹿島アントラーズがスイスから呼び寄せたレネ・バイラー監督を解任したのだ。

新監督着任後、鹿島のサッカーは大きく変わった。
後ろから組み立てると言うより、相手ボールのうちに前線から激しいプレスをかけ、ショートカウンターを繰り出すようになっていった。

ボールが自陣にある場合でも、ロングパス1本か2本で前線に運びシュートにまで持ち込む。そんなダイナミックなサッカーが展開されていた。

勝利という結果もついて来ていた。
一時は、リーグ戦の首位に躍り出たこともあった。

ヨーロッパ化って、こんなにすぐに結果が出るものなんだ!
私は、鹿島の選手の適応力やバイラー監督の手腕に驚いた。


しかし、蜜月は長くは続かなかった。
連勝が続かなくなり、それに歩調を合わせるかのように監督との間もギクシャクしてきた。

「優勝を目指せる順位にいるうちに」ということだったのだろうか?

鹿島は早々にバイラー監督の首を切った。
後任にはクラブOBでもある岩政コーチが就任。

最終的に、リーグ戦はACL出場を逃す4位フィニッシュだった。



「私はチームがレネを監督にすることを知らなかったし、彼の鹿島での日々にも関わっていない。監督問題に対しては、何の相談もなかったし、助言も求められなかった。求められない限り、私は自分の意見を述べる立場にはない」


ジーコは、鹿島のヨーロッパ化についても、バイラー監督を解任することについても、一切関わっていないと明言している。

その上で、南米かヨーロッパかと聞かれれば
「鹿島は南米、ブラジルスタイルで行くべきだ」
と明確に語っている。


内田篤人をして「鹿島は満さんFC」と言わしめた鈴木満強化担当の退任。
その後の、案の定の迷走劇である。



その後、気になる報道があった。

鹿島が、ジーコに対して終身アドバイザーへの就任を打診したという記事だ。

その上、ヨーロッパに移籍した植田直通、柴崎岳、ヨーロッパからガンバ大阪に移籍した昌子源らに、獲得オファーを出しているという報道もあった。

11月30日には、植田直通が鹿島に戻るという正式発表がクラブからあった。


長期ビジョンに基づいて動く鹿島のことだから、ヨーロッパ化もスムーズに進むのではないかとも考えていた。

しかし、結果は「ジーコから岩政監督は経験が足りない」と批判され、脱ブラジル化を進めたはずが、そのジーコに終身アドバイザーを要請するという迷走ぶりだ。

このところ、Jリーグで優勝しているのは、人口密集地帯である神奈川県の川崎フロンターレと横浜Fマリノスばかりである。
日本代表でも、鹿島の選手は減り、川崎の選手が増えた。


人口減少に伴う過疎化で、鹿島近郊というホームタウンでの存続が危ぶまれる鹿島アントラーズ。

新スタジアム建設の話もあると聞く。
サポーターの間では、新スタジアムなのか、カシマスタジアムの建て替えなのか、戦々恐々とした空気が流れている。


鹿島はどこへ行くのだろうか?

私たちサポーターに、今、何ができるのでだろうか。

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